2月 252008
 

図説 エジプトの「死者の書」
村治笙子,片岸直美,仁田三夫,河出書房新社,2002

「死者の書」とは,古代エジプト人が葬式や埋葬のときに読経し,墓に副葬した,呪文や祈祷文が書かれたパピルスの巻物だ.来世を信じていたエジプト人が,死者が死後も神々に守られ,永遠に生き,自分達を見守ってくれるようにとの願いを込めて,死者の遺体の近くに置いた.死者の書は,物の形を象ったヒエログリフ(聖刻文字)で書かれている.

死者の書は,ピラミッドの内壁に刻まれた「ピラミッド・テキスト」(第5王朝,紀元前2400年頃以降)や棺に書かれた「棺柩文(コフィン・テキスト)」(中王国,紀元前2100年頃以降)といった葬祭文書の流れを受け継ぐもので,第2中間期末(紀元前1580年頃)から,ツタンカーメンやラメセスがファラオとして君臨した新王国時代,末期王朝時代を経て,クレオパトラ7世によるエジプト復興が失敗し,プトレマイオス朝が終焉する紀元前30年を過ぎた頃まで使われ続けた.

死者は,冥界の王であるオシリス神を裁判長として,42柱の神々が列席する裁判において,自ら生前の潔白を証明しなければならない.もし神々に否定されると,死者は,その心臓を怪物に喰われ,二度目の死を運命づけられる.それは,来世での生の否定,永遠の苦を意味した.一方,身の潔白が証明されれば,晴れて死者の国の一員となり,「イアルの野」または「ヘテプの野」と呼ばれる死後の楽園に入ることができる.死者の書に書かれた呪文は,無事に楽園に至るために必要なものである.

本書は,多くの写真を用いて,死者の書についての解説したものである.かねてより,エジプトを訪問し,ピラミッドや神殿を見てみたいと願っているので,予備知識を仕入れるために本書を読んでみた.

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