6月 022008
 

行動経済学 経済は「感情」で動いている
友野典男,光文社,2006

本書を読んで痛感したのは,私はまるで確率(特にベイズルール,事前確率とか事後確率とかだと思う)を理解していないということだ.「だと思う」と書いたのは,本当に理解していないので,自分が何をわかっていないのかすらわかっていないからだ.最悪だ...

とにかく,本書に登場する問題を見てみよう.ただし,問題は簡略化してある.

問題1(モンティ・ホール・ジレンマ)

ドアが3つあり,1つは「あたり」,他の2つは「はずれ」だとする.あなたは,A,B,Cの3つのドアからAを選んだが,まだ開けていない.すると,答えを知っている出題者がCのドアを開けた.もちろん,それは「はずれ」だ.ここで出題者があなたに尋ねた.「Aでいいですか?」

このとき,Aのままにすべきか,それともBにすべきか.

問題2

隣家には子供が2人いるのだが,あなたはその性別を知らない.次の3つの場合について,もう1人も女の子である確率はいくらか.

  1. 隣家の奥さんに「女の子はいますか」と聞いたところ,答えは「はい」であった.
  2. 隣家の奥さんに「上の子は女の子ですか」と聞いたところ,答えは「はい」であった.
  3. 隣家の奥さんが女の子を1人連れているのを見た.

問題3(代表性のワナ)

4面が緑,2面が赤のサイコロがある.このサイコロを何回か振ったとき,次の3系列のうち,どれが最も生じやすいか.

  1. 緑赤緑緑緑
  2. 赤緑赤緑緑緑
  3. 赤緑緑緑緑緑

問題4(アジアの病気問題;フレーミング効果)

600人が死ぬと予想されるアジアの病気を撲滅するため,2つのプログラムが考案された.どちらのプログラムを選ぶか.問Aと問Bにそれぞれ答える.

問A

  1. 200人は助かる.
  2. 確率1/3で600人助かり,確率2/3で誰も助からない.

問B

  1. 400人死ぬ.
  2. 確率1/3で誰も死なず,確率2/3で600人死ぬ.

これらの他にも多くの問題が紹介されているのだが,私の解答は惨憺たるものだった.ただし,確率に関する問題に対して散々な結果だったものの,論理に関する問題や,他人の行動を推量して判断する問題はクリアした.

さて,このような問題に瞬時に解答し,しかも全問正答するような人がどれほどいるだろうか.そんな人間離れした超合理的人間は「経済人」(ホモ・エコノミカス)と呼ばれるが,実は,これこそが標準的な経済学が前提としている人間像だ.我々はみんな完璧に合理的で個人的利益を徹底追求し,間違いを犯すことは勿論,感情で判断や行動が鈍ることなど決してない.この前提の下に,経済学は構築され,政策決定などに利用されている.全く恐ろしい話だ...

そのような経済学に反旗を翻し,人間は必ずしも完璧ではなく,その判断や行動は感情に大きく左右されることを認めようとするのが「行動経済学」だ.本書は,これまでの数多くの研究成果を紹介しつつ,行動経済学の必要性を説く入門書だ.行動経済学では,心理学が重要な役割を担う.

非常に面白い本だった.経済学に興味がない人も読んでみる価値があると思う.自分も含めて,人間の判断がどれほど好い加減かを思い知らせてくれる.情報操作に対する防御能力も高まるかもしれない.

さて,紹介した問題の解答だが,別に書くとしよう.まずは,自力で答えて欲しい.

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