10月 282006
 

高等学校における必修科目未履修の現状

まず,問題を整理しておこう.ことの発端は,必修科目である世界史の授業を行っていない高校の存在が発覚したことだ.

必修「世界史」授業せず 卒業ピンチ!富山の高校生

富山県立高岡南高校(篠田伸雅校長)で平成17年度、「受験に必要な科目を勉強したい」との生徒の要望を受け、当時の2年生(約200人)の8割に、学習指導要領で必修の世界史の授業をしていなかったことが24日、分かった。

理由が「受験勉強の邪魔」ということだったため,この高校だけではないはずだということで,調査が進められ,現時点までに約400校で教えなければならないとされている教科を教えていないことが判明している.

未履修、文科省調査は286校 まだ増える? 兵庫は調査中

県教委などに基づく集計では、未履修は公立、私立で少なくとも41都道府県の計399校で判明。このままでは卒業できない恐れがある生徒は少なくとも7万人以上になる見通し。多くの学校が必修科目の世界史を受験対策で履修させておらず、理科や情報、保健などの科目を未履修にしていた学校もあった。

受験勉強にまさる教育はないというのか

必修科目を教えないとはけしからんとか,必修科目未履修では卒業できなくなるとか,受験直前に補習をしなければならないとか,受験生の声も交えてニュースなどで賑やかに騒いでいるが,そんな低次元な話をしている場合だろうか.

今回の必修科目未履修の問題というのは,もちろん,単純なミスで履修すべき科目を教えなかったのではない.そうではなく,受験科目以外は教える必要がないと教師が判断し,公的な書類を偽造してまで,その信念を押し通したのだ.

卒業できない高校生約7000人 氷山の一角?学科未履修は11県66校

岩手県では、盛岡一高や盛岡三高など進学校で相次いで発覚。三高の井上節夫校長は「(県教委に)虚偽の報告をしていた」、一高の板宮成悦教頭は「数年前から(未履修を)続けていた」と認めている。山形県では未履修の12校が、いずれも県教委などに提出する「教育課程表」と各校で保管する「生徒指導要録」を改竄(かいざん)していた。各県教委によると、未履修の理由として学校側は「生徒の進路希望実現のため」「大学受験対策のため」などと説明している。

これは,「受験勉強にまさる教育はない」という低俗な思想が高等学校に蔓延しているということだ.そこには,多感な青年の人格教育を行い,人間的に成長させようとか,それぞれの人生をたくましく歩んでいくために必要な能力を身に付けさせようとかいう志のかけらもない.

この学歴社会の中で,受験生がペーパーテストの点数稼ぎに必死になるのはやむを得ない.もし責めるなら,そのような状況に追い込んだ社会を責めるべきだ.しかし,教師がペーパーテストの点数稼ぎを煽るようなことしかできないとは嘆かわしい.ペーパーテストの点数稼ぎだけが大切なら,予備校の先生を見倣えという主張にも従うほかないだろう.

極めて残念だが,日本の教育界は荒廃しきっている.

歴史教育

「愚者は経験から学び,賢者は歴史から学ぶ」という.受験勉強を優先させるために,歴史を教えないというのは,一体全体どういう了見なのだろうか.加えて,日本国民が日本史を勉強しなくてもよいというのは,どういうことか.

教育現場だけでなく,根本的に日本は教育の方向性を間違っているのではないか.人格教育もなされず,母国の歴史も教えられなかった者に,国の将来を任せようというのか.それが国策だというのか.教育の成果は一朝一夕で現れるものではない.このため,正しい方向へ進む努力を根気よく継続するしかない.

高校日本史を必修科目に 伊吹文科相が示唆

伊吹文明文部科学相は20日の衆院文部科学委員会で、現在は選択科目である高校の日本史を必修科目とすべきだとの考えを示した。(中略)また、「倫理観や社会規範、秩序を守る力を学ぶ根本に歴史教育がある」とも述べ、日本史教育の重要性を強調した。現在、高校では世界史は必修科目だが、日本史は選択科目。野田氏の委員会提出資料によれば、神奈川県の全日制県立高校で、日本史を履修せずに来年3月に卒業する高校生は28・2%に上る。伊吹氏は小中学校での日本史教育、特に近現代史教育についても「十分なことが教えられているのか。日本の伝統や社会が建設された過程をマスターすべきだ」と主張した上で、学校教育法の改正と学習指導要領の見直しを進める考えを示唆した。

教育制度に手本はあるか

完全無欠の教育制度があるとは思わない.千差万別,十人十色の学生を教育するのは,そんなに簡単ではないだろう.しかし,少なくとも日本の教育制度よりも適切に機能しているらしい教育制度を持つ国が存在する.

日本が目指している競争社会をいち早く実現し,競争原理をグローバルスタンダードとして押し売りするアメリカではない.アメリカの教育はまともに機能しておらず,社会的格差の再生産装置になっている.

21世紀になって,国際的な注目を集めているのは,フィンランドの教育制度だ.その成果は,経済国際開発機構(OECD)が実施している国際学力調査(PISA; Programme for International Student Assessment)の結果で明らかにされている.その調査報告から日本が学ぶべきものは少なくないだろう.

問題の克服に向けて

最後に言っておくが,日本の抱える問題は教育制度の問題ではない.フィンランドの制度を輸入したら問題が解決するというレベルではなく,事態はもっと深刻だ.学校だけでなく社会全体が大学受験を重視するようになっており,どういう人間を育てようとか,どういう社会を築こうとか,そういう本質的な議論が全くなされない.

学校が悪いとか,教師が悪いとか,人の所為にするのは簡単だ.でも,そうやって何でも他人任せにする社会は成熟した社会だろうか.そんな無責任な社会になってしまっていることにこそ,問題があるのではないか.

他人の所為にする前に,自分は社会にどんな貢献をしているのか,一度まじめに考えみる必要がある.この問いに胸を張って答えられるような市民が構成する社会.それこそが目指すべき社会の姿ではないのだろうか.

10月 272006
 

奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)での特別講演

本日午後,奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)に行ってきました.この大学は学部を持たず,大学院での研究と教育に専念するという,ちょっと変わった大学です.ウェブサイトを見ると,この大学の目的は次のようになっています.

学部を置かない国立の大学院大学として,最先端の研究を推進するとともに,その成果に基づく高度な教育により人材を養成し,もって科学技術の進歩と社会の発展に寄与することを目的としています。

今回で(恐らく)二度目の訪問ですが,今回は,研究室の後輩でもあるN先生からの依頼で,情報科学研究科の講義の一部として特別講演をしました.この講義(ゼミナール?)は,学外の講師を次々に招聘し,多種多様な分野のトピックスを話してもらうという趣旨だそうです.当然,毎回バラバラの内容となるわけですが,見聞を広めるという観点から,学生にとって有意義だと思います.

自分のやっている研究内容を話せばいいということでしたので,次のような話をしてきました.

『統計的アプローチによる品質実現力の強化 〜産学連携の現場から〜』

近年,製品ライフサイクルが短くなり,顧客の製品品質に対する要求が厳しくなるなか,いかに短期間で製品品質や歩留りを改善するかが,様々な産業において重要な課題となっている.これまで多くの場合に,運転員の経験や勘に依存して問題解決を図ってきたが,製造プロセスに最大限の性能を発揮させるためには,より合理的な手法が必要である.そこで注目されているのが統計的アプローチである.これまでにも相関解析などのデータ解析手法は現場で利用されてきたが,近年,高性能なデータベースや新しい統計的手法が比較的容易に利用できるようになり,統計的アプローチの産業プロセスへの適用が急速に進んでいる.

本講演では,品質実現力・生産技術力の強化に役立つ代表的なデータ解析手法を簡単に説明したのち,1)異常検出・異常診断を実現するための多変量統計的プロセス管理,2)オンライン測定できない製品品質を推定するためのソフトセンサー,3)製品品質と操業条件を結び付ける統計的モデルを核とする品質改善技術について,その基本概念と産業応用事例を述べる.また,石油化学,鉄鋼,半導体など数多くの企業とこれまでに取り組んできた産学共同研究の経験から,学界および産業界双方の課題について私見を述べる.

聞いてくれるのが大学院の学生で,そのバックグラウンド(知識)は千差万別ということだったので,できるだけ誰にでも理解できるように,かつ講演から何か得るものがあるようにと考え,大学人としては例外的に積極的に取り組んでいる,企業との共同研究の経験を多く交えることにしました.もちろん,数式なんて全くなしです.数学を使いまくる研究をしている研究者が,数式を全く使わずに研究内容を説明する.これが私のスタイルであり,それができないのは理解不足かプレゼン能力の欠如だと考えています.

大学での研究

大学で研究をしていると,研究のための研究みたいな,社会貢献なんて全く眼中にないような研究に溺れ,それで自己満足してしまう可能性は大いにあります.もちろん,基礎研究の重要性は否定しません.ここで否定しているのは,非基礎&非応用の研究です.

よく,これは基礎研究,あれは応用研究,とか言いますが,基礎とか応用って何でしょうか.ある分野の基盤となる理論や技術に関わる研究は基礎研究でしょうし,その成果の実社会での応用に取り組む研究は応用研究でしょう.そうすると,基礎でも応用でもない研究が存在しうることに気付きます.それが非基礎&非応用の研究です.将来の基盤になりうるような本質的な研究ではなく,かと言って実社会に役立つ見込みもない.そんな研究だけはしないというのを信条にしています.これは,学生時代に恩師から叩き込まれたものです.

今回の講演では,そんなことも話してきました.そういう考えのもと,自分の研究を社会に役立てるために,共同研究を通した研究成果の産業応用に積極的に取り組んでいること,研究室に閉じ籠もらないがゆえに見えてくる新たな研究課題,逆に,そのために直面することになる様々な困難.日本の科学技術を担う学生達に,何かメッセージとして残れば,講演は大成功だったと思います.

90分間の講義で,75分ほど講演をし,15分ほどが質疑応答に割り当てられましたが,たくさん質問をしてもらいました.何回も質問してくれる学生もいましたし,講義終了後に個別に質問に来てくれた学生もたくさんいました.NAISTの学生は結構積極的という印象です.良好な研究環境の影響でしょうか.

ドライビング・シミュレータ

講演終了後,研究設備見学ということで,ドライビング・シミュレータを経験させてもらいました.ゲームセンターにあるレーシングゲーム機のようなものですが,ドライバーにアイカメラを装着させ,人の飛び出しや濃霧など様々なイベントを仕掛けて,自動車の運転中にドライバーがどのような行動をするのか,安全性を高めるためには,どのような仕組みが必要なのかを研究しているとのことでした.高速道路と市街地の運転をさせてもらいましたが,4回ぐらい事故を起こしました...

乗車中から車酔い状態で,帰宅後まで引き摺りました.結構,過酷な研究ですね.ともかく,準備していただいた学生の皆さん,ありがとうございました.

10月 232006
 

日本の外務省の不甲斐なさは昔から知られているが,今もってなお日本の国益には関心がないらしい.この問題こそ,政治の強いリーダーシップによって克服されなければならないだろう.国家の尊厳に関わる問題だ.

産経新聞に次のようなタイトルの記事が掲載された.

【検証・日中首脳会談】「予定調和外交」から脱皮

その中に以下のような記述がある.

8日夕、温家宝首相主催の晩餐(ばんさん)会の直前。胡錦濤国家主席らとの一連の会談を終え、人民大会堂内の一室でひと息ついていた首相の表情がサッと険しくなった。外務省高官が「中国側の意向」として、あいさつの修正を求めてきたのだ。 「なぜ私のあいさつの内容を中国側が知っているんだ?」。首相の問いに高官は押し黙った。「こちらは温首相のあいさつを把握しているのか?」。答えはなかった。相手の機嫌を損なわないことを最重視してきた外務省の「外交術」がかいま見えた瞬間だった。「それではあいさつはできないな…」。首相の一言に高官らは狼狽(ろうばい)したが、首相は頑として譲らず、あいさつはキャンセルとなった。この夜、安倍、温両首相らが和やかに談笑する晩餐会の様子が世界に報じられたが、両国高官にとっては居心地の悪い席だったようだ。

外務省は一体何を考えているのだろうか.謙るような態度でまともな外交なんてできるわけない.まず対等であることが最低限の条件だろう.

この記事を読む限り,安部総理は非常に良くやってくれたようだ.アメリカのように傍若無人に振る舞う国になってもらっては困るが,自分の意志をきちんと主張できるようでなければならない.アジア外交が好転することを期待しよう.

10月 212006
 

10月18−21日の4日間,韓国釜山の会議場BEXCOでSICE-ICCAS 2006が開催された.この国際会議はSICE(日本の計測自動制御学会)とICASE(韓国の学会)の共同開催であり,SICE Annual Conferenceの初めての国外での開催となるものだ.

日韓共催という初めての試みで,論文数が1000件を軽く超える大規模な国際会議となり,事務局の苦労は相当なものだっただろうと想像する.ただ,実際に参加してみて,問題に感じたこともある.会議の質に関わる重要な問題点を指摘すると,セッション構成(プログラム編成)に組織化された印象が無く,寄せ集め的な雰囲気が漂っている.20以上のセッションがパラレルで行われるのだが,論文をもっと適切に分類する余地は非常に大きいと感じた.オーガナイズドセッションが主体になっているのだが,「とにかくオーガナイズしました(論文を集めてきました)」という悲壮感は漂うものの,プログラム全体を見渡して,それぞれの論文をより適切なセッションに割り振れば,全体としてより素晴らしい(発表する側にも聞く側にも有益な)会議になるだろう.プログラム編成に加えて,論文や発表の質そのものの問題も残る.学生も含めて多くの研究者に,発表の機会を与えることや会議に参加してもらうことを優先すれば,もちろん論文数は多い方が良いのだろう.だが,数多くの国際会議がある中で,この会議に参加する意義があるかと尋ねられたとき,義理人情を除いて冷酷に判断すると,はいと自信を持って答えられない.英語での発表なんて全くできなかった昔の自分を振り返って,こういう会議の存在意義は十二分にあると思うため,悩ましいところではあるのだが...

SICE-ICCAS 2006@BEXCO(釜山)
BEXCO@釜山

10月 182006
 

韓国釜山へ

学会参加のため,韓国釜山へやってきた.関西国際空港から釜山までのフライト時間は1時間半以下.北海道や鹿児島へ行くのと大差ない.ところが,不便な関空まで行かないといけないし,空港には2時間前までに来いとか言われるしで,移動だけで随分と時間を取られる.それでも,SkyTeam Elite Plus会員(Air Franceのゴールドメンバー)ということで,チェックインはファーストクラス用で対応してもらい,搭乗手続きまでラウンジも利用できるので,多少は救われている.

9月の台湾台北,10月の韓国釜山で実感したが,外貨両替は国外でやった方がよい.関空の銀行はどれも為替レートが悪すぎる.台北や釜山の空港と比べて,10%近く悪いのではないか.これから行く人は,焦って関空で両替する必要はない.

ホテルの部屋がない!

現在,ビーチ近くにあるHotel Rivieraに宿泊しているが,チェックインする際に,学生と私2人分の予約が何かのミスでキャンセルされていることが判明した.と言っても,学生(韓国からの留学生)とホテル従業員が韓国語で遣り取りしていたので,私には何が起こっているか全くわかっていなかったのだが...

結局,当初予約していたオーシャンビューのシングルルームではなく,タウンビューのツインルームにするということで話がついた.宿泊費も,1泊88000ウォンだったのが,1泊70000ウォンになった.オーシャンビューと言っても,ビルの隙間からなんとか海が見えるという程度なので,タウンビューと大差ない.とにかく,韓国語を話せる学生と一緒で助かった.ちなみに,このホテルを手配してくれたのは,その学生だ.韓国語の格安ホテルサイトで予約してくれたものだ.送られてきた予約確認書がハングルで書かれていて,よく分からなかったが...

リビエラホテル(Riviera Hotel)@韓国釜山のツインルーム
リビエラホテル(Riviera Hotel)のツインルーム

リビエラホテル(Riviera Hotel)@韓国釜山からの眺め
リビエラホテル(Riviera Hotel)からの眺め

釜山国際映画祭(PIFF)

いま,釜山国際映画祭(PIFF; Pusan International Film Festival)が開催されている.ビーチでも色々なイベントをやっている.折角なので,夕食後,香港映画(?)の舞台挨拶を見に行った.監督と俳優・女優の計5名が出てきたが,芸能に疎い私には一体誰なのか全くわからなかった.一緒に行った学生は,男性と女性を1人ずつしっていると言っていた.

それにしても,国際映画祭なのに,中国語と韓国語でしか説明がないというのはおかしくないか.誰が誰なのか分からなかっただけでなく,すべてが何なのかわからなかった.雰囲気は楽しんだが...

釜山国際映画祭(PIFF; Pusan International Film Festival)の舞台挨拶
釜山国際映画祭(PIFF)の舞台挨拶

10月 162006
 

京都大学大学院工学研究科化学工学専攻では,以前からドイツのドルトムント大学と提携して,短期交換留学のようなものを実施している.今年は,6名の修士課程学生が,この制度を利用して海外インターンシップを経験した.学生は2名ずつ3つのグループに分かれて,BAYERBASFScheringという錚錚たる企業に約2ヶ月間滞在した.短い期間ではあるが,大変貴重な経験をしてきたと思う.

本日,この海外インターンシップの報告会があった.参加した6名がそれぞれ,インターンシップ先の企業の紹介と自分の業務内容の報告を,英語でしてくれた.もちろん質疑応答も英語だ.みんな,きちんと準備して,わかりやすい報告をしてくれたのだが,ちょっと気になることがあった.

「で,結局,君は何をしてきたの?」

そんな質問が複数回なされた.つまり,お世話になった企業や検討対象としたプロセスのことは紹介したが,最も肝心な,インターンシップで何に取り組んだのかが聴衆に伝えられていないということだ.これは,海外インターンシップの報告としては失格だろう.報告会で何をすべきかが認識できていないのだから.学会発表と論文執筆に関するアドバイスを読んで,プレゼン能力に磨きをかけてもらいたい.努力すれば,プレゼンはうまくなる.

10月 162006
 

怪文書を受け取る

数日間の出張から復帰すると,机には資料や封筒が山積みになっていた.その山の中に,差出人の書かれていない,宛先が無茶苦茶の封筒があった.「こんな宛先でよく届いたな」と感心しつつ,封を切ると,中から,紙が2枚出てきた.前略で始まり,早々で終わる手紙が4つも書いてある.4つも手紙が書いてあるのも謎だが,しかし「早々」で終わりとは.前略に対応する結語は「草々」じゃないのか.

「はぁ?」と思いつつ,中身に目を通す.すると,○○大学の××は学生の研究を盗んでいるとか,間違った論文ばかり書いているとか,早めに辞職させてくださいとか,好き勝手なことが書かれている.その他にも色々と書かれていたが,いわゆる怪文書なのだろう.就職してから,こういうのを受け取ったのは2回目のような気がする.内容の真偽は知らないが,仮に一部が真であったとしても,お互い様なのだろう.無茶苦茶な文面を読む限り,書いている方も正常とは思えない.

まあ,大学だろうが,役所だろうが,企業だろうが,社会の至る所に,そのポジションに不適格な人なんていくらでもいるだろう.しかし,不適格だからと言って,何でもかんでも排除すればいいってものでもない.それにしても,こんなことで貴重な時間や労力を浪費しなければならないというのは哀れなことだ.怪文書を作成する側も作成される側も,まっとーな人生を歩んでくれ.

自分以外の人を思いやる

接するたびに陰鬱な気分にさせてくれるのが,「いじめを苦に自殺」というニュースだ.しかも,教員が生徒をいじめるなんて.ありえないだろう,そんなことは.全く信じられない.もう1つ,信じられないと言えば,飲酒運転だ.これだけ社会問題になっても,まだ他人事かよ.飲酒運転は危険運転として即刻刑務所行きにしたらいい.当然,ひき逃げも厳罰化すべきだ.人を殺してからでは遅いんだよ.

本当にどうなってるんだ,この国は...

ついでに,P2Pファイル共有ソフトを利用して,いまだに情報漏洩している輩は救いがたい.自分自身が痛い目に遭うまで,何があっても気付かないんだろうな.しかし,それで他人に一生拭えないような傷跡を残すとしたら,到底許されるものではないだろう.もちろん,便乗して悪行を働く輩もだ.P2Pファイル共有ソフトもソーシャルネットワークサービスも,もし使うなら,その危険性も認識して,きちんと使う能力を身に付けないとダメだ.それも情報リテラシーだ.

自分以外の人を思いやる.これだけのことなのに...

10月 152006
 

家族で公園へ

週末になると植物園や公園に出掛けることが多い.子供たちにとって,できるだけ自然の中で遊ぶのが良いだろうと思ってのことだ.それに加えて,忙しい日常から離れて,自然の中でのんびり過ごしたいという私自身の希望もある.元々,人混みは嫌いで,自然の中でボーッとしている方が好きだ.

京都府では,京都の歴史や文化を学んだり,豊かな自然に触れたり,スポーツ・レクリエーションを楽しんだり,様々な体験を通して,家族のふれあいを深めようという趣旨で,「親子のふれあい推進事業」を実施している.府内在住で,小学生以下の子供と対象施設を利用する場合,大人1名の使用料が免除されるという制度だ.対象施設は京都府立植物園など13施設あり,利用価値は高い.我が家では,京都府立植物園をよく利用している.

それでも,植物園ばかりでは芸がないので,今日は宝ヶ池に行くことにした.実は,その前に交通公園に行こうとしたのだが,駐車場が空いていなかった.

鯉にエサをやる

宝ヶ池には大きな錦鯉が結構たくさん泳いでいる.池の縁に立ち,鯉のエサやお菓子を投げ込む子供たちをジーッと見ていた長男に,「お魚にエサをあげてみたい?」と尋ねると,「うん!」という返事.そこで,たこ焼き屋で鯉のエサ(1袋100円)を購入し,長男に手渡す.何十匹という錦鯉が必死になってエサを奪い合う様子は迫力がある.手のひらに一杯のエサをバーッと撒いてみたり,「黄色のお魚にあげる」とか「赤のお魚にあげる」とか言って,一粒ずつ落としてみたりしながら,かなり長い時間楽しんでいた.

ドングリを拾う

秋に公園に行くと,よくドングリを拾う.拾ったドングリは,まだ割れたり芽が出たりしていないものを選りわけ,自宅に持ち帰る.今日は20個ぐらい拾っただろうか.

帰宅後,長男が大事にズボンのポケットにしまっておいたドングリを,汚れを落としてから熱湯消毒する.こうして準備されたドングリは,ままごとの材料として,あるいはトーマスやジェームスが牽引する貨車に載せる荷物として,長男の遊び道具になる.今日は,最初にフライパンで調理され,お皿に盛られて,ナイフとスプーンと一緒に,「はい,どうぞ.」と私に給仕された.しばらく一緒に食事をした後,そのドングリは貨車に載せられて,荷物に変身した.

プラスチック製で,派手な色で,ピーピーギャーギャーとうるさく,電池で動くような玩具が世の中には溢れているが,やはり,おもちゃも自然なものが良いと思う.良い木のおもちゃは決して安くはないが,ドングリなら公園にいくらでも落ちている.そういう自然の素材で,想像力を働かせて遊ぶのが,子供の本来の姿ではないだろうか.シュタイナー学校などでは,そういう遊びが徹底して取り入れられている.

トンボを捕まえる

今日の最大の戦果は,赤トンボを捕まえられたことだ.もちろん,素手で.

先日,府立植物園に行った際には,残念ながらトンボの捕獲に失敗した.代わりにカマキリを捕まえたので,長男は大喜びだったが...彼女は素手でトンボを捕まえるという行為にかなり懐疑的な様子で,その一方,長男はパパがトンボを捕まえてくれるものと大いに期待している.そんな状況で,一度はトンボを捕まえないと父親の威厳も何もあったものではない.

今日は,赤トンボを見付けた長男が,トンボに向かって腕や木の枝をグルグル回して,私の真似をしていた.トンボの目を回して捕まえる作戦だ.恐らく,長男は,目を回すというのが何なのか理解していないと思うが...

しばらく長男がトンボを追いかけ回した後,「じっとしてろ!」と長男に命じ,トンボ捕獲作戦を実行する.作戦と言っても,指をグルグル回しながらトンボに接近し,反対の手で羽を捕まえてしまうという原始的なものだ.が,それが大成功.見事,赤トンボを捕らえることができた.

捕まえた赤トンボを見つめ,その尾に触ったりした後で,放してやった.

10月 152006
 

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる
梅田望夫,筑摩書房,2006

今話題のWeb 2.0をキーワードに,Googleが引き起こそうとしている途方もない社会変革を含めて,今後の社会の方向性に関する考察がまとめてある.かなり内容の濃い,よく書けた本だ.

GoogleやWeb 2.0のインパクトは,インターネットのオタクの世界に留まるようなものでは決してないので,普通の人達も,その本質は何かを知る努力はした方が良いと思う.携帯電話は持たないと旧人類ぶりを発揮している私が,この分野の技術に強い関心を示すのは,そういう観点からだ.ちなみに,私が携帯電話を持たない理由は,2003年10月13日(月)の独り言「なぜ携帯電話を持たないのか」に書いてある.

普通に生活していると,知らず知らずのうちに,旧体制の文化にドップリ浸かってしまう危険性が高いので,こういう本を読んで,これからの世界の在り方,そこでの自分の生き方を考えてみたらよいのではないだろうか.

お薦めできる本だ.

10月 142006
 

「SICE、実践育成塾設立−ノウハウ伝授しプロセス制御の専門家養成」というニュースが,asahi.comの日刊工業新聞ニュースに掲載された.

http://www.asahi.com/digital/nikkanko/NKK200610120012.html

減少しつつあるプロセス制御の専門家を養成することを目的として,計測自動制御学会が設立した塾だ.受講条件がユニークで,プロセス制御の現場(企画,設計,実装,保守など)で10年以上の実績があることとされている.つまり,バリバリ活躍している中堅以上の制御エンジニアを対象とした塾ということだ.そんなエンジニアに,企業を退職した高度な経験と知識,見識を持つ技術者がノウハウを伝授するそうだ.確かに,講師陣には産学界の大御所がズラリと並んでいる.だが,そんな講師陣の末席に,なぜか私も入れていただいている.いやぁ,恐縮しまくりだ.ちなみに,私は定年までまだ30年近くある.

講座は,プロセス制御,PID制御,プラント計装,プロセスモデリング,モデル予測制御の5科目で,そのうち「プロセスモデリング」を私を含む2人の大学教員が担当する.

なお,記事にも書かれてあるとおり,このプロセス制御技術者実践育成塾では,教育だけでなく人脈の構築を非常に重視している.企業の垣根を越えて人脈を構築し,プロセス制御技術者のプレゼンスを高めようという意図がある.プロセス制御技術がきちんとしていなければ,まともな製品は製造できないので,2007年問題という言われ方もする技術伝承の問題解決も含めて,プロセス制御の重要性が認知され,この企画が成功すれば良いなと思う.