10月 312007
 

今日,大変嬉しいニュースが届いた.現在一緒に研究に取り組んでいる博士課程学生が,日本学術振興会の特別研究員(DC2)に採用されたというものだ.

この特別研究員制度について,日本学術振興会の「制度の概要(PD・DC2・DC1)」には下記のような説明がある.

将来の学術研究を担う優れた若手研究者を養成・確保するため、本会は、学術審議会答申「学術研究体制の改善のための基本的施策について」(昭和59年2月6日)に基づき、昭和60年度に特別研究員制度を創設しました。

「特別研究員」制度は優れた若手研究者に、その研究生活の初期において、自由な発想のもとに主体的に研究課題等を選びながら研究に専念する機会を与えることにより、我が国の学術研究の将来を担う創造性に富んだ研究者の養成・確保に資することを目的として、大学院博士課程在学者及び大学院博士課程修了者等で、優れた研究能力を有し、大学その他の研究機関で研究に専念することを希望する者を「特別研究員」に採用し、研究奨励金を支給する制度です。

特別研究員に採用されると,月額200,000円の研究奨励金と毎年度150万円以内の研究費(科学研究費補助金)が支給される.大学や研究室から給料を支給されない日本の博士課程学生にとって,この経済的支援は非常にありがたいものだ.

もちろん,競争率は高く,平成19年度の実績では,工学領域で申請数2,024に対して採用数は377(採択率19%)である.人文・社会・自然科学等全領域では,申請数11,917に対して採用数は2,101である.

自分の周囲で特別研究員に採用された学生を見てみると,研究業績が重要な要素であるように感じられる.日本学術振興会の「特別研究員の選考方法」には,審査基準について以下のように記載されている.

特別研究員の審査方針は、(1)学術の将来を担う優れた研究者となることが十分期待できること、(2)研究計画が具体的であり、優れていること、(3)研究業績が優れており、研究計画を遂行できる能力及び準備状況が示されていること、(4)諸分野における研究者養成の必要性に配慮することです。

書面審査による評価は、(1)推測される研究能力・将来性、(2)研究計画、(3)研究業績のほか、学位の有無などを含めて総合的に研究者としての資質及び能力を判断した上で、5段階の評点(5:非常に優れている、4:優れている、3:良好である、2:やや劣っている、1:劣っている)を付けます。なお、DCについては研究経験が少ないことから申請書記載の「現在までの研究状況」、「これからの研究計画」、「自己評価」及び「評価書」を重視し、PDについては「研究業績」を重視して評価します。

「DCについては研究経験が少ないことから」と書かれていることからも推測されるが,研究実績があれば,それだけ有利だということになる.研究業績ほど雄弁に研究能力を語るものはないということだ.

今回採用が決まった学生については,修士課程在学中から論文執筆を課し,学術雑誌掲載論文3報,特許出願2件,国際会議発表多数という実績を用意周到に作り上げてきた.その努力が功を奏した形だ.

あとは,在学中に海外留学を経験してもらうことが希望だ.

10月 242007
 

DEATH NOTE

誠に遅ればせながら,DEATH NOTEのマンガ全12巻を読んだ.彼女が友人宅で借りてきたので,折角の機会だから,読んでみようかと思って.マンガを読んだのは何年ぶりだろうか.前にいつ読んだかを全く思い出せない...

実は,かなり前に少しだけテレビでDEATH NOTEのアニメ版を見掛けたことがある.もう終わるところで,Lが心臓麻痺で死ぬシーンだった.2編あることなど知るはずもなく,「えっ,こういう終わり方をするの?」と,それから頭の片隅で気になっていた.その疑問も,マンガを読んで解消された.

こういう理詰めの話は結構好きだ.よく考えられている.それにしても,こういう物語を考え出せる人の頭の中は一体どうなっているのかと思う.私とは異なる人種に違いない.小説家とかもそうだが,その創造力・想像力は凄い.

マンガを買うならナウシカと三国志

今回のDEATH NOTEのように借りたマンガを読むことはあっても,自分で買うことはほとんどない.ほとんどないということは,買うものもあるということだ.では,何なら買うのか.この10年間ほどで購入したのは1セットだけ.それは,「風の谷のナウシカ」だ.もちろん,アニメ版も大好きで,何度も見たが,多くの人が知るアニメ版「風の谷のナウシカ」は原作全7巻のうちの最初の2巻にも満たない.物語はそこから素晴らしい広がりを見せ,秘密が解き明かされていく.そのスケールは指輪物語を凌駕すると思っているのは私だけだろうか.アニメだけを見て,環境問題を取り上げただけだとか,勧善懲悪の話だとか,そのように単純に捉えているのなら,原作を読んでみると良い.ナウシカの本当の世界がそこにある.俗に言う宮崎駿作品ファンなわけだが,アニメで選ぶなら,「カリオストロの城」だろう.全くミーハーだが...

「風の谷のナウシカ」も素晴らしいが,マンガを買うとすれば,私の一押しは「三国志」だ.もう随分と昔だが,大学4回生のとき,横山光輝の三国志全60巻を2回読破した.もちろん,マンガだけ読んでいたわけではない.分厚い三国志演義の他,諸葛亮孔明などについての書籍も数多く読んだ.それで卒業論文が書けるくらいに.横山光輝の三国志は徹底した蜀贔屓だが,それもいいだろう.歴史の面白さを伝えてくれる.近い将来,長男に文庫版30巻セットをプレゼントするつもりだ.

そういえば,つい数日前だが,「古事記」も読んだ.これもマンガだ.まあ,自分が生きている国の成り立ちぐらい知っておいた方がいいだろうと.しかし,古事記に登場する神々の名前はややこしすぎる.まるで頭に入らない...

10月 222007
 

衝撃的なニュースを見掛けたので,書いておく.

当然ながら,外国為替証拠金取引(FX)業者は,金融商品取引法によって,顧客の預託財産と会社の資産を分別管理することを義務付けられている.ところが,エフエックス札幌(本社・札幌市、谷康広社長)はそのルールを無視して破産し,証拠金約20億円が顧客に返却されないらしい.騙される者は泣き寝入りという事態が,ここでも繰り返されるわけだ.

この社長や会社がろくでなしだと言うことは指摘するまでもないが,なぜ,こんな会社を利用して取引したのかが理解できない.余程の好条件だったのだろうが,美味しい話には裏があるものだ.FXを手掛けるぐらいなら,会社の見極めを含めたリスクマネージメント能力は当然必要だと思うのだが...「法律で決められています」なんてのは何の効力もない.証拠金が戻ってこなかったら,社長が一生刑務所に入っても,損失確定なのだから.問題は「会社が潰れないか」だ.当然,そんなことはわからないから,規模や実績,関係会社から推測するしかない.

ちなみに,資金繰り悪化の原因は,サブプライムローン問題らしい.この問題,色々なところで顔を出す.

FX業者破産、顧客の証拠金20億円返らず

外国為替証拠金取引(FX)業者のエフエックス札幌(本社・札幌市、谷康広社長)は22日、札幌地裁に破産手続きの開始を申し立て、同日認められた。負債総額は23億3000万円余りで、その大部分は588人の顧客(投資家)が差し入れている証拠金。同社の資産は約1億4000万円しかなく、破産手続きによる配当は、証拠金に比べ大幅に少なくなる見通しだ。

この日記者会見した破産管財人によると、同社は顧客から外貨売買の注文を電話などで受け、即時にオンラインで利幅が取れる条件で海外の取引業者に発注していた。しかし、米国の低所得者向け住宅ローン(サブプライムローン)の焦げ付きに端を発する8月中旬の急激な円高のなか、注文殺到でオンラインがすぐにつながらず、不利な条件で取引をすることになった。このため約20億円にのぼる損失を抱え、債務超過に陥ったという。

北海道財務局は同社の破産を受け、金融商品取引法に基づき報告を求めたところ、証拠金などと自社の固有財産とをきちんと区分して管理していなかったことなどが認められたとして、同日付で業務停止命令と業務改善命令を出した。

asahi.com (2007年10月22日)

10月 212007
 

京都府立山城総合運動公園「太陽が丘」

日曜日に,子供と遊ぶために,京都府立山城総合運動公園「太陽が丘」に行ってきた.なぜだかわからないが,ずっと,「太陽が丘は遠い」とイメージを持っていて,これまで行ったことがなかった.実際に車で行ってみると,片道約1時間だった.全然遠くない...

公園に到着して,車を駐車場に駐めて,まずは「遊びの森」へと向かう.ところが,駐車場を出てすぐに,地面にいっぱい落ちている「ドングリ」を見付けた長男4才と長女2才は,「ドングリや〜!」と叫びながら,拾うことに夢中.持ってきたビニール袋に,ドンドン入れていく.当然,私も負けずに拾いまくる.ただし,家でままごとに使えそうなドングリを厳選しながら...

「遊びの森」には,池,丸太小屋,迷路,滑り台(タイムトンネル)などがある.ここの滑り台はトンネルになっていて,かなり急勾配だ.試しに長女2才と滑ってみると,お腹がスーッとした.そう,絶叫マシーン系のあの感覚だ.滑り台でこの感覚を味わうことは滅多にない.下で待っていた彼女は,「○○ちゃん,顔ひきつってる」と言っていたが,それも当然だろう.慎重派の長男4才は,「いや,すべらない!」と拒否する.ところが,長女2才は「すべる!」と言って,階段を登っていこうとする.大した根性だ.

しばらく,池や迷路で遊び,散歩し,ドングリを拾ったところで,昼ご飯.持ってきたおにぎりと焼き芋を食べる.そして,芝生の坂をコロコロ転がって遊んだ.その後,ジャンボ滑り台やジャングルネットがある「冒険の森」へ.長男はこのジャンボ滑り台が大変気に入ったようで,何回も滑った.一方,長女は眠くなってきたこともあってか,全然言うことを聞かないモードに突入.何を言っても「いや!」の連発.こうなると大変.「風の回廊」などで遊んだ後,再び,「遊びの森」に戻る.

途中,ご機嫌な長女は歌いながら歩いていた.

♪ どんぐり ころころ どんぐりこ〜

♪ おいけに はまって さあ どうぞ〜

長男が「どうぞと違うで!」と指摘する.なぜ,「さあ どうぞ」なのか.全くの謎だ.

「遊びの森」に戻ると,ジャンボ滑り台が余程楽しかったのか,長男が「あれ滑る!」と言って,タイムトンネルを指差す.「よし,じゃ,行こう!」と一緒に滑ったのだが,下に着くと,長男が泣き出した.お腹がスーッとするのが怖かったらしい.将来,絶叫マシーン系が苦手になるんだろうな...

どんぐりの虫退治

さて,大量に拾ったドングリだが,ままごとに使うためには,虫退治をしておかないといけない.人によって色々と流儀があるようで,例えば,以下のような方法がある.

  1. 熱湯に入れる.
  2. 冷凍庫に入れる

熱湯の場合は,1分も入れれば良いだろうか.冷凍庫の方は,3日間と書いてあるサイトがあった.いずれにせよ,虫を死滅させる作戦だ.あと,ドングリが虫に食われているかどうかを確認する方法として,水(湯)に入れることが推奨されていたりする.虫に食われてスカスカになったドングリは,水に浮かぶというわけだ.

とりあえず,帰宅後,熱湯に放り込んでみた.

10月 212007
 

大学卒業までに必要な「子どもにかかる」お金―親の時代とは大違い!
山田静江監修,オレンジページ,2007

「子どもの教育にどれくらいの費用がかかるのか?」という,家計を考える上で大切な質問に答えてくれる本.100頁程度で,大きなグラフや絵がふんだんに使われているので,あっという間に読める.学校で必要な費用だけでなく,塾や習い事に必要な費用についても,具体例と共に示してくれているので,参考になるだろう.

小学校から私立に入学させる家庭も増えてきているが,入学金や授業料が公立よりも高いだけでなく,付き合うことになる家庭が裕福であるため,会食や誕生会など,何かにつけて出費がかさむことになる.このため,甘い見込みで,調子に乗って私立に行かすことのないようにと,本書では繰り返し警告している.親の収入がそれほど変わらないとしても,資産家の祖父母が支援していることなどもあるので,そういうあてのない人は,くれぐれも注意することだ.また,習い事についても,いわゆる月謝以外の支出をチェックしておく必要がある.

進学校や塾に行かないとトップレベルの大学に行けないほど,うちの子供の頭は悪くないと,自分に言い聞かせるのもいいだろう.

なお,本書には,「では,どうするか?」ということは,あまり書かれていない.節約する,奨学金を利用する,教育ローンは最後の手段である,などに加えて,積立で教育資金を準備する場合,どの程度の積立金が必要になるかを示しているぐらいだ.しかし,2006年12月に「高騰する教育費用 vs 学資保険」と題して指摘したとおり,デフレ下の日本において,入学金と授業料はハイパーインフレ状態になっており,凄まじい勢いで上昇している.このため,本書に書かれている教育費用を10年以上先に準備できたとしても,その時点では,全く足りないという事態に陥るだろう.今後,日本もインフレを享受できるようになるなら尚更だ.その対策は講じておかないと,痛い目にあうことになる.私としては,むしろ指摘すべきは,この点だと思うのだが...

まあ,人様の心配をする前に,自分の心配をしないといけない.

教育費

  • 費用: 単位は千円
  • 学校教育費: 授業料,制服,学用品,遠足や修学旅行など
  • 学校外活動: 塾や習い事,体験活動,図書費など
  • 大学: 自宅通学の場合
  • 私学理系: 医学系を除く

小学校

公立 私立
学校教育費 学校外活動 学校教育費 学校外活動
1年 80 261 1,009 261
2年 35 219 722 219
3年 40 236 725 236
4年 41 260 725 260
5年 49 285 727 285
6年 81 296 743 296
小計 326 1,557 4,651 1,557
合計 1,883 6,208

中学校

公立 私立
学校教育費 学校外活動 学校教育費 学校外活動
1年 181 277 1,269 317
2年 100 317 776 303
3年 118 413 818 335
小計 399 1,007 2,863 955
合計 1,406 3,818

高等学校

公立 私立
学校教育費 学校外活動 学校教育費 学校外活動
1年 442 132 1,001 177
2年 328 138 701 250
3年 254 258 594 375
小計 1,024 528 2,296 801
合計 1,552 3,097

大学

公立 私立文系 私立理系
学校教育費 学校外活動 学校教育費 学校外活動 学校教育費 学校外活動
1年 803 199 1,190 227 1,536 295
2年 521 199 881 227 1,198 295
3年 521 199 881 227 1,198 295
4年 521 199 881 227 1,198 295
小計 2,366 796 3,833 908 5,130 1,180
合計 3,162 4,741 6,310

教育費については,2005年12月の「養育費と教育費で家計は破綻」,2006年12月の「学資保険は魅力的でない」,「高騰する教育費用 vs 学資保険」,2007年10月の「子供名義の投資信託積立」なども参考になるだろう.

10月 172007
 

2週間程前に,「子供名義の投資信託積立」と題して,教育資金についてまとめた.その中で,暴落中に将来有望な2銘柄を買い付けたと書いたのだが,利益確定&損切り条件にヒットしたので,もう売ってしまった.最終的には,1ヶ月で+15〜17%となった.数年間は持ち続けて良さそうな(子供が成人するまで大丈夫かはわからない)会社だと思っているが,思っている通りにはいかないのが投資なので,ルールは遵守する必要がある.

一旦売却すると,少し下がったところで買い直したい誘惑にかられるのだが,それは慎まないといけない.次回,子供名義の証券口座で参戦するのは,顔面蒼白になるような暴落場面が再び巡ってきたときだ.それまでは,ひたすら投資信託の積立のみ.

10月 172007
 

内緒話でも何でもなく,現在の延長線上に未来を描けば,多くの大学法人は倒産するでしょう.以下はメモです.

運営費交付金

運営費交付金とは,学生数や教職員数など国立大学の規模に応じて,文部科学省から毎年大学に配分される補助金です.人件費や施設管理費がこれで賄われます.運営費交付金が不足すると,教職員の首を切ったり,施設を荒れ放題のまま放置せざるをえず,その先に倒産があります.

現在,この運営費交付金は毎年1%ずつ削減されていますが,それだけに止まらず,運営交付金に競争原理・成果主義が導入されようとしています.そうなると,当然ながら,運営費交付金が増える大学と減る大学に二分されます.

財務省作成資料(2007/5/21財政制度等審議会)によると,

  • 増加する大学: 13法人(15%)
  • 減少する大学: 74法人(75%)
  • 半分以下になる大学: 50法人(57%)

だそうです.普通の国立大学の収入の70〜80%が運営費交付金によるものだとすると,半分以下になる大学では資金繰りがつかなくなるでしょう.

増加する13法人のうち7つは,当然ながら旧帝大です.増加率順に記載すると,東京大学,京都大学,東京工業大学,名古屋大学,東北大学,大阪大学,東京農工大学,北海道大学,奈良先端科学技術大学院大学,九州大学,一橋大学,神戸大学,長岡技術科学大学となります.

学生の立場になって考えれば,運営費交付金が大幅に減少する大学では,校舎はボロボロ,机や椅子もボロボロ,研究室に入ったところで,研究設備もボロボロ,もちろんサービスも低レベルということになるでしょう.教育は国家の要ですから,そんなことでは良くないと思いますが.少子化が進行していく中で,大学をどうするのかという国家戦略がないのでしょうか.まるで勉強しない大学生のために教育だからと税金を投入することはないですが,財政赤字が大変だからと言って,教育環境を破壊するのはいかがなものでしょうか.スッキリ統廃合させるなら,ともかく.

日本の教育支出

よく話題になることですが,GDPに占める教育支出の割合を,OECD加盟国間で比較すると,日本は教育投資に非常に消極的であることがわかります.

2004年のOECDの資料によると,トップのイスラエルが8%超,米国や韓国が7%超,イギリスやフランスが6%前後であるのに対して,日本は5%にも届きません.ちなみに,OECD加盟国の平均は6.1%です.日本は平均のはるか下です.

大学の資金力

容易に想像できるように,日本の大学は貧乏です.地方大学はもちろんですが,東京大学にしても,その資金力は世界一流大学の足下にも及びません.

世界一流大学は,卒業生の寄附金などで得た収入で莫大な基金を作り,その基金を運用して,奨学金を含む様々な経費に充当しています.代表的な大学の基金は,ハーバード大学が約3兆円,スタンフォード大学が約1.6兆円であるのに対して,東京大学は130億円です.ハーバード大学は,基金の運用益だけで毎年約4000億円を稼ぎ出しますが,東京大学の年間予算は約2000億円で,ハーバード大学の運用益の半分に過ぎません.日本の大学がいかに金欠かがわかります.

まあ,ハーバード大学は別格ですが,それにしても,日本の大学の資金力のなさは問題です.博士課程の学生に給料を支払うどころか,授業料を免除することすらままなりません.そりゃ,日本の大学で博士課程に進学するより,欧米の大学で進学する方が魅力的でしょう.

COEプログラム

運営費交付金は削減されているものの,競争的資金という名の研究費は増額されていたりします.中でも,21世紀COEプログラムとその後継のグローバルCOEプログラムというのがあり,拠点校には年間数億円が援助されています.

このような政策について,早稲田大学の竹内教授が,週間東洋経済2007/10/3特大号の中で,以下のように指摘しています.

  • 自然科学系の論文数で比較すると,世界のトップ3は,ハーバード大学,東京大学,京都大学の順であり,日本の大学は世界一流校に決して負けていない.
  • 日本の問題点は,トップ10大学以外の大学の研究能力が極めて低いことである.
  • 日本で10位の大学の研究費は,米国で100位の大学の研究費よりも少ない.
  • 研究費と論文数にはほぼ正比例の関係がある.
  • COEプログラムは,トップ10大学をさらに強化するものであるが,日本の研究力を向上させるためには,トップ10大学以外の大学の研究能力を強化しなければならない.つまり,的外れな施策である.
10月 052007
 

教育資金としての投資信託積立

2005年12月に「養育費と教育費で家計は破綻」と題して,保険会社の算出したデータを示し,将来必要となる莫大な教育資金を貯めるために,BRICs対象の株式型投資信託を利用すると宣言した.

特に教育費がかかるのは,下宿の可能性もある高校卒業後だろう.そこに照準を定めて,教育用資金を用意する必要がある.普通に考えられるのは,積立貯金や保険商品の活用だろうが,それらにあまり魅力を感じないため,投資信託を利用することにした.20年先を見据えた長期運用なので,まずはBRICs対象の株式投信で始めることにした.

その後,2006年12月の「学資保険は魅力的でない」では,学資保険に魅力がないと指摘した上で,インド株投信と中国株投信を買い続けていると報告した.この時点でちょうど1年間積み立てていたことになる.

一方の学資保険については,これを契約する意味が分からない.単純化して言うと,学資保険とは生命保険と貯蓄が合体したものということになる.このため,生命保険にしては死亡保障額が小さいし,貯蓄にしては利回りが低いし,何とも中途半端だ.学資保険を契約するぐらいなら,共済か何かの安い生命保険に入り,利回りの高そうな債券か投資信託でも自分で積み立てればいいはずだ.(中略)

というわけで,我が家では,2005年12月に「養育費と教育費で家計は破綻」で書いたとおり,投資信託で学資を積み立てている.具体的には,毎月,子供1人につき,インド株投信1万口(現時点で1万数千円)と中国株投信1万口(現時点で1万数千円)の計2万口だ.口数単位で積み立てているため,本来のドルコスト平均法にはなっていないのだが,それは仕方ない.株式投信だけにどうなるかはわからないが,大学進学時点で,子供1人につき400〜800万円ぐらいになるだろうと想像している.現在は,インド株と中国株の他に,もう1つぐらい買い足そうかと考えているところだ.BRICsやエマージングの株式型でも良いのだが,それでは分散性が悪くなるので,商品や不動産を検討している.学資とは無関係に外国債券を保有しているので,債券型は考えていない.

その4日後には,「高騰する教育費用 vs 学資保険」と題して,なぜ学資保険ではなく,株式型投資信託なのかということを,学費などのデータを示しながら書いた.

この資料を見れば,日本の高等教育政策がわかるだろう.「貧乏人は大学に行かなくていい」ということだ.今後も,国立大学法人の授業料は私立大学の授業料を目指して上がり続けると予想される.今から17年後,どうなっているだろうか.想像力を働かせてほしい.

ここまで書けば,なぜ私が株式型投資信託で学資を積み立てているのか,それに加えて商品や不動産を検討しているのかが理解してもらえるだろう.預貯金を全部株式投資にまわせとか,そんな暴論を吐くつもりはない.しかし,現実に教育費は高騰を続けており,将来必要になる教育費用をきちんと積み立てるのは簡単ではない.そうであれば,インフレヘッジも考えておくべきだし,そのために積立の一部を積極的に運用するのは理にかなっていると思われる.

子供名義証券口座開設

それから,さらに7ヶ月経過した2007年7月に,長男と長女の名義で証券口座を2つ開設した.教育資金は元々子供のために使うものだから,子供の財産としてしまおうという作戦だ.もちろん,贈与税がかからない範囲に抑えてある.その上で,これまで積み立ててきた「三菱UFJ-チャイナオープン」と「ドイチェ-インド株式ファンド」に加えて,「ソシエテ-SGロシア東欧株ファンド」の積立も開始した.3つめについては,ブラジルも考えたのだが,資源インフレの現在,アメリカ経済が怪しくなってきている中で,その国際的影響力を確実に増しているロシアをポートフォリオに入れておいた方が無難だろうと思い,ロシア関連の投資信託を選択した.証券口座開設にあわせて月々各1万円の積立にしたため,子供1人あたり月3万円,合計月6万円の積立になる.これで将来足りなかったら,子供に働いてもらおう.7月以降のパフォーマンスを比較すると,インド>チャイナ>ロシアの順になっている.この間,サブプライムローンの問題があったが,現時点ではプラスである.

もちろん,2005年末の積立開始時点から見ると,「三菱UFJ-チャイナオープン」と「ドイチェ-インド株式ファンド」の基準価額はほぼ2倍を達成している.

さて,サブプライムローン問題をきっかけにしたと言われる世界同時株安があったことは記憶に新しい.まだまだ再燃する可能性は高いが,日本市場の低調さを無視すれば,国際的には概ね元の水準まで回復してきたようだ.突っ込み買いがお気に入りの私は,積立用に子供用証券口座に寝かせてある資金の範囲で,暴落中に2銘柄に指し値を入れておいた.もちろん,将来が楽しみな会社が対象だ.ところが,子供用証券口座は積立用ということで,約定通知すらしない設定にしておいたため,約定していることに気付いたのは1週間以上経ってからだった.まあ予想通りだが,全部約定していた.現在はどちらも17〜19%上昇しており,かつ上昇トレンドにあると思われるので,しばらくは放置する予定だ.いずれもサブプライムローン問題とは関係なく,これまで徹底的に下げてきた(業績が良くて期待先行で買われすぎていた結果の投げ売りだろう)銘柄なので,トレンドが転換したことを期待している.

それでも,メインは積立だ.継続は力なり.

10月 052007
 

会議概要

IEEE (The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.) が主催する国際会議 IEEE Multi-conference on Systems and Control (MSC) が,10月1−3日にシンガポールで開催された.この会議 MSC は,2つの国際会議 the 16th IEEE International Conference on Control Applications (CCA) と the 22nd IEEE International Symposium on Intelligent Control (ISIC) をまとめて開催したものだ.このため,Multi-conference という名称で呼ばれている.

CCA や ISIC に参加するのは今回が初めてだ.というより,IEEE 系の国際会議といえば,昔々に神戸で開催された CDC (IEEE Conference on Decision and Control ) に参加したことがあるだけだ.自分のバックグラウンドは化学工学なので,電気系の学会とは縁遠いのも当然だろう.ただ,制御やデータ解析という繋がりがあるので,そちらにも顔を出すことがある.今回も,論文投稿を依頼されたため,参加することにした.

IFAC MSC 2007 では最大9セッションが並列して行われた.発表論文数は全体で450件程度だと思う(正確には数えていない).そこそこ大きな国際会議だと言える.また,CCA が ISIC よりも規模的には圧倒的に大きい.Conrefence Banquet であった発表によると,論文採択率は50%強だったらしい(正確には覚えていない).要するに,投稿された論文のうち,半分近くは落とされたわけだ.採択率50%というのは結構低い値だと思う.つまり,レベルが高い会議だと期待できるわけだ.

さて,会議全体の印象だが,相当数の参加者がいるはずなのに,ガラガラのセッションもある.まあ,内容によって人気・不人気があるのは当然なので,これは仕方ないとしよう.それよりも気になったは,No Show (講演者が無断欠席)の多さだ.1セッションで複数のNo Showがあったりもした.こういう行為を許すと,会議の印象が非常に悪くなる.もっとも,一番悪いのは論文著者なのだが...

パネルディスカッション

IFAC MSC 2007 では,”Control Thory and Applications: Past, Present, and Future”というテーマでパネルディスカッションも開催された.このセッションには非常に多くの参加者が来ていた.パネリストは,John J. Baillieul (Boston University), Kevin L. Moore (Colorado School of MInes), Carlos Canudas-de-Wit (Polytechnic of Grenoble), Frank Allgower (University of Stuttgart), Sebastian Engell (University Dortmund) の5名だ.パネルディスカッションが始まる前に,プロセス制御系の学会(特にIFAC TC 6.1)等で顔馴染みの2人のパネリスト Frank と Sebastian と話していたところ,「じゃ,パネルディスカッションを楽しみにしてるよ」との挨拶に,「パネルディスカッションなんだから,ちゃんと発言しろよ」と切り返された.

さて,パネルディスカッションの開始に際して,オーガナイザーの挨拶やパネリストの紹介があった.その後,パネルディスカッションの進行役(Moderator)を務める Tong H. Lee (National University of Singapore) が,自分の研究について紹介すると言って,延々と話し出した.これってダメじゃないのか.もちろん,簡単な自己紹介と研究内容の紹介は全然問題ない.それは必要だろう.だが,彼の話は延々と10分ぐらいは続いた.それも,自分はこんな研究をしてるということばかりで,テーマとも関係ない.パネルディスカッションの時間は,5名のパネリストの講演と議論の時間を含めて全体で1時間だ.そのイントロで,10分も漫談してどうするんだ.「キングコブラ vs. 蛇遣い@IEEE MSC Banquet」にも書いたが,シンガポール人は目立ちたがり,喋りたがりなのだろうか.

10月 022007
 

毎年数回国際会議に出席し,バンケット(晩餐会)にも参加する機会が多い.世界各国の伝統芸能を見せてもらえたりもするのだが,今回のイベントのインパクトは凄かった.今年8月にカナダのケベックシティで開催されたIFAC MMMのバンケットも素晴らしかったが,それとは違った,珍しさ満点のイベントだった.

最初の出し物はダンスで大したことなかったのだが,その次に登場したのが,なんと「蛇遣い」だ.そう,笛を吹くと,かごからコブラが顔を出して踊るというやつだ.実物を見たのは生まれて初めてだ.

蛇遣いがかごのフタを取ると,キングコブラが鎌首をもたげた.会場がどよめく.

蛇遣い登場@IEEE MSCバンケット,シンガポール
蛇遣い登場@IEEE MSCバンケット,シンガポール

鎌首をもたげるキングコブラ@IEEE MSCバンケット,シンガポール
鎌首をもたげるキングコブラ@IEEE MSCバンケット,シンガポール

キングコブラ vs. 蛇遣い@IEEE MSCバンケット,シンガポール
キングコブラ vs. 蛇遣い@IEEE MSCバンケット,シンガポール

ただし,このバンケットの進行には落第点をつけておこう.というのも,中華料理コースの前菜とスープが終わったところで,主催者や来賓の挨拶になったのだが,もちろんそのこと自体には何の問題もないのだが,その挨拶が延々と,延々と,そして延々と続いたからだ.お腹空いてるんだから,何か食べさせてよって感じ.いくら何でも喋りすぎだ.

会議全体からも,総じて,シンガポール人は目立ちたがり,喋りたがり,という印象を受けた.そうでないと生き残れない文化圏なのかもしれない.そうだとすると,ちょっと私には合わないな.