9月 282007
 

なんとも中途半端な時期だが,2回生の前期終了時点で,工業化学科の学生が3つのコースに配属される.そのうちの1つが,私も関与する化学プロセス工学コースだ.このコースに対応するのが,大学院では化学工学専攻となる.

本日,その化学プロセス工学コースのガイダンスが行われた.ガイダンスでは,毎年恒例の自己紹介があり,学生が一人ずつ自己紹介し,その後で,教員も自己紹介をする.例年,学生は,氏名,出身地,化学プロセス工学コースの志望理由などを述べる.ところが,今年は,非常に淡々とした自己紹介になった.司会のまずさもあったのだと思うが,そのおかげで,学生の特性をうかがい知ることができた.

多くの学生の自己紹介はこうだ.

「○○××です.よろしくお願いします.」

しかも,ボソボソと.これでは何も伝わってこない.どういう人間なのかも,我々と積極的に関わりたいのかどうかも,何を求めているのかも.自己紹介している意味がない.時間の無駄だ.どうして,そんな自己紹介しかできないのだろうか.いや,どうして,そんな自己紹介でも構わないと思えるのだろうか.

もちろん,ビシッと自己紹介をしてくれた学生もいる.自分の話すことに何十人もの人が耳を傾けてくれる機会なんて,そんなにないはずだ.そういう貴重な機会をものにできない,いや,ものにしようという気持ちがない人間というのは,どんなチャンスが訪れてきても見過ごすタイプだと思う.いや,本人は見過ごしていることを自覚せず,「チャンスに恵まれない」と他人をねたむタイプじゃないかと危惧する.

京大生であることなんて別に大したことじゃない.自分を磨く,出会いを大切にする,チャンスはものにする,そういう貪欲な態度を身に付けていく必要がある.そうでないと,将来が非常に不安だ.醒めた態度が格好良いとでも思っているなら,脳味噌を取り替えた方がよい.

数年後には就職活動だってしないといけない.そんなつまらない自己紹介では相手にもしてもらえないだろう.さて,これから数年間でどれだけ成長してくれるか.大いに期待しよう.

9月 242007
 

長男が通う幼稚園の運動会があった.

全員での入場行進の後,園児の,保護者の,卒園生の,様々な種目・演目があった.年少さんの踊りとか,見ていて本当に微笑ましいものだ.年長さんにもなると,かけっこも遊技も様になっている.

入場門(幼稚園の運動会)
入場門(幼稚園の運動会)

綱引き(幼稚園の運動会)
綱引き(幼稚園の運動会)

玉入れ(幼稚園の運動会)
玉入れ(幼稚園の運動会)

祭り(幼稚園の運動会)
祭り(幼稚園の運動会)

山城高校吹奏楽部(幼稚園の運動会)
山城高校吹奏楽部(幼稚園の運動会)

この運動会で強く感じたのは,幼稚園の先生方は凄いということだ.事前の準備,当日の進行,言うことを聞くわけもない幼稚園児を相手に,本当に大変だ.園児の親としては,先生方にただ感謝するばかりだ.

また,山城高校吹奏楽部の生徒さん達が,生演奏をしてくれた.なんともゴージャスな運動会だ.

運動会が終わって,家族で昼ご飯を食べながら,「運動会で何が一番おもしろかった?」と彼女が長男に尋ねたところ,長男の答えは「かけっこ」.確かに,かけっこでは予想以上に速く走り,一等賞だった.「ビューンって走ってん.速かったやろ.」とは本人の談.

午後から激しい雨が降ってきたものの,運動会の間は「くもり」と最高の天候にも恵まれ,良い運動会を経験させてもらった.感謝.

9月 232007
 

カルビーの「じゃがポックル オホーツクの焼き塩味」というスナック菓子をご存じだろうか.生のじゃがいもをフライしたお菓子で,そのサクサクした食感が超人気なのだそうだ.その人気に拍車をかけているのが,「北海道限定販売」という作戦だ.カルビーのウェブサイトによると,「北海道内の空港・駅売店。お土産物屋で販売。カルビーからの通信販売はしておりません。」となっている.


カルビーの北海道限定「じゃがポックル オホーツクの焼き塩味」
カルビーの北海道限定「じゃがポックル オホーツクの焼き塩味」

ネットで「じゃがポックル」を検索すれば,オークションでも取引されていることがわかる.それぐらいに人気商品であり,北海道でさえ品薄である.実際,先日札幌に出張した際,お土産(北菓楼のシュークリーム,パリ16区のカマンベールチーズケーキ,ルタオのドゥーブルフロマージュ,ロイズのポテトチップチョコレート,桃花堂のスイートポテト,柳月の三方六など)を買い揃えるために,札幌空港のショッピングワールドを歩き回っている最中に,偶然,定員さんが「じゃがポックル オホーツクの焼き塩味」を山積みにしているのを見掛けた.そのときは,「あぁ,北海道限定スナックの一種ね」と思って無視していたのだが,数十秒後には,山のように積まれていた箱が目の前から消えようとしていた.その横で定員さんが「お一人3箱までで〜す!」と叫んでいる.その光景を目の当たりにして,反射的に箱を1つ掴んだ.さらに数秒後には,箱は1つもなくなっていた.恐るべき人気商品だ.

さて,札幌から戻って,彼女に「じゃがポックル」を渡したところ,近所の生協で売っている「フライドポテト」がカルビーの「じゃがポックル」とよく似た味なんだってとの情報を得た.流石に,お菓子の情報収集能力は私を凌駕している.それなら食べ比べてみようというわけで,彼女にCO-OPの「フライドポテト」を買ってきてもらった.

CO-OP「フライドポテト」
CO-OP「フライドポテト」

まず,「じゃがポックル」を1本食べてみた.続いて,「フライドポテト」を1本食べてみた.ん〜,確かに味が違うようだ.でも,どう違うんだ.食感は「じゃがポックル」の方が柔らかいようだが...

さらに,「じゃがポックル」を食べ,「フライドポテト」を食べ...確かに違うのだけれど,まあ,化学調味料不使用のCO-OP「フライドポテト」でもいいんじゃないの,という結論に至る.

機会があれば,食べ比べてみて下さい.ちなみに,「満腹ミキティ日記にいざ給え」では,カルビーのジャガビーに似た味だと書かれていた.

9月 222007
 

今日は長女の2歳の誕生日だった.だが,まだ誕生日というものを認識できていないようだ.

長女への誕生日プレゼントは2つあった.1つは,木のままごとセット.1歳の誕生日プレゼントが,本格的な木製のキッチン流し台だったので,それと一緒に遊べるものだ.

もう1つのプレゼントは,ベルリン@ドイツで購入したシュタイフ(Margarete Steiff GmbH)のクマのぬいぐるみ.ボビー(Bobby)という名前のようなのだが,これってテディベア(Teddy Bear)なのか.あるいは別物か.ベルリンのアレキサンダー広場のデパートでどれを購入するか随分と長い間迷ったのだが,結局,幼い子供にあまり高価なぬいぐるみを渡しても意味がない(ボロボロにされる)だろうと思い,このボビー(Bobby)にした.価格は35ユーロ.ドイツ製の正真正銘のテディベアは倍以上の値段からだったと記憶している.しかも,その表情があまり気に入らなかった.ボビー(Bobby)は毛もフサフサで結構かわいい顔をしている.

ちなみに,ベルリンではヴィンテージ(アンティーク?)のテディベアを置いてある店にも足を運んだのだが,その種類の多さと値段の高さには圧倒された.安いものでも,平気で何万円もする.

シュタイフ(Steiff)のクマのぬいぐるみボビー(Bobby)
シュタイフ(Steiff)のクマのぬいぐるみボビー(Bobby)


シュタイフ(Steiff)のテディベアを見てみるなら,こちら!

誕生日ケーキは,長男の機関車トーマスに引き続き,特注品で,アンパンマンだ.最近,アンパンマンが大好きな長女は大喜び.興奮が落ち着いたところで,2本のローソクを灯して,「フーして消してみて」と促す.フーはできるのだが,ローソクが消せない.何度試してもダメ.仕方がないので,自分が消したくて消したくてしょうがない長男に任せる.

特注のアンパンマン誕生日ケーキに喜ぶ長女
特注のアンパンマン誕生日ケーキに喜ぶ長女

特注のアンパンマン誕生日ケーキを食らう長女
特注のアンパンマン誕生日ケーキを食らう長女

ケーキを食べる際に,カナダで購入したアイスワインティーを初めて飲んでみた.アルミパックを破ると,アイスワインの強い香りが漂う.アイスワイン独特の甘い香りはするが,味は普通の紅茶だ.

カナダ土産のアイスワインティー
カナダ土産のアイスワインティー


アイスワインフレーバーティー.
ぶどうのさわやかな甘さと凝縮された香りが楽しめます!

さて,ベルリンから持ち帰ったシュタイフ(Steiff)のクマさんだが,長女は喜んだものの,一番のお気に入りにはなれないようだ.既に持っている小さなクマのぬいぐるみと,どちらが好きかと尋ねると,小さなクマのぬいぐるみを抱きながら「こっち!」と答える.ちなみに,そのクマのぬいぐるみは普通のクマではない.アメリカ中西部にあるオハイオ州(以前住んでいた)の200周年記念のクマのぬいぐるみだ.元々白かった胴体が最近黒ずんできている.

9月 222007
 

金曜日に,高校3年の同級生が集まった.前日の木曜日に集まろうという話になって,同級生とその彼女(嫁さん)含めて8名が集合した.私が「集まれ!」という話を聞いたのは金曜日の午後.「これからみんな集まるんだけど,来れる?」と.こんな突然の号令で,8名が集まるというのは大したものだ.しかも,京都在住者ばかりではない,滋賀や大阪からも集まった.

高校卒業後もうすぐ20年になる.数年前,正式にクラスの同窓会を開催したときにも,30名以上が集まった.凄い出席率だと思う.非常に居心地の良い高校で,高校生活を存分に楽しんだ仲間なので,このように集まるのだろう.

京都駅に集合して,駅ビル内のイタリアンレストランに行ったのだが,「ところで,まだ携帯電話持ってないの?連絡できなくて困るから,携帯電話持ってよ!」と指摘された.大学のメールアドレス宛に連絡してもらったのだが,なぜか拒否されたとのこと.申し訳ない.

確かに,まだ携帯電話を持っていない.これまで携帯電話を持とうとしてこなかった理由は,これまでに書いたとおりだ.

携帯電話の電磁波は危険!?」(2006年12月)

なぜ携帯電話を持たないのか」(2003年10月)

やっぱり携帯電話は持たない」(2003年7月)

携帯電話は持たない」(2001年4月)

携帯電話を持たない最大の理由は,貴重な時間をこれ以上奪われるのは許せないということになる.

街中や,バスや電車の中で,ずっと携帯電話と睨めっこしている人達を見ると,私がとやかく言う立場ではないが,次のセネカの言葉が頭を巡る.

人生の短さについて,セネカ

人生は十分に長く,その全体が有効に費やされるならば,最も偉大なことを完成できるほど豊富に与えられている.けれども放蕩や怠惰の中に消えてなくなるとか,どんな良いことのためにも使われないならば,結局最後になって否応なしに気付かされることは,今まで消え去っているとは思わなかった人生が既に過ぎ去っていることである.

自分の銭を分けてやりたがる者は見当たらないが,生活となると誰も彼もが,なんと多くの人々に分け与えていることか.財産を守ることはケチであっても,時間を投げ捨てる段になると,貪欲であることが唯一の美徳である場合なのに,たちまちにして,最大の浪費家と変わる.

多忙な人間には何事も十分に成し遂げることは不可能である.実際多忙な人に限って,良く生きることが最も稀である.また,生きることを学ぶことほど難しいものはない.生きることは生涯を掛けて学ぶべきことである.そして,恐らくそれ以上に不思議に思われるだろうが,生涯を掛けて学ぶべきことは死ぬことである.

偉大な人物,つまり人間の犯すもろもろの過失を超絶した人物は,自己の時間から何一つ取り去られることを許さない.

ところが,子供ができてからというもの,携帯電話を持たないことが許されなくなりつつある.そういう家庭の事情に加えて,現在使用中のPDA(SONY CLIE)がボロボロになってきており,代替機を探さないといけないのだが,もはや世の中にはPDAが存在しなくなりつつあるという事情もあり,遂に携帯電話を持つことを検討しようかなという状況に追い込まれている.

9月 212007
 

パン屋のお金とカジノのお金はどう違う?―ミヒャエル・エンデの夢見た経済・社会
広田裕之,オーエス出版,2001

「減価する貨幣」について知らない人は,とりあえず読んでみましょう.そういう経済観もありえるのだと目から鱗が落ちるかもしれません.ただ,本書は利息は悪であるという思想で貫かれており,一方的になりすぎの感はあります.また,地域通貨について知りたい人には好著でしょう.

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9月 212007
 

奇跡と呼ばれた学校―国公立大合格者30倍のひみつ
荒瀬克己,朝日新聞社出版局,2007

子供をまともな大学に行かせたければ公立高校には行かすなというのが市民の常識であった京都市で,驚異の進学実績を達成した堀川高校は注目の的です.その堀川高校の校長が,学校での取り組みを紹介しています.その活動内容を読んで,自分が通っていた高校を思い出しました.体育祭や文化祭に向けられる情熱に同じものを感じました.ただ残念ながら,我が母校はまるで進学校ではなかったという大きな違いがあります.高校3年の2学期終了時に,物理の教科書が終わってなかったですから.生徒に大学受験させる気がないのかと思わせるぐらいでした.

堀川高校の全校生徒が取り組む「研究」についても詳しく書かれているのですが,これは大学教員にも参考になります.というか,衝撃を受けます.社会貢献,独創性,緻密性,そして情熱など多くの点で,並みの大学生の卒業研究を凌駕しているのではないかと思います.

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9月 212007
 

下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たち
内田樹,講談社,2007

勉強しない,仕事しない若者達は,怠惰であるが為に,勉強しない,仕事しないのではなく,自発的に,積極的に,勉強しない,仕事しないという行動を選択しているのだという分析です.その理由が書かれています.また,そういう観点から,現在の家庭や教育現場の問題点が指摘されています.参考になります.

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9月 202007
 

統計的方法のしくみ―正しく理解するための30の急所
永田靖,日科技連出版社,1996

これまで専門書の類は「読書の記録(書評)」には掲載してこなかったのだが,私自身が「素晴らしい.読む価値あり.」と感じた専門書や教科書については紹介していくことにする.あまり否定的なコメントは書きたくないので,平凡かそれ以下の専門書や教科書は淡々と無視していこう.

今回紹介するのは,統計的方法についての副読本である.いわゆる入門書や教科書ではない.このため,これから勉強しようという初学者が本書だけを購入しても無駄である.この点は注意して欲しい.

内容は,本書の副題「正しく理解するための30の急所」の通りである.永田氏が自らの豊富な経験に基づいて,入門書には欠けている,実際に統計的方法を使う人には知っておいて欲しい,と感じた30テーマについて,なるべく平易に解説している.統計的検定,管理図,分散分析,重回帰分析などの統計的方法について一通り勉強した後に本書を読めば,いくつかの疑問が氷解すると思う.例えば,ナントカ分布というのが登場する度に顔を出す「自由度」.初めて勉強するときには大抵意味不明な数字なのだが,本書では,様々な分布について自由度の意味が説明されている.中心極限定理や大数の法則については,これでもかというほどグラフを掲載して,視覚的に理解できるように工夫されている.統計的検定や区間推定を行う際に間違いやすい点を指摘してくれたり,推定と予測の違いを説明してくれたりと,入門書を読み終えた学生に「次に,これを読んでおけ!」と言うのに相応しい内容だと思う.

統計的方法のしくみ―正しく理解するための30の急所

  1. Σの記号
  2. ギリシャ文字
  3. 母数と統計量の区別
  4. 統計量の分布
  5. χ2分布表の補間法
  6. t分布表の補間法
  7. F分布表の補間法
  8. 正規確率紙とその見方
  9. 分布のひずみ・とがり
  10. 中心極限定理
  11. 大数の法則
  12. 検定における2種類の誤り
  13. 検定における2種類の誤りの確率
  14. 検出力とサンプルサイズの決め方
  15. 検定結果の表現のしかた
  16. P値
  17. 両側検定と片側検定
  18. 検定の誤用パターン
  19. 区間推定における信頼率の意味
  20. 推定と予測の違い
  21. 無相関・擬似相関・偏相関
  22. 2×2分割表(予見調査と回顧調査)
  23. 自由度
  24. 管理図とその見方
  25. 工程能力指数の点推定と区間推定
  26. ロジット変換
  27. デルタ法
  28. t検定とウェルチ(Welch)の検定
  29. 分散分析における効果とデータの構造式
  30. 重回帰分析(説明変数が2つの場合)
9月 192007
 

研究者や技術者でない人達には縁のない話題かもしれませんが,研究者の評価がどうなっているのかということは,日本が科学技術立国であるなら重要な問題であるため,話のネタとして紹介します.研究者を目指す若者にも当然参考になるでしょう.

大学教員がまともに仕事をしているかどうかを評価しようとするなら,「教育」への貢献度を評価することが不可欠である.何よりもまず,これが重要である.ところが,教育活動の評価は非常に難しいため,とりあえず,評価しないという作戦が採用されることが少なくない.私が学生のレポートを赤ペンで真っ赤にしたところで,給料が1円でも上がるわけでもない.まあ,無茶苦茶な評価基準を適用して,大学教育を破壊してしまうぐらいなら,何もしない方がましという見方もできる.

最も重要な教育の次に来るのは,研究だろう.プロモーションが絡むと,研究業績の評価は避けて通れない.助教(昔の助手),准教授(昔の助教授)や講師,教授(昔から教授)とのしあがっていくためには,その地位に相応しい研究業績を要求される.では,研究業績はどうやって評価されるのか.実は,これも大問題である.定量的な評価が求められるので,馬鹿でも思い付くのは論文数という評価指標だ.だが,論文数だけで評価するのは本物の馬鹿だけだろう.社会に貢献しない論文をいくら書いても無意味だ.では,論文の量だけでなく,質まで考慮するためにはどうすればよいか.この段階で持ち出されるのが,論文の被引用数や雑誌のインパクトファクターということになる.

論文の被引用数は,その名の通り,当該論文が他の論文に引用(参照)された回数である.この被引用数が多ければ多いほど,その分野において注目される研究成果だと推察できる.一方,インパクトファクターは,個々の論文の評価指標ではなく,雑誌の評価指標である.基本的な発想は論文の被引用数と同じであるが,どれだけ注目されている雑誌であるかを表す指標とされている.このため,インパクトファクターの高い雑誌に掲載された論文は優れた論文ということになる.

読書諸賢には,これらの評価指標の問題点は明らかだろう.被引用数が1とか2の論文であっても,それを大量生産すると,合計としての被引用数は上昇する.しかし,そんな数が大きいからと言って,優れた研究業績をあげたと言えるだろうか.ただし,真に革新的な研究は同時代の人々からは評価されないという説もあるので,その場合は,被引用数が少なくても,物凄い論文であり,研究業績であると言うことになる.だが,そういうことを言い出すと,研究業績の評価なんてできなくなるので,ここでは敢えて無視しよう.一方のインパクトファクターだが,忘れて困るのは,インパクトファクターは雑誌の評価指標であるということだ.同じ雑誌に掲載された論文であっても,優れたものもあれば劣るものもある.まさに玉石混淆だ.このため,インパクトファクターが高い雑誌に掲載されたから凄い研究成果だとは言えない.

では,どうすれば良いのか.論文数と被引用数を同時に考慮できる指標なら,何とか使い物になるのではないだろうか.というわけで考案されたのが,タイトルにある「h指数(h-index)」である.考案者は物理学者のハーシュ氏.h指数(h-index)は,論文数と被引用数とに基づく科学的貢献度を示す指標であり,「ある研究者の論文について,被引用数がh以上である論文の数がh以上であることを満たす最大の数値h」と定義できる(我流の定義です).具体例を挙げると,h指数(h-index)が100ということは,被引用数が100以上である論文を100報以上書いていることになる.つまり,このh指数(h-index)の高い研究者ほど凄い.

実は,このh指数(h-index)の歴史は浅く,提案されたのが2005年.まだ2年ほどしかたっていない.ところが,あちこちの文献データベースで採用され,影響力を増しているようだ.今日,エルゼビア(Elsevier B.V.)という出版社から届いたメールの件名が”View your h-index in Scopus”で,「Scopusであなたのh指数(h-index)が簡単に確認できますよ」という内容だった.Scopusでは著者ごとに固有のIDが割り当てられているため,自分を検索して,ボタンを1つ押せば,h指数(h-index)を含む研究業績指標が表示される.確かに簡単だ.

興味本位で自分のh指数(h-index)を確認してみると,”8″だった.もちろん研究分野にもよるだろうが,この数字は高いのか低いのか...

いずれにせよ,こういう数字を見ると,「もっと論文を書こうか」という気になる.手元に貯めてあるのを3つほど仕上げるかな...