1月 162007
 

広島県東広島市の西条に,造酒屋が建ち並ぶ酒造通りがある.内部の見学もできるらしいということで賀茂鶴酒造株式会社に立ち寄ることにした.賀茂鶴は,元和9年(1623年)第一期創業,明治6年(1873年)第二期創業という歴史ある造酒屋で,最高級酒の出荷比率は抜群の日本一という高級酒メーカーだそうだ.

まず,見学室に案内され,試飲させてもらった.机に並べられていた清酒から,見た目が一番高そうな「特製ゴールド賀茂鶴」という大吟醸(一升瓶5193円)をいただいた.この大吟醸は,なんと日本初の大吟醸なのだそうだ.「おいしいですねぇ」と話していると,案内していただいたおじさんが蔵の奥の方から別の瓶を持って来られた.

「まあ,ちょっと,これを飲んでみな」という勧めに従い,少しいただく.もの凄くサッパリしていて,無茶苦茶美味しい.しかも,いくらでも飲めそうな感じ.ラベルには「双鶴」と書かれてある.カタログを見ると,賀茂鶴の大吟醸限定品で,一升瓶10443円.価格だけのことはある.「これ,凄く美味しいですねぇ!いくらでも飲めますよ!」と喜んでいると,「そりゃうめぇよ.ぜんぶ手作り.山田錦の38%精米だ.」とのこと.38%精米というのは,玄米に対して38%の大きさまで磨き,心白(高品位デンプン)の部分だけで酒を醸すことを意味する.精米で,高級米である山田錦のおよそ2/3を取り去ってしまうわけだ.しかも,精米時間は100時間近いそうだ.自宅の精米器は5分ぐらいで玄米を5分つき米にしてくれる.えらい違いだ...

酒造りに使う道具などを説明してもらった後で,「ちょっと,ついてきな」と言われ,ノコノコとおじさんの後についていく.酒造蔵に案内された.中は良い匂いがする.日本最大という「こしき(米を蒸す樽?)」などを見ながら,さらにその奥に案内される.そこで,おじさんが柄の長い柄杓(ひしゃく)を手に取り,容器の中にチョロチョロと流れ込んでいる液体をすくい,「まあ,飲んでみな」と言って,柄杓を手渡してくれた.一口飲むと,これも凄くサッパリしているのだが,普通の日本酒ではない.口の中ではじける感じがする.しかも,抜群に美味しい.「これは原酒だ.720mlの瓶で5000円はするやつだ.」と教えてもらった.

その後,見学室に戻り,昨年10月に皇太子殿下が賀茂鶴を行啓されたときの話などを聞いた.親切に案内してくださったおじさん(杜氏?)は,皇太子殿下に直接説明されたそうだ.しかし,本番までとにかく大騒動だったとのこと.半年ぐらい前から,宮内庁関係者,東宮警察,県警などが訪れ,入念なチェックを行うらしい.皇太子殿下の歩幅から計算して,この入口からこの場所までは何歩で何秒,そこで何秒見学,次の場所までは何歩で何秒,といった具合に,秒単位でスケジュールが組まれる.最終的に,計40分ほどの滞在予定だったところ,予定時間より7秒超過して終わったそうだ.途方もなく厳密な話に驚いた.

こちらは予定より随分と長居してしまったが,美味しいお酒を,しかも原酒まで飲ませていただき,興味深い話も聞かせてもらい,大満足の見学だった.帰り際に,「双鶴」の720ml瓶(5227円)を土産に購入した.

ちなみに,戦艦大和が出航する際,乗員は賀茂鶴の酒を飲んだそうだ.

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