12月 082005
 

子供が生まれてから,育児について色々と勉強している.育児には,唯一の厳然たる正解というものがないため,自分が気に入った方法を採用すれば良いと思うのだが,自分の性格上,色々と調べてみないと気が済まない.そうして勉強しているうちに,当然ながらシュタイナー教育にも出会った.

私は専門家ではないので,ここでシュタイナー教育の解説をするつもりはないが,勉強した内容は「早期知的教育について(シュタイナー教育の考え方)」などにまとめてある.また,本ごとに学んだ内容をまとめてもいる.

上記以外にも,日本語で書かれた本も数多く出版されており,シュタイナー学校も全国各地に存在する.ザッと見たところ,「シュタイナー教育は素晴らしい.これを知らないなんて損だよ!」という雰囲気である.確かに,シュタイナー教育について書かれた本を読むと,なるほどと感心させられることが多い.こういう体験を自分の子供にもさせてやりたいと思うし,部分的に取り入れてもいる.しかし,当然ながら,すべてが自分の考え方に馴染むわけではない.

そんな折り,雑誌をパラパラとめくっていたところ,「シュタイナー教育の是非を問う」という言葉が目に飛び込んで来た.週刊エコノミスト11月22日号の海外出版事情というコラムだ.ドイツ在住のジャーナリストである福田直子さんによる書評で,「ヴァルドルフ学校からの報告」という本が紹介されていた.(邦訳があるかどうかは知りません)

この本は,シュタイナー学校に3人の子供を通わせた母親からの報告だが,この母親はシュタイナーを素人教育者と糾弾する.そして,「本当の勉強ができる環境ではない」,「僕たちを酷い学校へ入れた」と子供達から罵倒されたため,転校も考えたが実現は困難であり,その一方で,村八分にされないよう教育方針に関する疑問も提示できないと述べている.さらに,「自由な教育どころか,全体主義思想に近かった」としている.この本に書かれていることが正しいとすれば,そのような学校に子供を入れるのは躊躇われる.

このような本に対して,シュタイナー教育に肯定的な人は必死に反論を試みるかもしれないし,否定的な人は再反論するかもしれない.そうすることで,互いの溝をますます深めていくかもしれない.しかし,子供の教育に責任のある親としては,そんな感情的な対立には何の興味も抱く必要はない.重要なのは,肯定派の意見と否定派の意見を偏見なく聞くことだろう.後は,自分の信じる道を進むしかない.

冷静に考えれば当然だが,個々の学校はそこで働く先生方によって特徴づけられる.上記の母親が子供を預けた学校は確かに悲惨だったのかもしれない.しかし,たとえそうだとしても,「だからシュタイナー教育は間違っている」とは結論づけられない.それは論理の飛躍であり,感情的すぎる.ここから学び取れることは,日本においても,シュタイナー学校に子供を通わせることには,このようなリスクがあるということだ.これは,どのような公立学校,私立学校に子供を通わせても同じである.たまたま担任の先生が良い人物であれば良いが,不運にも悪い人物にあたるかもしれない.看板だけで判断するのではなく,中身をしっかり吟味する責任が親にはあるということだ.

「自分が絶対正しい」なんて思っている人達も世の中にはいるようだが,自分がそうなる必要はない.心にゆとりを持ち,様々な意見に耳を傾けよう.

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