11月 102006
 

今なぜ教育改革なのか

いじめや必修科目未履修そのものも十分に酷い話だが,いじめや必修科目未履修の問題が発生した際の対応の酷さが,現在の教育問題の深刻さを明確に示している.まずは,最近のニュースをザッと眺めてみよう.

必修科目未履修関連の最近のニュース

栃木県立高は通知表を改ざん 県教委に虚偽報告
未履修、小中も調査 文科相「教委の黙認例も」
徳島の未履修高校長、生徒へうその説明指示
中学でも必修未履修 愛媛・愛光学園、県に虚偽報告

少数であるかもしれないが(少数であることを祈っているが),学校の先生や教育委員会のお偉方が嘘をつくことを悪いとも何とも思っていないことが伺える.こういう人達が,一体どうやって子供の人格教育をしようというのか.ふざけるにも程がある.

いじめ関連の最近のニュース

福岡中2自殺 学校がアンケートを勝手に変更?!
「偽善者」と呼んだ教諭、経験豊富だが悪ふざけも
小6女児自殺、滝川市長らが遺族に陳謝
教室自殺の女児が「いじめ」遺書 市教委は公表せず
遺族参加は拒否 福岡の中2いじめ自殺調査委
「原因はいじめ」中2自殺で学校、遺族に謝罪へ
岐阜の中2自殺 いじめあった→なかった→言葉足らず 学校の説明は二転三転
「サイン気づかず…」岐阜の中2自殺で学校側謝罪

呆れて開いた口が塞がらないとは,まさにこういう状況のことだろう.教師がいじめを先導し,学校は生徒の感情なんて無視して,保身のために事実を認めず,さらには嘘までつく始末.最低だ.

このままではダメなのは一目瞭然だ.教育改革が叫ばれるのも無理はない.

もちろん,上記のニュースに出てくるような許し難い人間ばかりが教育現場にいるわけではない.生徒のためを想い,日々苦労している教師の方がずっと多いだろう.しかし,重大な問題が起こるのは極めて稀なケースだという言い逃れは通用しない.いじめにしても,未履修にしても,どこにでもある問題なのだから,大規模な改革が必要だという声は当然出てくる.

1つ付け加えておくならば,PISA2003(国際的な学力調査)の結果が公表された際に,日本の学力は酷く低下していると大々的に喧伝され,ゆとり教育に対する非難がなされると共に,学力向上が重要課題として認識されたことも教育改革の加速に影響しているのだろう.

具体的に何を改革しないといけないのか

教育改革が必要だと叫んでみても,そんな曖昧な主張では何も意味がない.教育改革と称して,何を改革しないといけないのだろうか.様々な立場からの意見があると思うが,きちっと根拠を示して意見を主張しないといけない.そうでないと,議論にもならない.

次の記事は,何を改革すべきかを考える際の参考になるだろう.

教委を抜本改革 「問題教員」対策探る 教育再生会議

安倍晋三首相の諮問機関「教育再生会議」は8日、都内のホテルで「学校再生」と「規範意識・家族・地域教育再生」をそれぞれテーマにした第1、第2両分科会の合同部会を開いた。いじめ事件や高校必修科目の未履修問題への対応を協議し、教育委員会のあり方を抜本的に見直すことで一致。教員免許更新制については、具体的な効果が見込める方策を探ることになった。

(産経新聞)

この記事の中で,以下のような指摘がなされている.

背景に日教組

この日は、超党派の保守系議員でつくる日本会議国会議員懇談会の会合でも、全国で多発するいじめ事件や未履修問題に関する議論があった。会合では、日本会議の江崎道朗専任研究員が、山谷補佐官らが福岡県筑前町に入った際も、教委や学校関係者から話を聴くにとどまり、現場の三輪中学で直接調査することはできなかったことを指摘。教委や議員が学校現場に立ち入ることについて、日教組などが教育基本法10条の「不当な支配」に当たるとして拒否してきたことが報告された。三輪中学のある朝倉郡は、日教組の組織率が6割を超える。江崎氏はまた、学習指導要領に沿って授業を実施しているかなど教員を監督・指導すべき教委の指導主事が、長年、日教組による「指導主事訪問拒否闘争」によって、学校内に入れなかった実態も報告した。山梨県教委の場合は、違法な政治活動をした教員らへの適正処分を求める文部科学省の指導を、県教委が当初拒否。後に教委幹部が、自身も過去に山梨県教組の政治団体に資金カンパを行ったことを認めた事例もある。

全く度肝を抜かれてしまう.いじめ犯罪の現場である学校を,首相補佐官が訪問しようとしたところ,これを「不当な支配」として日教組などが拒否したというのだ.そして,その根拠が教育基本法だ.教育現場にとっての教育基本法とは,そういうものなわけだ.自浄能力もなく,既得権益にしがみついておきたい面々にとっての便利な法律というわけだ.綺麗事ばかり言ったところで,実態がこれでは,国民の多くは改正反対なんて主張に耳を貸す気にはならないのではないか.

我が子を学校に託す親としても,個々の教員の指導能力がどうとか,そういう議論もあるだろうが,もっと巨大な問題もあるということに,まずは気付く必要がある.知らないことには,何も始まらない.

教育改革と教育基本法の改正と繋がり

教育改革の必要性が明白だとして,それが教育基本法の改正に繋がるのだろうか.逆に,教育基本法を改正すれば,少しは教育の問題がましになるのだろうか.

先に述べたように,日教組などが教育基本法10条の「不当な支配」という文言を盾に,教育現場でやりたい放題であることが指摘されている.これを正すためには,教育基本法改正が必要だという意見も一理ある.一理あるどころか,非常に説得力がある.

しかし,問題はそんなに簡単ではない.実は,教育基本法賛成派と反対派の大きな溝は,この10条にあるらしい.現行法と政府案を見ておこう.

現行法 第10条

教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである。

政府案 第16条

教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。

この違いは明らかだろう.現行法に比べて,政府案では法律の力が圧倒的に強くなる.日本政府を信頼していない者に言わせれば,政府案を絶対に成立させてはならないということになるのは当然だ.要するに,官僚が政府あるいは自分達に都合の良い法律をササッとどさくさに紛れて成立させてしまえば(実際どさくさに紛れて国会を通過した法律なんていくらでもある),それを盾に教育行政と称してやりたい放題できるようになるということだ.「そんな暴挙を許してはならない」というのが反対派の主張だ.これも一理ある.

当然のことだが,賛成派にも反対派にも言い分はある.だが,現在の教育問題を解決していく努力が必要であるし,教育基本法10条の「不当な支配」という文言の乱用も阻止する必要もある.どのような方法が良いのだろうか.教育基本法の改正は必要なのだろうか.

1つ言えることは,教育基本法10条には,「国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである」と明記されているのだから,何でも「不当な支配」にしてしまう不当な主張に対しては,お前達は国民への責任を果たしていないと糾弾できるはずだ.なぜ,教育行政はそうしないのだろうか.また,なぜ,日教組などは国民への責任を果たそうとしないのだろうか.

報道の偏り

教育基本法の改正に関する報道では,「愛国心」ばかりが強調されているように感じる.

「教育再生」へ基本法改正案、審議入り

衆院教育基本法特別委員会は25日午前、政府提出の教育基本法改正案と民主党が対案として提出している日本国教育基本法案の提案理由説明を行い、審議入りした。政府案、民主党案はともに、さきの通常国会に提出され、特別委員会で49時間審議し、継続審議となった。審議では「教育の目標」に盛り込まれた「愛国心」の表記や評価方法が焦点となった。政府案は前文と18条、民主党案は前文と21条で構成。「愛国心」について、政府案は、「我が国と郷土を愛する態度を養う」としたのに対し、民主党案では、「日本を愛する心を涵養(かんよう)」と明記した。

(産経新聞)

もちろん,愛国心の問題も重要だが,多くの論点の1つに過ぎない.テレビや新聞,それにパソコンから我々が得ている情報というのは,情報提供者によって操作されたものだ.嘘はついていなくとも,事実を取捨選択することにより,いくらでも印象を変えることはできる.きちっと物事を考える習慣のない大衆による世論を誘導することも難しくはない.マスメディアの常套手段だ.表現の自由が侵されそうになると異様に叫ぶが,すべては自己の利益のためだ.報道番組でキャスターやコメンテータが偉そうなことを言ってみても,同じテレビ局がいじめを助長するような低俗な番組をせっせと流していることには触れもしない.そういう場所から送られてくる情報のみで動くのは賢明とは言えないだろう.インターネットでも同じだ.不特定多数の様々な意見が検索できると思っている人がいるかもしれないが,検索サイトが気に入らない記事を検索結果に掲載しないことぐらい簡単だ.実際,中国ではそうやって閲覧できるサイトを政府が規制している.それに,Googleなど巨大IT企業が協力している.

「天安門事件」「法輪功」サイト見つからず――中国版Googleの検閲実態

「GoogleはMicrosoftやYahoo!に続き、オンライン人口が増大する中国に足場を築く狙いで中国政府の要求に屈した」とHRICは批判している。

話が散逸してしまいそうだが,教育に関わる職にある者として,自分で情報を吟味し,自分で判断することができ,しかも適切な判断が下せるだけの教養を持つ人物になりたいし,そういう人物を育てたいと思う.

  7 Responses to “教育改革と教育基本法の改正”

  1. 羽田孜元首相・・・・小沢民主党はこれでいく…

    TBさせていただきます。民主党・羽田孜元総理にお話をきいてきました。 (more…)

  2. やらせと偽装のオンパレード国家? 〜危うい日本国の将来〜…

    ※長文の為、?〜?に記事を分けています。■同タイトル記事 やらせと偽装のオンパレード国家? 〜危うい日本国の将来〜:http://www.its-netservice (more…)

  3. ゆとり教育に厳しい意見…

    (実施期間:2006年11月10日~ 2006年11月16日)「ゆとり教育」は、履修不足問題にも影響したといいます。あなたは「ゆとり教育」をどう評価しますか?ゆとり教育 (more…)

  4. いじめの現状とこども達の可能性…

    11月15日の読売新聞に『無視や悪口など精神的いじめ「被害も加害も経験」4割…… (more…)

  5. トラックバックさせていただきました!

    いじめ問題、未履修問題から派生する教育改革議論が盛り上がっていますが、その背後には左翼系:日教組に対する右翼系(←再軍備):安倍首相の策略があるのでは?と勘ぐってしまいます。

  6. 造反議員は復党させるな2…

    国民の声を聞きながら判断するって言ってるけど、

    国民の顔色を伺いながらどうやって自分たちの意見を

    押し通すかの間違いじゃないのか。
    (more…)

  7. 必要?日教組:約3億円も1年間に使っちゃう。…

    三億円ですか!?広告費と運動の宿泊費・飲食代・交通費。んー。もちろん、息のかかったところへお金が流れているのね。しかし、平日からデモって、先生・・ヒマなのね。 (more…)

Leave a Reply to sashow Cancel reply

You may use these HTML tags and attributes: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>