6月 022008
 

ベイズ統計学入門
渡部洋,福村出版,1999

ベイジアンの勉強をしようと思い立ち,入門書を探したところ,この「ベイズ統計学入門」が良さそうに見えたので読んでみた.本書の「はじめに」には,次のように書かれている.

本書はベイズ統計学,そのなかでもとくに推測理論に関する部分のための入門書として書かれたものである.(中略)高度な理論への第一歩としての入門書と,本当の初心者向けのやさしい解説書としての入門書というものがある.本書は,後者のやさしい入門書として書いたつもりである.(中略)本書をとにかく読み通していただければ,どのように複雑高度なモデルであろうとも,モデルを立てデータを集めれば,あとはベイズの定理にそのデータを組み入れるだけでよいということがおわかりいただけるものと思う.

関西国際空港からパリのシャルルドゴール空港に向かう機内で全部読んだが,確かに,「モデルを立てデータを集めれば,あとはベイズの定理にそのデータを組み入れるだけでよい」ことは理解できた.そういう意味で,著者の目的は達せられていると思う.ただ,「やさしい入門書」とは言い切れないようにも思う.前半においては,ベイズの定理や確率・統計の基礎が丁寧に説明されているので,まさに初心者向きの入門書と言えよう.しかし,ベイズ推測の本論に入ると,どんどん加速してゆく.丁寧に説明しようという意図は伝わってくるのだが,それでも,当然のように話が進んでいくところで,その展開についていけない部分がいくつかあった.もちろん,ザッと一通り目を通しただけで全てを理解しようというのが無茶なのだろうが...

例題が多く盛り込まれているところも本書の優れた点だろう.式だけ並べられても,やはり実感が湧かないというのが正直なところだ.特に初心者なら尚更だ.そういう意味で,具体的な例題は理解を助けてくれている.しかし,その例題についても,後半は飛ばし気味だ.「えっ,そこで終わり!?」と感じる箇所がいくつかあった.特に,実験計画法や回帰分析にベイズ推測を用いている最終部分において,ベイズ推測ではこうなりますという計算は示されるのだが,その結果が他の方法とどれほど違うのか,どれほど優れているのか,がよくわからなかった.頁数の制約など色々と事情があるのだと推察するが,消化不良気味だ.

一初心者の私が気になった点を指摘したが,総じてよく書けている入門書だと思う.これからベイズ統計学を勉強するなら,この本を候補の1つとして間違いないだろう.ただし,ベルヌーイ分布と正規分布に関するベイズ推測を説明する中で,これでもかというほど,次々と○○分布というのが登場し,確率密度関数,尤度,事前・事後分布などの式が現れる.数式アレルギーの人は気絶するかもしれない.覚悟して取り組む必要がある.

  One Response to “ベイズ統計学入門”

  1. [...] Chase Your Dream ! ? ベイズ統計学入門 [...]

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