4月 302007
 

この2週間で7冊ほど本を読んだ.平常時に比べて,かなりのハイペースだ.仕事が忙しくてイライラしていること,それでも何とか時間が作れること,が原因と推察される.昔,ボスが言っていた.忙しいときほど,仕事と関係ない本を読みたくなると.同じ気持ちだ.

最後まで読んだ本については,このブログに感想を書いている他,「読書の記録(書評)」にメモを残している.ただし,絵本など子供向け以外.子供には読書好きになって欲しいので,読み聞かせには労を惜しまないようにしている.勉強の基本である読解力や理解力,そして表現力は,読書を通して身に付くものだ.昨今の大学生は国語能力が中学生並みというのも少なくないようだが,我が子をそんなアホに育てる気はないので,きちんと読み聞かせをする.そういうのが親の務めというものだ.有名私学に通わすのが親の務めとは思わない.もちろん,それは悪いことではないのだが,貧乏人でもきちんと教育はできる.私自身,有名進学校には通っていないし,予備校にも行っていない.それでも,それなりに勉強はできている.ただ,教養の欠如が由々しい問題ではある.しかし,それは親の教育というより,むしろ本人の問題だ.

4月 302007
 

なぜ勉強するのか?
鈴木光司,ソフトバンククリエイティブ,2006

タイトルに惹かれて読んでみた.著者は,「リング」や「らせん」の著者であり,主夫として2児の子育てもしたそうだ.ホラーとかに興味がないので,小説も映画も見ていないが...

「なぜ勉強するのか?」と子供から尋ねられて,自信を持って答えられるか.これは昔から私自身が考えてきたことでもある.だから,当然,自信を持って答えられる.本書を手にしたのは,その問いが新鮮だったからではなく,他者の視点に触れてみたかったからである.

ちなみに,私が本気で「勉強する理由」を考えたのは,高校一年生の4月だ.中学3年間は部活動に明け暮れていた.それしかしなかったと言ってもいい.高校でも当然続けるつもりだった.だが,高校に入学するとすぐに,「自分は何で生きるのか?」という問いが頭に浮かんできた.それまでは考えたこともなかったのに.正直,1週間ぐらいご飯も食べられないほど悩んだ.そして自ら出した答えが「勉強する」というものだった.その選択に悔いはない.正しかった.

さて,鈴木氏は本書で,理解力(読解力),想像力,表現力を身に付けることが大切であり,知識の獲得自体の重要性は相対的に低いと主張する.全くその通りである.これが成り立つのは,小中学校や高等学校ばかりではない.大学でも同様だ.実際,私が学生に対して要求するもの,在学中に身に付けて欲しいと思っているものは,論理的思考能力,日本語力,そしてプレゼン能力だ.決して専門知識ではない.

本書では様々な事柄が論議されているが,子供には明るい未来を提示せよという主張が貫かれている.これは大切なことだ.最悪なのは「昔は良かった」「世も末だ」「嫌な世の中になったもんだ」などという嘆きを子供に聞かせることです.これは百害あって一利なし.やる気を失わせるだけです.そう著者は主張している.

「なぜ勉強するのか?」という問いに対する著者なりの回答はこうだ.勉強は,小金稼ぎのテクニックを身に付けるためにするものではありません.理解力(読解力),想像力,表現力の能力を養って,世界を覆う膨大な量の情報を取捨選択し,世界に共通なものさし(論理)で判断し,価値あるディスカッションによってそれぞれの立場を戦わせ,よりよい解答を発見する可能性をほんのわずか高めることに,勉強の目的はあります.なぜ勉強するのか・・・,答えはおのずから明らかになります.人類の進歩に貢献するためなのです.

我が子を受験勉強に駆り立てる親御さんには,こういう視点で勉強を捉えて欲しい.また,テレビなどで「学校の勉強なんて役に立たないよ」と馬鹿丸出しの発言をしている人達には口を謹んで欲しい.

4月 292007
 

「プロ親」になる!「親力」パワーアップ編
親野智可等,宝島社,2005

「「親力」で決まる ! 子供を伸ばすために親にできること」の続編.

子供を伸ばす親の総合力,例えば,子供を愛し,受け入れ,褒めて,伸ばしてやる力,子供によい環境を作ってやったり,楽勉をプロデュースしたりする力を,「親力」と呼んでいます.プロ親になるためには,1)プロ親になるという決意,2)研究や努力をすること,3)自分が責任を持って子育てをするという自覚を持つこと,が必要だと書かれている.

小学校教員の著者が自らの経験をふまえて述べるアドバイスは極めて具体的であり,納得できたなら,すぐに実行できるだろう.小学校の子供を持つ親,これから小学校に通う子供を持つ親には,読んでみることを勧める.必ずや,参考になることがあるだろう.

目次とメモ

42.ストップウォッチで集中力を高める → 時間管理能力を身に付ける
43.姿勢を良くして学力向上 ← 腹筋と背筋を鍛える
44.カルシウムは脳神経を安定させて,学力を向上させる ← 厚労省「日本人の栄養所要量」×
45.本物体験が子供を変える → 自分の考えを力強く語れる個人を生む
46.読書と会話で豊かな言葉の持ち主になる → 言葉は思考と伝達の手段
47.子供を伸ばす話の聞き方とは → 子供の話を上手に聞いてやる,子供に話を聞かせる
48.親子の楽しい会話がもたらすものとは → 子供の表現やコミュニケーションへの意欲を高める,子供の心を安定させる,自分の体験を知的に振り返る習慣が養える,親子間の理解が深まり,親密さと信頼が増す,コーチングの機能で子供にやる気を持たせることができる
49.学年末に一年間のがんばりや成長を振り返ることで,次の一年へのやる気を育てる → 子供が持ち帰ったものをそのままにするのではなく,価値づけてやることが大切
50.節目としての春休みを演出する → 新しい学年の目標を考えさせる,新しい教科書を見て新しい勉強への具体的なイメージを持つ
51.親のための教科書活用法 → 学校で勉強する前にほんの少しそれに触れさせておくことで,子供の負担はとても軽くなる
52.記念日のすすめ → 子供が何かを始めたとき,親がいつも意識して忘れないことが成功の秘訣,目標などは紙に書いて張っておく,叱る形では終わらない
53.がんばっているところを映像で記録する
54.注意してから褒める → 心理学の「初頭効果」(最初の印象が全体の印象を決める確率が高い)と「親近効果」(一番最後のものが印象に残る)
55.お金や物で釣ると価値観がゆがむ
56.担任の先生に我が子の良い面を伝え続けると,だんだんそうなっていく
57.ジグソーパズルで地理の楽勉ができる
58.大河ドラマで歴史通になろう → 総集編で時代を概観する
59.地球儀の不思議な能力
60.「漢字指書き1日1分!」を続ければ漢字の天才になれる
61.漢字しりとりで漢字のパーツに強くなる
62.分数のある生活で分数の壁を乗り越える
63.算数の文章題を解くコツはズバリ図を描くことである
64.テスト前に理科や社会の教科書を音読すれば断然有利
65.虫眼鏡は不思議世界への入場券
66.星や星座を教えれば尊敬される
67.プラネタリウムは最新の教育施設である
68.他の会社の教科書を読ませることの効果とは
69.他の会社の算数の教科書はいい問題集になる
70.あやとりには抜群の教育的効果がある → 様々な技ができるようになることで達成感を味わうことができる,技の習得に向けて努力することで,努力の大切さを知り,集中力を養うことができる,手先が器用になり,脳の発達を促す
71.なぞなぞは言語連想能力を高める知的な遊びである
72.熟した果実は自然に落ちる → 子供は自分のペースで成長している,指を使って計算してもいい(大学でもやってたよ),
73.どの子もみんな伸びたいと思っている → 必要なのは叱ることではなく手助けすること,叱っても何一つ効果はないどころか,叱ることは全くの逆効果.叱ることは大人のストレス解消と自己満足にすぎない.大人がすべきことは,指導,助言,注意,指摘,声かけ,支援,工夫,環境整備,激励,賞賛
74.しつけより愛情
75.子供は大人の公平さをいつも吟味している → 公平に扱うように意識的な努力が必要
76.それぞれの事情の中で子供に向ける時間を増やす努力を!
77.自分の子供だけ幸せにすることはできない → 子供は親の価値観を引き継ぐ,世のため人のためという価値観を持ち,そこに大きな喜びと誇りを持てる人になれるようにしてやる.ひとえに親の生き方にかかっている.
78.親力を読むことの弊害とは
79.51パーセント主義で気楽になる → 努力の放棄でなく結果の委任
80.子育ては本当のところ何が成功で何が失敗か誰にもわからない

4月 292007
 

「親力」で決まる ! 子供を伸ばすために親にできること
親野智可等,宝島社,2004

小学校教員の著者が自らの経験をふまえて,子供を伸ばすために親ができることを述べる.そのアドバイスは極めて具体的であり,納得できたなら,すぐに実行できるだろう.小学校の子供を持つ親,これから小学校に通う子供を持つ親には,読んでみることを勧める.必ずや,参考になることがあるだろう.

目次

1. トイレに地図を張ると地理が得意になる
2. テレビの横に地図帳を置くと地理が好きになる
3. 4,5年生から歴史漫画を読ませると歴史に強くなる
4. 声に出して読む音読を毎日やれば,国語の授業についていける
5. 「拾い読み」の子は,「追い読み」と「部分完成法」で直すことができる
6. 読書なくして真の学力向上はあり得ない
7. 語りかけてこそ,読書好きへの第一歩
8. 読み聞かせてこそ,読書好きへの王道
9. 中学生や高校生や大人でも,絵本をきっかけに読書好きになることがある
10. 好きな分野の本を読むことで,読書好きになる
11. 質のよい漫画は読書好きへと導く
12. 親子日記は,書く力をつけるのに効果抜群
13. 「算数のある生活」で,いつの間にか算数ができるようになる
14. ミリリットル,デシリットル,リットルを生活の中で
15. 昆虫好きは理科好きの第一歩
16. 「楽勉」なら自然に学力を高めることができる
17. 学校でやり家庭でもやると,効果は3倍になる
18. 我が子の教科書に目を通しておけば,子供を無理なく伸ばせる
19. 子供の頃の熱中体験がとても大切.その二つの理由とは?
20. 自分の仕事をやっている子は,学力が伸びる
21. 早寝の子は,学力が伸びる
22. 毎朝満面の笑顔で送り出して,親の愛を確信させよう
23. だらしがない子は直せるか?
24. 目当てと約束は違う
25. 「一会入魂」で,今このときを大切にする
26. 「一会入魂」で,子供をやる気にさせる
27. 子供を伸ばすコツは褒めることに尽きる
28. 褒め方にもテクニックがある
29. ピグマリオン効果を活用すれば,我が子を伸ばせる
30. プラスイメージの言葉が子供を伸ばす
31. 人格を否定するような注意の仕方は,絶対厳禁
32. 親力を伸ばせば,子供も伸びる
33. やるべきことはやる,そして,結果については達観する
34. 子供は突然伸びるときがある
35. 最大の課題は大人の感情コントロールである
36. マイナス思考と感情的対応は直せる
37. 本当の厳しさとは何か?
38. 兄弟姉妹の比較は,百害あって一利なし
39. 一緒に写った写真が愛を伝える
40. 家庭はくつろぎと安らぎを与える子宮である
41. 父親は,「背中」ではなく「顔」を見せよう

4月 272007
 

UNIXの演習の感想に,「UNIX/Linuxなんて全然わからない.使えるようになりそうもない.」という意見があった.その気持ちはよくわかる.パソコンの使い方もろくに知らないのに,いっぱいコマンドを押し付けられて,訳も分からず演習をしていれば,嫌にもなるってものだ.それは仕方がない.

だが,ちょっと考えてみろよ.何か新しいものに取り組むとき,それを身に付けようとするかしないかが,自分の人生にどのような影響をもたらすかを.

高校にさかのぼろう.物理や数学が嫌いだからと,文系を目指す奴がいたはずだ.逆に,国語や社会が嫌いだからと,理系を目指す奴もいたはずだ.文系を選択した奴に,科学者やエンジニアとしての未来があるか.

小中学校までさかのぼろう.先生や親が「勉強しなさい」というわけだ.勉強が好きな奴もいれば嫌いな奴もいる.好き嫌いと,するしないは別問題だが,ともかく,「勉強なんてやりたくない」と勉強を放棄した奴もいたはずだ.そいつに,その後,国内外の一流大学を出て,エリートになる道は開かれるか.研究者になる道は開かれるか.英語が嫌いだと英語の勉強を放棄して,海外留学ができるか.英語ができなければ,研究者にもなれない.

いいか.何かに取り組まないということは,その道に進むという選択肢を自分で消し去っているんだ.恐ろしいことに,消し去っているその瞬間に,本人は気付いていない.何年も,あるいは何十年も経ってから,「あぁ,あのとき,それをしとけば良かったんだよ!」と嘆くわけだ.手遅れになってからな.我々はみんな,そういう選択を毎日数え切れないほどやっているんだ.そういう日々の積み重ねが人生を形作る.

講義に出て居眠りする,講義に出て友人と雑談する,講義に出て必死に講義を聞く.消費した時間は同じだ.選択したものは異なる.当然,結果は異なる.将来も異なる.

京大入学や京大卒なんて看板はアッと言う間に色褪せるぞ.そんなものに自分の人生が託せるはずもない.

夢を持て.目標を持て.その実現のために最大限の努力をしろ.

別に大学に来て真面目に勉強しろなんて言ってるわけじゃない.自分の夢を実現するために,京大が無意味なら,やめればいい.意味があるなら,必死に勉強するしかないだろ.

今やらないで,いつやるんだ?

最後に,20世紀最高の知識人とも評されるドラッカーの言葉を贈ります.君達の明るい未来を祈って.

こういうメールを送るのは,これでおわりにします.
悔いのない大学生活を送って下さい.

ドラッカーの遺言より

絶えざるスキルアップを達成するために最も重要となるのは,自分の強みを把握することです.自分が何を得意とするのかを知り,磨きをかけていく―これこそ個人のイノベーションの要諦であり,成果を挙げ続けていくための唯一の方法です.

知識社会において成果を挙げ得る人間であり続けるためには,スキルを更新する教育を何度も何度も繰り返し受けることが必要となります.真の意味での「生涯教育」であり,つねに教育に立ち返るこの姿勢こそが,個人のイノベーションを促進してくれます.生涯にわたる継続的な学習が不可欠となった事実を受け入れ,つねに再教育を受ける心構えを持ち,それを自己責任であると認識すること―「いま何を捨て,何を選択し,自己を高めるために何を学ぶべきか」を絶えず問い続けなくてはならないこと―いま,すべての人が身をもって知るべき事実です.

日本の若い世代の人達には,20代から遅くとも30代前半のうちに,少なくとも2〜3年は日本を離れて,他国で働く経験を積むことをお勧めしたいと思います.情報が高度に専門化し,ごく限られた領域だけを守備範囲とするスペシャリストが増えている世の中で,日本人は若者を他分野にまたがる知識や技術を持ったゼネラリストに育てる術に長けています.それにもかかわらず,私が接してきた日本人の中には,視野が狭く,「世界について十分な知識が備わっていない」と感じさせる人が多数存在しました.海外経験の少なさがその原因です.学ぶべき課題は日本の外にいてこそ得られます.ぜひとも国外に出て行って,視野を大いに広げて欲しい.知識社会が招来する新しい時代においても,日本が世界のメインパワーであり続けるための原動力になってほしいと願っています.

4月 272007
 

2004年4月に新入生に向けて配信したメッセージが「新入生へのメッセージ:理想を思い描いて,実行しよう」に書いてある.送信対象は,基礎情報処理演習という新入生向けの科目で,私が担当するクラスの学生約120名だ.伝えたいことが毎年変わるはずもないので,似たような内容になるが,受け取る学生にとっては,一生に一回のことなので,役立つかもしれない.今年,新入生に送付したメッセージを記載しておこう.

【メッセージ】

大学に入学した今,自分の将来について一度じっくりと考えてみると良いでしょう.30歳,40歳になったとき,自分はどんなことをしているのか想像して下さい.どんなことをしていたいか理想を思い描いてみて下さい.そして,数十年後,理想的な自分になっているために,今から実行しなければならないことをリストアップしてみて下さい.それを実行して下さい.これだけで,ボケーッと大学生活を無為に過ごすことなんてできなくなるでしょう.君達の将来は,君達が今していることの積み重ねで決まるんです.それ以外の何物でも決まりません.

そんな先のことは分からないよ,というのが本音かもしれません.でもね,問題を先送りにすることで,幸せな未来が訪れると思いますか.残念ながら,そんなに世の中は甘くないですよ.

では,もっと近い未来のことを考えてみましょう.数年後には,大学院入試や就職試験が待っています.実力がなければ,良い研究室で好きな研究をする権利は与えられません.好きな企業にも就職できません.やりたい仕事もさせてもらえません.例えば,必修科目の成績が悪ければ,行きたいコースに行けません.大学院入試の成績が悪ければ,行きたい研究室に行けません.結果で勝負するしかないのです.

手遅れになってからでは遅いんです.健闘を祈っています,

最後に一つ.京都大学なんて,極東のマイナーな大学の1つにすぎませんよ.平均的な京大生というのは,所詮2流でしかありません.目を海外へ向けてみましょう.自分の未来をちっぽけな島国の中に閉じこめておく必要なんてありません.

あと,講義時間にも言いましたが,体育会でもサークルでもNGOやNPOでも何でも良いけれど,工業化学科以外に,できれば京大以外に人脈を作れるような活動をすると良いと思います.講義室と自宅の往復だけで大学生活を終わらせるなんて馬鹿な真似はしないように.

もう一つ.アルバイトについて.学費が必要とか,多少の遊ぶお金が必要とかでアルバイトをするのは良いことです.社会勉強にもなるでしょう.でも,あまり時間を費やさないように.せいぜい時給数千円程度でしょ.そんな金額,大学在学中に実力を付けて,卒業後に稼いだら,誤差みたいなものです.たかだか数十万円程度のために,アルバイトで貴重な時間を無駄にして,将来悔いることのないように.

勉強,遊び,アルバイト.自分の将来を思い描き,最適なバランスを実践して下さい.

ちなみに,上記は私の意見です.これが正しいというわけではありません.他人の話を鵜呑みにするのではなく,間違っていても構わないので,まずは自分の意見を持つようにして下さい.そのためには,教養を身に付ける必要があるし,普段から様々なことを考えるようにもしなければなりません.

4月 252007
 

大投資家ジム・ロジャーズが語る商品の時代
ジム・ロジャーズ,日本経済新聞社,2005

有望な投資対象として,投資家に商品を強く推奨する内容だ.およそ30年周期で上げ下げを繰り返してきた商品相場.21世紀のはじめ,長かった低迷の時代を終え,遂に商品の時代が来ると指摘する.

本書は2部構成になっており,第1部では,なぜこれから商品価格が上昇すると信じるのか,その理由を需給に焦点を当てて説明している.ジム・ロジャーズの分析は明快だ.歴史に学び,資料を分析し,自分自身が世界中を旅して目にした現実をふまえて,ファンダメンタルズから需給を推測する.その結果導かれたのが,21世紀最初の十数年は商品のパフォーマンスが他を凌駕するだろうという結論だ.需要の鍵を握っているのは,もちろん中国だ.石油をはじめとする天然資源は既に大幅に上昇しており,ジム・ロジャーズの正しさを実証している.彼が1998年に独自の商品インデックスRICIを開発して以来,RICIは既に3倍となっている.

ジム・ロジャーズは中国を大変有望視しているのだが,いずれ大きな調整が訪れる可能性が高いとも指摘している.もちろん,それがいつかはわからない.ただ,そうなったら,「株式も商品も買いまくれ!」ということだ.一方,日本ではBRICsの一角として人気のインドには否定的だ.

第2部では,個別商品について詳細な分析を披露している.石油,金,鉛,砂糖,コーヒーだ.金を除けば,現在は需給バランスが崩れ,需要が供給を上回る状況であり,相当な期間にわたって上昇する条件は整っていると指摘している.

本書には,商品が危険というのは迷信に過ぎず,実際には,株式よりもリスクは低く,リターンは大きいと書かれている.実は,これは研究によって裏付けられている事実だ.世間が抱いている商品は危険というイメージは,素人が10倍かそれ以上のレバレッジを効かせて先物取引を行い,大損する様子を見聞きすることから生まれている.それだけレバレッジを効かせて,目一杯の投資をすれば,何に投資しても財産を失うのは目に見えている.決して,商品という投資対象の問題ではない.また,株式と負の相関を持つ商品は分散投資という観点からも必須の投資対象である.このことは何度も繰り返し指摘されている.

商品投資を始めたい人は,本書を読んで,しっかり研究してから頑張ろう.商品先物投資に着手するのも良いが,商品ファンドという選択肢もある.最近,RICIをインデックスとする商品ファンドも登場している.全般に信託報酬が高いのが気になるが,それでも他人にお任せが良いという人には適しているだろう.

4月 242007
 

計測自動制御学会(SICE)が主催するセミナー「制御のためのシステム同定」の2日目.今日は,佐野昭先生による「システム同定の最近の話題」の講義が行われた.

内容は驚くほど広範囲におよび,ロバスト同定,部分空間同定,閉ループ同定,非線形システム同定,データベース型同定である.どれも,それだけで講義に半日から1日かけられそうなものだ.1日の講義でこんなにカバーしようとすれば,どういうことになるかは,おおよそ想像がつく.まあ,講義の題目が「システム同定の最近の話題」であるから,深く理解するというよりも,広範な話題について,その雰囲気を掴むことが目的の講義ではある.

ただ,それにしては,内容が難解であったように思う.部分空間同定,閉ループ同定,データベース型同定などについてある程度の知識を持っている私で,ちょうど良いくらい.初日の足立先生の講義でちょうど良いというレベルの受講生は,ほぼ玉砕状態だっただろう.うちの学生も含めて,そういう受講生が多数派だったとは思うが.

私としては,これまでの知識の整理と共に,新しい話も聞くことができて,大変参考になった.

ちなみに,今回のセミナー受講者数は約70名.大盛況だった.

4月 232007
 

計測自動制御学会(SICE)が主催するセミナー「制御のためのシステム同定」に参加した.2日間にわたるセミナーで,第1日目は足立修一先生による「システム同定の基礎」,第2日目は佐野昭先生による「システム同定の最近の話題」という内容だ.データ解析やプロセス制御の研究を行う研究室の学生に知識を身に付けておいてもらいたいと思い,学生4名を京都から東京へと派遣した.たまたまスケジュールが空いていたので,この機会に頭を整理しておこうと,私自身も参加することにした.

今日は第1日目で,足立修一先生による「システム同定の基礎」の講義が行われた.基礎と言うことで,受講生には初心者も含まれるため,多くの内容は当然ながら既知のものだ.それでも,経験豊富な先生の解説は示唆に富み,非常に有益な講義だった.逆に言えば,初心者では消化しきれない内容だと思う.大変分かりやすく説明されていたので,難しくて消化不良になるという意味ではないのだが,ある程度の予備知識を持っていないと,十分な効果を得られないと思う.当研究室の学生には,セミナーに参加するからにはしっかり予習しておけと,強烈にプレッシャーをかけておいたので,「システム同定の基礎」は非常に有益な講義になったようだ.ただ,明日の「システム同定の最近の話題」にはついていけないかもしれない.まあ,それは仕方ないだろう.私にとっては,明日が本番だ.

今日のセミナーでは,かなり質問もさせてもらい,スッキリすることができた.大満足だ.他の受講生の方々は,「あいつ何者だ?」と思われていただろうが...

セミナー終了後,学生と一緒に秋葉原に出掛けた.色々な店を見て回ったが,実に興味深い........

4月 222007
 

ジム・ロジャーズの本に,インフレ時に買うべきものとして,資源と資源株の比較が書かれていた.要するに,ある天然資源の受給がタイトになり,今後価格が騰がると判断した際に,商品先物取引で当該資源のロングポジションを持つべきか,当該資源を売る企業の株式を持つべきか,という比較だ.過去のデータを分析すると,商品の価格は株価の3倍のパフォーマンスを示しているという.

天然資源の乏しい日本では,資源株と言われてもピンと来ないが,敢えて言うなら,別子を買うなら商品インデックスファンドでも購入する方が良いということか.