12月 282006
 

先日,「学資保険は魅力的でない」と題して,我が家で学資保険は使っていないと書いた.ここで補足説明をしておこう.

郵便局(簡保)の学資保険

学資保険のことを書いたので,この機会に世間にどんな情報が流れているのか見ておこうと,ウェブサイトを巡回してみた.まあ,すごい数のウェブサイトがある.星の数ほどある学資保険ページの中で,検索で一番に出てくるのが,郵便局の簡易保険(簡保)の学資保険のページだ.簡単な説明の後,注意事項にこう書いてある.

加入年齢、保険期間、性別等により、払い込まれる保険料の総額よりも、支払われる生存保険金額及び満期保険金額の総額が少ない場合があります。

さて,ここで,きちんと考えないといけない.

学資保険に入る目的は何か.大学進学時(中学や高校を含んでもよい)に必要になる教育資金を準備するのが目的のはずだ.それなのに,払い込んだ保険料よりも,子供の大学進学時にもらえる保険金額の方が小さくても良いのだろうか.世間には銀行預金の利率が低すぎると不満を露わにしている人も多いが,郵便局(かんぽ)の学資保険の利率はマイナスだ.それでも構わないのか.

もちろん,簡保の学資保険は保障重視型だから,病気や怪我,特に災害が理由で死亡した場合には,手厚い保障が受けられる.このことは,きちんと認識しておかないといけない.銀行預金とは明らかに違う.その保障を得るためのコストがかかるので,利回りが低くなるわけだ.でも,保障目的で学資保険に入るのか?

子供を持つ人なら,大抵,死亡保障のついた生命保険に加入しているだろう.その上で,計画的に教育資金を積み立てるために良い商品はないかと考えて,学資保険を検討するのではないだろうか.そうだとしたら,支払った金額すら戻ってこないような学資保険にどれほどの魅力があるだろうか.

子供が生まれたら,責任のある親として,簡保の学資保険にぐらい入ろう!なんて考えはやめた方がよい.きちんと吟味してから判断すべきだ.

貯蓄重視型の学資保険

元本割れする簡保の学資保険はさすがに嫌だという親は多いようで,貯蓄重視型の学資保険が人気らしい.例えば,ソニー生命の学資保険がある.そのウェブページには,「貯蓄性で選ばれています」と書いてある.

では,その貯蓄性を検討しておこう.あなたに生まれたばかりの子供がいるとする.大学進学を目前に控えた17歳で満期保険金を受け取るように設計したとする.契約者の年齢や性別にもよるが,17年間の支払総額を100万円とすると,満期時にもらえる金額は約110万円だ(利差配当を除く).10%も増えるのだから,マイナスになりかねない簡保の学資保険よりも貯蓄性が有利であることがわかる.しかし,10%というのは多いのか少ないのか.10%増えるのは嬉しいことだが,17年もかけていることに注意しなければならない.「10%も増えるの!ラッキー!」なんて単純な発想では将来が心配だ.

貯蓄性を評価するために,一年間にどれだけ増えるのかを計算してみよう.複利計算の問題だ.荒っぽく計算すると,17年間で10%増えるためは,毎年の利回りが1.2%程度でなければならない.今のご時世には,悪くない数字だ.銀行の定期預金はもちろん,個人向け国債の利回りよりも高い.

教育費用の高騰を知っておくべき

それでも,これで十分なのかという疑問は残る.バブル崩壊後デフレに悩まされてきた日本では,年率1%でも高いと感じてしまうが,正常な世の中なら,そんな低い利回りでお金を貸す(預ける)人なんていないだろう.この超低金利時代に,長期固定金利でお金を預けるのは得策ではない.インフレに対してあまりにも脆すぎる.インフレなんてと思うかもしれないが,学資保険の保険期間は20年弱にも及ぶ.その間,物価が安定し続けると仮定する方が無理があるのではないか.それに,物価は下がっていても,教育費用は上がり続けていることを認識する必要がある.かなり古いが,文部科学省高等教育局高等教育企画課が作成した「国立・公立・私立大学の授業料及び入学料の推移」という資料を転記しておく.この資料を見れば,日本の高等教育政策がわかるだろう.「貧乏人は大学に行かなくていい」ということだ.今後も,国立大学法人の授業料は私立大学の授業料を目指して上がり続けると予想される.今から17年後,どうなっているだろうか.想像力を働かせてほしい.

国立・公立・私立大学の授業料及び入学料の推移(一部抜粋)

年度 国立大学 公立大学 私立大学
授業料 入学料 授業料 入学料 授業料 入学料
昭和50
51
52
53
54
55
56
57
58
59
60
61
62
63
平成元








10
11
12
13
14

36,000
96,000

144,000

180,000

216,000

252,000


300,000

339,600

375,600

411,600

447,600

469,200

478,800

496,800

50,000

60,000

80,000

100,000

120,000


150,000

180,000
185,400
206,000

230,000

260,000

270,000

275,000

277,000

282,000

27,847
66,582
78,141
110,691
134,618
157,412
174,706
198,529
210,000
236,470
250,941
252,000
290,400
298,667
331,686
337,105
366,032
374,160
405,840
410,757
440,471
446,146
463,629
469,200
477,015
478,800
491,170

25,068
74,220
80,152
90,909
104,091
119,000
139,118
150,000
167,265
178,882
179,471
219,667
230,514
261,639
268,486
287,341
295,798
324,775
329,467
357,787
363,745
371,288
373,893
375,743
381,271
383,607
387,200

182,677
221,844
248,066
286,568
325,198
355,156
380,253
406,261
433,200
451,722
475,325
497,826
517,395
539,591
570,584
615,486
641,608
668,460
688,046
708,847
728,365
744,733
757,158
770,024
783,298
789,659
799,973

95,584
121,888
135,205
157,019
175,999
190,113
201,611
212,650
219,428
225,820
235,769
241,275
245,263
251,124
256,600
266,603
271,151
271,948
275,824
280,892
282,574
287,581
288,471
290,799
290,815
290,691
286,528

一部は積極的に運用する

ここまで書けば,なぜ私が株式型投資信託で学資を積み立てているのか,それに加えて商品や不動産を検討しているのかが理解してもらえるだろう.預貯金を全部株式投資にまわせとか,そんな暴論を吐くつもりはない.しかし,現実に教育費は高騰を続けており,将来必要になる教育費用をきちんと積み立てるのは簡単ではない.そうであれば,インフレヘッジも考えておくべきだし,そのために積立の一部を積極的に運用するのは理にかなっていると思われる.

投資信託と学資保険の違いということで言えば,流動性も挙げられる.保険に加入してしまうと,解約したら損になるとか,そういうことを気にしなければならない.緊急時に保険を現金化するのが難しい.一方,投資信託であれば,いつでも現金化できる.この流動性の差は見過ごせない.一般に,流動性の高い金融商品ほど利回りは低くなる.定期預金よりも普通預金の方が利率が低いのも,このためだ.20年弱も資金が固定されるのであれば,それに相応しい利回りを求めなければならない.

子供の教育費だけの話ではない.自分の老後を想像しても,積極運用は望ましいのではないだろうか.

  2 Responses to “高騰する教育費用 vs 学資保険”

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