3月 242005
 

3月22−24日の3日間,名古屋大学で化学工学会の年会(研究発表会)が開催された.毎年,春と秋に開催される会議で,ナノ・マイクロ,バイオから地球環境まで,実に広範なテーマについて研究成果が発表される.約20の会場で並行して発表が行われるので,かなり大規模な会議と言えるだろう.

その学会発表を聞いていて,気になったことがある.

学会発表においては,研究の背景や目的が明確でないと,研究の意義が全く伝わらないので,「なぜ,そんなことしてるの?」となってしまう.このため,研究の背景や目的をきちんと説明することは非常に大切だ.学会発表においては,研究の詳細よりも,その方が重要だとも思う.個々の発表を聞いていると,確かに,研究の背景や目的を説明してくれている.例えば,こんな感じだ.

現在,○○が問題となっています.この問題を解決するためには,△△を実現する必要があります.本研究では,△△の実現に必要な□□について検討しました.

問題ない.しかし,私が気になるのは,「で,その研究は世界最先端なの?」ということだ.そんなに重要な問題なら,これまでに世界中の優秀な人達が色々な試みをしているはずだ.そういう過去の研究と比較して,何が新しいのか,どこに特徴があるのか,これをきちんと説明してくれない発表があまりに多い.

ズバッと言うと,当該分野の調査をきちんとしていないに違いない.調査をしていないのだから,当該分野に関する国際的な研究動向の中に自分自身の研究を正しく位置付けることができないわけだ.だから,説明もできない.もしそうだとしたら,あまりにもお粗末だ.レベルが低すぎる.

研究の完成度が低いと言っているのではない.そんなものは,どれだけ低くても構わない.オリジナリティのある研究であれば,完成している必要なんて全くない.それこそ,枝葉末節については,放っておいても後から誰かがやってくれる.

私が問題と思うのは,研究の完成度が高いとか低いとかではなく,自分がやっている研究の位置付けができていないのではないかということだ.もちろん,新しい分野に挑戦するときには,まずは世界のレベルに追いつく必要がある.しばらくは,地下に潜伏する期間も必要だ.目新しい成果も出ないだろう.そんなことをダメだと言っているのではない.世界に目が向いていますか,と言っているのだ.自己満足だけで終わってませんか,と言っているのだ.趣味でやっているなら,それで構わないのだけれど...

「国内の会議だから」という言い訳もあるかもしれないが,それでは学会自身がいつまでたっても二流のままになってしまうのではないか.

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