12月 232006
 

書いてあることをまとめると...

今,公に行われている少子化についての議論は,生まれてくる子供の幸せなんて全く眼中にない.年金を取り損ねないための道具,あるいは経済力維持のための労働力としてしか,子供を見ていない.そんな国に生まれてくる子供は幸せなのだろうか.そもそもの少子化の問題は,そういう部分にあるのではないか.日本が子供の幸せを考えない国であるということに.

それでも少子化を食い止めるというのであれば,親の経済的負担を減らし,国全体で人材を育てるという観点で,1)保育園から高等学校までの公教育をすべて無料にする,2)優秀な大学生に対する奨学金制度を企業の負担で構築する,という政策を提案する.


少子化になったら,誰が何に困るのか

少子化問題と騒がれるが,子供の数が少なくなったら,誰が何に困るのか.まず,ここをハッキリさせる必要がある.ニュースなどをザッと見る限り,現行の年金制度が維持できなくなることが最大の問題ということらしい.今の若い世代は今の年金制度なんて有名無実(国家的詐欺に近い)と覚悟している,あるいは覚悟せざるを得ないだろうから,そうすると,既に現役を退いた高齢者を含め,既に社会で働いている人達が,自分が年金をもらえなくなるのは嫌だ!と騒いでいるのが少子化問題ということになる.

年金制度

年金制度の話になると,世代間不平等や世代間格差をなくせということがよく言われる.要するに,今の高齢者は大した金額の保険料を支払ったわけでもないのに,年金を沢山もらいすぎだということだ.もちろん,自分も沢山もらえるなら,誰もそんな文句は言わない.自分には既得権益が与えられないからこそ,文句を言うわけだ.つまり,「私たちはこれだけ保険料を納めても将来これだけしか年金をもらえない.それなのに,今の年寄りは沢山もらいやがって.ずるいじゃないか.年寄りの年金を減らせ!」というわけだ.ただ,その年寄りを扶養する立場にある人達にしてみれば,年寄りの年金が減ったら,自分達の扶養負担が増えるだけで何も良いことがない.それに,人数で勝る高齢者には選挙という強い道具もある.だから,「年寄りから取り上げられないなら,子供から取れ!」ということになる.子供には選挙権がないし,ましてや生まれる前ならどうしようもない.子供から取りはぐれないようにするためには,子供の数を減らしてはならない.これが俗に言う少子化問題だろう.

ちなみに,最悪のシナリオも想定して行動する私は,保険料だけ徴収されて,公的年金がもらえないという事態も想定して生活設計している.国家が個人を守ってくれるなんていう幻想を持ち合わせてはいない.正直,日本全体を覆うこのペシミズムが諸悪の根源の一歩手前なのだろうと思う.もちろん,諸悪の根源はそんな社会にした日本の政治だ.


少子化問題はエゴイズムの衝突?

「もらえる年金が俺の方が少ない!そんなの嫌だ!」的な幼稚園か保育園の駄駄っ子レベルの思考回路で,少子化問題を捉えていても仕方ない.低俗なエゴイズムでギャーギャー騒いでいたい人達は好きにしたらいいが,政治家や官僚がそれでは情けないし,マスメディアがそんなレベルの情報ばかり垂れ流すのも問題だ.

少子化は進むだろう.でも,もしかすると進まないかもしれない.そういう状況で,超楽観的な予想に基づいて制度設計をしたらダメなことぐらい,小学生でも分かるだろう.政治の世界では大人がわからない振りをするわけだが,そんな大人の背中を見て育った子供がまともに育つはずはない.少子化が進もうが進まなかろうが,きちんと維持できる年金制度を構築する必要がある.その移行過程で得すると感じる人も損すると感じる人もあるだろうが,もうゴチャゴチャ言うな.全員ハッピーの答えなんてあるわけないのだから.日本の財政が破綻状態なことぐらい知ってるはずだ.それでも,まだ,自分の損得だけ考えて,つけを将来の子供たちにまわすつもりか.

公務員,サラリーマン,自営業者の年金制度はバラバラだ.誰が得しているだの損しているだのと指摘し合って,そのバランスを取ることが年金改革みたいになっているが,そんな枝葉末節に拘っている暇があるのか.自分達の子供に,これから生まれてくる世代に,どんな制度を残すつもりなのか.そこが肝心ではないのか.そういう政治は日本では無理なのか.無理だから今の現実があるわけだが,愚痴を言ってみたくもなる...


国家としての少子化問題

個人の年金がどうなるなんて話は,もう止めにしておこう.少子化問題としては,それよりも国力の減衰の方が大きな問題だろう.連日,景気がどうこうというニュースが流れるわけだが,少子化による労働人口の減少が続けば,景気は悪化の一途を辿ることになる.今のGDPを維持できはしない.いざなぎ景気を超える好景気らしい現在,それでも庶民は自分は貧乏だと訴えているわけだ.これ以上景気が悪くなれば,どうなることか.

このように考えると,年金維持のための少子化対策ではなく,日本の経済力維持のための少子化対策が必要ということになる.この場合,年金維持とは異なるオプションがありうる.それは,移民の受入だ.日本には3つのオプションがある.

  1. 少子化対策のため,抜本的な制度改革を行い,国民が我先に子供を欲しがるような国にする.
  2. 労働人口の減少を補うだけの移民を海外から受け入れる.
  3. 人口減少を受け入れる.

こう言っていたのは,ジム・ロジャースだったかな(?).理想的なのは1だろう.アメリカでも欧州でも移民問題は深刻だ.「こんなに失業率が高く,国民が困っているのに,移民なんかに職を与えるな」とか,「外国人が増えると犯罪が増える」とか,環境が悪くなると真っ先に移民が悪者にされてしまう.特に外国人アレルギーの強い日本ではそうなるだろう.極右勢力の台頭も懸念される.移民の受入がうまくいくとは想像しがたい.

では,3はどうだろうか.経済成長なんて必要ない.今の生活を維持できたら,それでいい.そういう人達も少なくないだろう.しかし,どうすれば,今の生活を維持できるだろうか.世界には,中国10億人,インド6億人をはじめ,日本人の「今の生活」を目指して必死に努力するであろう人達が大勢いるわけだ.仮に,それらの人の食事だけでも日本人レベルになれば,もう食料戦争に突入するしかない.それらの人が車に乗れば,資源戦争は免れない.力尽くでも今の生活を維持する根性があるか.過去の日本文化・日本人の精神性が国際社会に与えた畏敬の念を食い潰しながら,経済力だけで何とか威厳を保っている日本が,その経済力を失ってしまったらどうなるか.それこそ,どこかの強国の属国になってしまうのではないだろうか.


少子化対策

いずれにせよ,公に行われている少子化についての議論は,生まれてくる子供の幸せなんて眼中にない.年金を取り損ねないための道具,あるいは経済力維持のための労働力としてしか,子供を見ていない.そんな国に生まれてくる子供は幸せなのだろうか.そもそもの少子化の問題は,そういう部分にあるのではないか.日本が子供の幸せを考えない国であるということに.そんな国で子供を産み育てたいと思えるだろうか.

自称貧乏である多くの日本人が,子供を産まない理由として経済的理由を挙げている以上,経済的な負担を取り除く施策は不可欠だろう.そうだとしたら,保育園から高等学校までの公教育をすべて無料にしてしまったらどうか.給食費も含めて.日本の将来を背負う貴重な人材を育成するのに何をケチる必要があるのか.子供の有無なんて関係ない.全国民が人材育成に対して義務を負うのだ.それで何か不都合なことがあるか.

遊び呆けている馬鹿者を税金で養う必要はないので,大学および大学院は有料で構わない.その代わり,奨学金制度を充実させて,優秀な学生の学費は免除する.例えば,各大学の上位?%の学生に1人年間100万円とか.この奨学金に必要な資金は,その学生を採用した企業が負担する.優秀な学生を採用した恩恵を受ける企業が,その学生が教育を受けるのに要した費用を支出するわけだ.各大学が上位?%の学生に奨学金を出せるかは,間接的に企業が決める.つまり,奨学金を出してまでお宅の学生は要りませんと企業にいわれるような大学は,学生に奨学金を出せなくなる.これがダメなら,法人税で賄えばいい.


少子化に関する記事

少子化に関する記事のいくつかを以下に示しておく.

将来人口推計 子供は宝ではなかったか

いまや子供を「国の宝」とするような政策が求められているのではないか。(中略)少子高齢化は、社会の活力を失い、年金、介護、医療といった社会保障制度に大きな影響を与える。とくに年金制度は大きな打撃を被る。公的年金は、現役世代が高齢者を支えるシステムで成り立っているからである。(中略)かつて日本は子供が宝物だった。そのことを国民一人一人が自覚することで、少しでも少子高齢化に歯止めをかけたい。

要するに,自分が年金をちゃんともらえるように,国民は子供を増やすように努力しろということだ.

年100万人ずつ日本人が消えいく時代

厚生労働省は20日、社会保障審議会の人口部会を開き、合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子供の平均数の推計値)が、中位推計(最も実現性が高いとみられる推計)で、2055年に1・26になるとした新たな将来人口推計を発表した。前回推計では1・39まで回復するとしていたが、晩婚・晩産化が進み大幅に下方修正した。人口は加速度的に減り続け30年後の2035年に減少幅が年間100万人を突破。以降もほぼ同じペースで減る深刻な人口減少社会が到来するという。

下方修正しても,まだ甘いのだろう.誰も役所の予想なんて信用していない.しかし,これで制度設計されるのだから困ったものだ.

50年後、労働者2171万人が消える…現在の3分の2に

50年後の日本の労働力人口(15歳以上の就業者と求職者の合計)は、今と比べて2171万人も減ってしまう。少子化が日本社会にもたらす弊害はいろいろと指摘されているが、こんな衝撃的な結果が勤労感謝の日の23日、厚生労働省の試算で分かった。(中略)労働力人口の減少は経済成長に深刻な影響を与えかねず、新たな少子化対策を求める声がさらに強まりそうだ。

要するに,経済成長を維持するために少子化対策をせよということだ.

「家族の日」作ります 少子化対策の一環として

政府は少子化対策の一環として、来年度から「家族の日」を制定することを決め、来年度予算の概算要求に関連行事の開催費用など9500万円を盛り込んだ。11月23日などが有力だ。

なぜ9500万円も必要なのかわからないが,「家族の日」を制定するという作戦は効果があるかもしれない.ホワイトデー,父の日,母の日のように,いつのまにかプレゼントするのが当然という風潮にされてしまったように.

少子化背景に経済的な理由

予想を上回るスピードで進む少子化−。その対策は政府の重点政策の一つにもなっている。インターワイヤードのアンケートによると、少子化問題に「やや関心がある」と「とても関心がある」をあわせて78%に上り、関心の高さがうかがえる。特に60歳以上の男女と、子育て世代である20、30代の女性で関心が高い。少子社会で心配なことは「年金の支払額や医療費などの増加」「税金の1人当たりの負担額の増加」という経済的な回答が、それぞれ7割超となった。原因でも「経済的な余裕がない」が1位となり、経済的な問題が少子化の背景にあると考える人が多いことがうかがえる。有効な対策としては、国には「子供を育てやすい社会環境作り」、企業には「出産・育児休暇などを取りやすくする」が一番求められているという結果になった。ちなみに、職場に出産・育児休暇などの支援制度があっても「利用しにくい」という人が42%と多かった。

要するに,少子化問題とはお金の問題なのだ.

少子化対策?!「孫誕生休暇」9連休ですって

第一生命保険は3日、孫が生まれた職員に連続9日間の休暇取得を認める育児支援制度を10月から導入したと発表した。(中略)第一生命では全職員のうち、50歳代以上のベテラン職員が約3割を占めている。新制度の導入はベテラン職員からの「まとまった休暇を取って孫の出産を手伝いたい」という要望に応えた形だ。第一生命では「少しでも出産しやすくする環境作りになれば」としている。

少子化対策ではない思うが,子供を産む母親にとって有り難い制度であることは間違いない.

不妊治療の助成、少子化対策で20万円に倍増

厚生労働省は26日、少子化対策の一環として、不妊治療のうち健康保険が使えない体外受精と顕微授精に対する公的助成を拡充することを明らかにした。1世帯あたりの助成額を現在の年間10万円から20万円に倍増するほか、助成が受けられる所得制限を緩和するもので、平成19年4月からの実施を目指す。厚労省の推計(14年度)では、不妊治療を受けた患者は46万6900人に上っており、出産を望んでいる夫婦への直接的な支援で少子化に歯止めをかけたい考えだ。

少子化対策として,不妊対策というのは重要に思う.避妊しか頭にない人達には理解しづらいかもしれないが,子供が欲しくてもできないで悩んでいる人は少なくない.体外受精や顕微授精だけでなく,もっと軽度の不妊についても支援制度を充実させた方がよいと思う.単にお金をばらまくだけでなく,そういう病院や医師を増やすなど.金銭的ダメージよりも精神的なダメージが深刻だと思うので.

谷垣氏「少子化対策で低所得者の出産に控除を」

自民党総裁選への出馬を表明した谷垣禎一財務相は31日午後、福岡市内で講演し、消費税以外の税制の在り方について「所得税の中で『子宝税制』を考えていく必要がある。税額控除を取り入れて、所得の低い人にも子どもを産んだ場合にメリットを感じてもらえるようなことを、児童手当と組み合わせていくべきではないか」と述べ、少子化対策として低所得者層に配慮した新たな税制の必要性を強調した。一方、相続税に関しては「もう少しもらう方向で検討せざるをえない」として、富裕層への課税強化で不公平感の解消を図る考えを示した。

低所得者への支援も必要だろうが,それで十分なのか.どういう国家像を描いているのか.

  5 Responses to “少子化問題って何?”

  1. [...] 少子化問題って何?中略)少子高齢化は、社会の活力を失い、年金、介護、医療といった社会保障制度に 大きな影響を与える。とくに年金制度は大きな打撃を被る。 … そのことを国民一人一 人が自覚することで、少しでも少子高齢化に歯止めをかけたい。 要するに,自分が年金を … [...]

  2. 少子化問題…もう「産め産め節」は止めませんか?…

    ■「産め産め節」を唱える「産め産め族」

     どうもです。都筑てんがです。
     体調不良で、ここしばらくダウンしてました。

     で、今回は、柳沢発言関連…ていうか (more…)

  3. 年金・税金の確保のための「働きアリ増化計画」でしかない。
    政府が「これからも年金・税金を無駄使いしたい」という意思表示ですよ。

    なのに子供を3人ぐらい居る人に対し「少子化対策に一役かってますね」なんて会話が嫌いです。

  4. 初めまして。当方、アメリカ在住の既婚、子供一人有り、46歳、現在怪我の後遺症により、無職です。

    アメリカの年金制度は日本のそれと違って、世代間扶養じゃないんですよ。ですから、自分で蓄える貯金に似ています。それは、ともかくとして、私が言いたいのは、日本の親は「私は親に育ててもらったから、その分、子供に返して、子供も将来子供を持って・・・」って言う連鎖が、子供を持たなかった人で、堰き止められるのが、不公平だと思っている。自分は親に育ててもらって、子供を育てるコストは払わないで、遊んで、好き勝手、それで、他人(自分)が苦労して育てた子に養ってもらえば良いなどと、親にしてみれば、たわけ〜ですね。子供を持た無くても、年金掛けてるから大丈夫って、あれは貯金じゃなくて、年金を受け取る権利を買っている様なものですし、税率高いとか子供なしの人は言うけど、子供に使うお金の個人支出は、そんな税率の差額だけで追いつかない、年金は世代間扶助だから、今の子世代が将来稼ぎ出す額を、貰うだけで、貯金じゃない。
    親が育てた手間賃(保育料)と、働く機会が子供のせいで削られた分、子供がいないと稼げたはずの賃金は、子供のいなかった人は自分等の子供に頼るくせに、どうやって穴埋めしてくれるんだよ、不公平じゃないか、いっそ、年金なんて廃止して、自分の育てた子に養った貰うようにすれば、少子化は止まるよ。って言ってる人までいます。
    私は解決策として、子供無かった人相互補助、と子供育てた人相互補助に分けてしまえば良いと思うんですよ。
    アメリカにあるんです、年寄りだけの町。子供持たなかった、独身だった人が行く町が。
    子供がいた引退者は、普通に子供とかその親と同じ町で共同生活している事が多いです。
    生きてきた状況が似ているほうが、一緒にいやすいと思うんですよね。喫煙者と非喫煙者が、レストランで席を隔てる状況と同じ効果があると思います。子供を育てなかった人は、子供育てなかった同士で助け合えばいいし、子供を育てた人は子供育てた同士で助け合い決めて行き、お互い干渉しない。アメリカでは上手くいってますよ。住み分け。政府も、子育て支援とか、埋めよ増やせよって、富国強兵じゃ有るまいし、それ言ってないで、「住み分け」にもっと、力を入れるべきだと思います。そうしないと、子供育てても、育てなくても、公平間が無い限り、日本は衰退し、滅びそう。政治家に、もっと、知恵を絞って欲しいですね。(絞るだけの脳味噌、無かったりして。)

  5. アメリカの日本オバサン,はじめまして.

    いいですね.私もまた,アメリカで生活したいです.

    少子化問題というのは社会設計そのものなので,まじめに考えると凄く難しいなと感じます.私は,子供を持たない人が必ずしも悪いとは思いません.確かに,子供の養育費は凄い額になりますから,子供を持つ人と持たない人とでは可処分所得が大きく異なりますし,子供を持たない人が金銭面で恵まれていると言えるでしょう.しかし,子供を育てる喜びとか,そこで得られる充足感や人間的成長もあるわけで,簡単には金銭価値で置き換えられないと思いませんか.しかも,子供を持たない人は,死ぬときまでに全財産をなくさなければなりません.相続先がないわけですから.そういう意味では,国庫を潤すか,経済を活性化させるかに貢献するために,働いているわけです.というか,老後,寂しいですって.間違いなく.それでも,子供を持たないことをうらやましく思えますか.

    「私は解決策として、子供無かった人相互補助、と子供育てた人相互補助に分けてしまえば良いと思うんですよ。」

    すみません.これは理解できませんでした.住み分けで何が解決するのでしょうか? 私はアメリカでの生活が気に入っていましたが,金持ちと貧乏人が柵を隔ててしか共存できない社会が良いとは思えません.残念ながら,日本もその方向に進んでいるように感じますが.

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