統計的方法のしくみ―正しく理解するための30の急所
永田靖,日科技連出版社,1996
これまで専門書の類は「読書の記録(書評)」には掲載してこなかったのだが,私自身が「素晴らしい.読む価値あり.」と感じた専門書や教科書については紹介していくことにする.あまり否定的なコメントは書きたくないので,平凡かそれ以下の専門書や教科書は淡々と無視していこう.
今回紹介するのは,統計的方法についての副読本である.いわゆる入門書や教科書ではない.このため,これから勉強しようという初学者が本書だけを購入しても無駄である.この点は注意して欲しい.
内容は,本書の副題「正しく理解するための30の急所」の通りである.永田氏が自らの豊富な経験に基づいて,入門書には欠けている,実際に統計的方法を使う人には知っておいて欲しい,と感じた30テーマについて,なるべく平易に解説している.統計的検定,管理図,分散分析,重回帰分析などの統計的方法について一通り勉強した後に本書を読めば,いくつかの疑問が氷解すると思う.例えば,ナントカ分布というのが登場する度に顔を出す「自由度」.初めて勉強するときには大抵意味不明な数字なのだが,本書では,様々な分布について自由度の意味が説明されている.中心極限定理や大数の法則については,これでもかというほどグラフを掲載して,視覚的に理解できるように工夫されている.統計的検定や区間推定を行う際に間違いやすい点を指摘してくれたり,推定と予測の違いを説明してくれたりと,入門書を読み終えた学生に「次に,これを読んでおけ!」と言うのに相応しい内容だと思う.
統計的方法のしくみ―正しく理解するための30の急所
- Σの記号
- ギリシャ文字
- 母数と統計量の区別
- 統計量の分布
- χ2分布表の補間法
- t分布表の補間法
- F分布表の補間法
- 正規確率紙とその見方
- 分布のひずみ・とがり
- 中心極限定理
- 大数の法則
- 検定における2種類の誤り
- 検定における2種類の誤りの確率
- 検出力とサンプルサイズの決め方
- 検定結果の表現のしかた
- P値
- 両側検定と片側検定
- 検定の誤用パターン
- 区間推定における信頼率の意味
- 推定と予測の違い
- 無相関・擬似相関・偏相関
- 2×2分割表(予見調査と回顧調査)
- 自由度
- 管理図とその見方
- 工程能力指数の点推定と区間推定
- ロジット変換
- デルタ法
- t検定とウェルチ(Welch)の検定
- 分散分析における効果とデータの構造式
- 重回帰分析(説明変数が2つの場合)

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