9月 182007
 

プロセス制御工学の授業アンケート結果

「基礎情報処理演習の授業アンケート結果」についてコメントを書いたが,もう1つ,工業化学科化学プロセス工学コース3回生対象の「プロセス制御工学」の授業アンケート結果も送られてきたので,紹介しておこう(詳細下記).

プロセス制御工学」に対する学生の評価は概ね良好と言えるだろう.1(あてはまらない)〜4(あてはまる)の4段階評価で,3.5ポイント以上を獲得している項目が多い.

「分かりやすかった」というコメントを多くの学生からもらった.大変嬉しいことであるが,私に言わせれば,これは当然だ.教職は天職だと思っているし,人に教えることに関しては自信もある.能力ある者が努力して取り組む.これが最強である.ただ,プロセス制御工学なんて,講義内容としては,そんなに面白いものでもないように思う.そういう講義に興味を持って取り組んでくれる学生がいるというのは有り難い.

あと,「学ばなければならないことがはっきりしていて,学習しやすい授業だった」というコメントは,私の意図が反映されていて大変嬉しいコメントだ.幸いにも,企業との共同研究や主宰する研究会などを通して,大学にいながら,産業界の現状を教えてもらえる立場にある.だからこそ,自信を持って,「これだけは勉強しておけ」というポイントを伝えることができる.

以上のような高評価の一方で,いくつか非常に評価が低い項目がある.3.2ポイント以下の項目を列挙してみよう.

  • 授業中に学生の質問・発言などを促してくれた.(3.09)
  • 授業にわくわくするような感覚をもったことがあった.(3.18)

評価が低いとは言っても,4段階評価での平均値が3.0ポイント以上だから,落ち込まなくても良いレベルではある.しかし,やはり改善していかなければならない.対策としては,もっと学生に意見を求めると共に,産業界での最先端の事例などを紹介するということになるだろうか.来年度以降,工夫してみよう.

アンケート結果

アンケート結果(定量的評価) [PDF]

以下,自由記述.

  • 先生にカリスマ性を感じた.
  • 授業がわかりやすくて素晴らしかったです.最後の授業で話されたことがとても興味深かったです.
  • しまりのある授業だと思いました.
  • 難しかったけど,意義のある授業に感じました.
  • 先生の思想に影響受けてます.
  • 分かりやすかった.
  • 「学ばなければならないこと」がはっきりしていて,学習しやすい授業だった.
  • 評価基準が具体的に示されていて良かったです.
  • 興味深い講義だった.
  • おもしろかったです.
  • 授業がとてもわかりやすかったです.そのため,最後まで集中して授業を受けることができました.

カリスマ性,思想,そして最後の授業

授業アンケートの自由記述を読んでみると,「先生にカリスマ性を感じた」や「先生の思想に影響受けてます」という何とも怪しげな回答がある.おおよそ授業に対する回答とは思えない.むしろ,新興宗教のノリだろう.だが,学生がこのような感想を持ってくれることを素直に喜びたい.それは,「基礎情報処理演習の授業アンケート結果」にも書いた通り,単に専門知識を伝えることではなく,いかに勉強に対する動機付けを与えられるか,人生について考えてみるきっかけを与えられるかが,私が行う講義の要諦であるからだ.素晴らしい潜在能力を持ちながら,それを磨こうと決意するチャンスに恵まれない大学生が多いのは,本人にとっても,社会にとっても,不幸なことである.私が大学に残った理由がここにある.人材育成.これほど有意義な社会貢献はない.

もちろん,大学の専門科目であるから,シラバスに載っていないようなことばかり話すわけにはいかない.それでは単なる職務放棄だ.きちんと専門科目の講義は行い,必要な知識を学生に身に付けてもらった上で,それを最低限の条件として,どこまで自分の思想を伝えられるかが勝負だろう.

「最後の授業で話されたことがとても興味深かった」との回答があるが,最後の講義では,人生について,生き方について,就職について,社会貢献について,教養について,研究室配属について,思い付くままに語った.かなり偏った考え方だとは思うが,将来有望な学生が自分の人生について考えるきっかけになればと思う.この最後の講義では,参考資料を配布した.参考までに,以下,転載しておこう.

これからの数年間が非常に重要となる3回生へ

引用: P.F.Drucker; ドラッカーの遺言, 講談社, 2006 (ISBN 4062820005)

  • 「成果を得るために,どんな強みを活かして,何をしなければならないのか.」経営の本質は,すべてこの一言に言い表されています.前世紀の経営に求められたものも,そして新しい世紀における経営の本質も大した違いはありません.「どんな長所を活かし,何をすることで,どれだけの成果を挙げるのか.」すべてこの一言に集約されているのです.
  • 「われわれの事業の目的は何か.この事業の成果は何なのか.そのために何をすべきなのか.」日々の仕事に自ら動機を持っている人は,すべからくこのような問いかけを意識する習慣を有しています.そして有能な人材とは,まさにそうした習慣を持った人のことなのです.
  • リーダーとして効果的にふるまえる習慣とは,いかなるものでしょうか.まず誤解を解いておきたいのは,自分が先頭に立って事に当たり,人々を引っ張っていく姿勢など,まったくもって必要ないということです.有能なリーダーに共通する習慣の1つめは,「やりたいことから始めることはない」ということです.彼らはまず,「何をする必要があるか」を問います.
  • 有能なリーダーに共通する2つめの習慣は,「何をすべきか」を考え抜いた後に,その中のどれが「自分の仕事なのか」を問うことです.言葉を換えれば,なすべきことのうち,「何が自分に適しているか」あるいは「何が自分に適していないか」を突き詰める作業を行うということです.この習慣を持つ人は,とりもなおさず「自分が何を得意としているか」を的確に把握しており,同時に「自分は何が不得手なのか」についても熟知しています.そして3つめの習慣として,「不得手なことは,決して自らてがけない」ことを徹底しているのです.
  • 組織を効率的に運営できるリーダーに共通する要素として,部下とのコミュニケーションを取ることを自らの責任と捉えていることが挙げられます.自らの任務を遂行するために,誰からの,どんな情報が,いつ必要なのかを把握し,また,他人に任せた業務に関し,どの情報が,誰に,いつ必要かを掌握しているのです.
  • 絶えざるスキルアップを達成するために最も重要となるのは,自分の強みを把握することです.自分が何を得意とするのかを知り,磨きをかけていく―これこそ個人のイノベーションの要諦であり,成果を挙げ続けていくための唯一の方法です.
  • 知識社会において成果を挙げ得る人間であり続けるためには,スキルを更新する教育を何度も何度も繰り返し受けることが必要となります.真の意味での「生涯教育」であり,つねに教育に立ち返るこの姿勢こそが,個人のイノベーションを促進してくれます.生涯にわたる継続的な学習が不可欠となった事実を受け入れ,つねに再教育を受ける心構えを持ち,それを自己責任であると認識すること―「いま何を捨て,何を選択し,自己を高めるために何を学ぶべきか」を絶えず問い続けなくてはならないこと―いま,すべての人が身をもって知るべき事実です.
  • 日本の若い世代の人達には,20代から遅くとも30代前半のうちに,少なくとも2〜3年は日本を離れて,他国で働く経験を積むことをお勧めしたいと思います.情報が高度に専門化し,ごく限られた領域だけを守備範囲とするスペシャリストが増えている世の中で,日本人は若者を他分野にまたがる知識や技術を持ったゼネラリストに育てる術に長けています.それにもかかわらず,私が接してきた日本人の中には,視野が狭く,「世界について十分な知識が備わっていない」と感じさせる人が多数存在しました.海外経験の少なさがその原因です.学ぶべき課題は日本の外にいてこそ得られます.ぜひとも国外に出て行って,視野を大いに広げて欲しい.知識社会が招来する新しい時代においても,日本が世界のメインパワーであり続けるための原動力になってほしいと願っています.

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