2月 022008
 

ビジョナリー・ピープル
ジェリー・ポラス,スチュワート・エメリー,マーク・トンプソン,英治出版,2007

表紙をめくると,こう書いてある.

ただ前を向いて,自分の道を歩いてきた.人が何を言おうとも,どんなに歩きづらくとも,自分はこの道をすすむ.なぜなら,そこに意義があるから.

そうして,新しい時代を切り拓き,世界に衝撃を与え続ける人々.そんな彼らを「ビジョナリー・ピープル」と呼ぶ.

本書は,「ビジョナリー・カンパニー」の著者らが,政財界,宗教,芸術など様々な分野のビジョナリー・ピープルにインタビューを行い,成功し続ける人達の条件を明らかにしようとするものだ.

著者は,ビジョナリー・ピープルの本質的な三要素として,次の3つを挙げている.

  • 意義
  • 思考スタイル
  • 行動スタイル

そして,これらの調和,すなわち,自分にとっての生き甲斐とは何か,ということを強く意識し,自らの考えと行動を一致させて自分なりの意義の定義を定着させることが大切だと述べている.

本書に散りばめられたビジョナリー・ピープルの言葉には大いに刺激を受ける.非常に示唆に富む内容で,自分の生き方を見つめ直すきっかけを与えてくれる書籍だ.

以下,本書にある言葉のいくつかを紹介しよう.

永続的な成功をものにできるのは,自分が完璧な人間であったり幸運に恵まれた人間だからではなく,自分自身の生き甲斐だと信じることに取り組む勇気を忘れないからなのだ.

永続的な成功をおさめている人達がみな絶えず取り組んでいることが一つあるとすれば,つまり,彼らが共通に持っている価値観があるとすれば,それは,自分の生き甲斐に対する誠実さだ.

周りの人達によって価値があると評価されても,されなくても,人生のある時点で彼らは夢をよきにつけ悪しきにつけ,大切にしようとする.永続する成功への道はこれ以外にない.

いつまでも続くような成功に気がついた人達は,あくまでも自分の目標を追い求める.なぜなら,そうした目標は,世の中に評価されなくても,また認知されなくても,自分にとって大切なものだからだ.ほとんどの人達は,これとは反対の生き方をする.つまり,自分にとって大切なことではなく,評判や認知の方が必要なのだと考えて,ものごとに取り組んでいる.

永続的な成功をおさめている人達は,周りの人達に対する奉仕に必死に取り組むことが,そっくりそのまま自分自身のためになるということを自覚している.

チャンスは専門的知識があるから生まれるのであって,単に幸運や才能,情熱があるから生まれるのではない.

ビジョナリーな人は失敗を糧にして成長する.彼らは自分の思考作業を現実に起こったことの理解に向けることによって,先々の破綻を恐れることなく,一層速いスピードで前進できる.確かに,彼らはそのエネルギーの大半をその情熱と強みに集中して使う.しかし,自分のミスを見逃すことによって,そのミスを無駄にしてしまうような真似はしない.自分自身のあらゆる経験,つまりよい経験,悪い経験そして無様な経験など,どんな経験も自分のために活かすのだ.

ビジョナリーな人は成功にしても失敗にしても,両方共にフィードバックだと考えている.どちらに対しても,完全な勝利,完全な敗北と決めつけない.それぞれに,ある種の恵みと警鐘とがあるのだ.・・・成功とは周りの人達から称号として与えられた褒美であり,あるいは,失敗とは価値のない存在だとして同じく周りの人から下された死刑判決だ.ビジョナリーな人はその内容を自分自身のために活かそうとする.問題は,今買ったか負けたかではなく,そのフィードバックを武器にこれから先何をするのか,ということなのだ.

ビジョナリーな人の圧倒的多数は,自分の成功は思いがけない幸運の道のりだった,その願ってもない幸運はたいてい,自分からつかみ取ったもので,それには大変な犠牲を払っている,と言う.それができたのは,自分にとって意義のある仕事に専念し,どこまでも深く入り込んで,関係のありそうな手掛かりを発見しようとしたからだ.彼らは大きな目標を立て,目の前の仕事に身も心も捧げている.

大切なこと,それは意義だ.意義はあらゆるものの原動力になっている.ビジョナリーな人は自分の意識の照準を自分の生き甲斐に合わせ,その生き甲斐について多くのことを把握している.彼らは自分の生き甲斐についての,つまり様々な顔を持つ情熱についての専門家だ.

もしいつまでも続く成功を望むなら,そのためには,自分にとって生き甲斐のある人生を紡ぐことだ.

本書は,「意義」に始まり,「意義」に終わる.富や名声を手に入れるということではなく,本書で言う意味において成功するためには,自分が全力で取り組むべき価値があると信じることができる対象を見付ける必要がある.それに意義を見いだせなくてはならない.これが第一歩だ.

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