6月 192008
 

体にいちばん快適な家づくり―高断熱・高気密の常識のウソ
岡本康男,講談社,2004

著者が主張するのは,家を高気密・高断熱にし,全室24時間暖房を実施することによって,「いつもいい季節がある家」,つまり快適な家を実現できるということだ.「全室24時間暖房」と聞くと,エアコンやファンヒーター,床暖房を付けたり消したりする生活が当然と思っている我々は違和感を抱くが,快適な生活には必要な条件らしい.1999年に告示された「次世代省エネルギー基準」には,市町村単位で住宅の断熱仕様が事細かに規定されている.これは,その地域の寒さに応じて,壁,天井,床などに用いる断熱材の熱抵抗値Rの下限を示したもので,建築主の判断基準とされている.本書では,これから日本の住宅が全室24時間暖房を行う本物の快適な家に移行することを前提に,その最低ラインとして示されたのが次世代省エネルギー基準であるとする.気密性も断熱性も低い,隙間風だらけの従来の日本住宅では,熱損失が大きすぎて,全室24時間暖房は実現できない.仮に実現したとしても,消費エネルギーが莫大になり,環境負荷が高すぎる.そこで,消費エネルギーを抑えながら全室24時間暖房を実現するための基準が示されたというわけだ.それでも,当然,消費エネルギーは増える.本書によると,国際的な比較から,暖房費は約3倍になると試算している.だが,「いつもいい季節がある家」はそれだけの価値があるということだ.

断熱というと,内断熱・外断熱という話になるが,実はそれは重要ではない.壁,床,屋根(天井),窓のそれぞれについて,適切な断熱材を適切な量だけ適切に使用することが大切である.だからこそ,正しい知識を身に付ける必要がある.家を高気密・高断熱にすることによって,開放的な間取りが可能となり,家の内部で温度差がなくなり,柱を腐らせるなどの原因となる結露,アレルギーの原因となるダニやカビを防ぐことができる.さらに,常時強制換気を行うことによって,空気の質も良好な状態に保つことができる.つまり,高気密・高断熱,強制換気,全室24時間暖冷房をまとめて実施することにより,快適な住環境が実現できるということだ.

加えて,本書では,環境保全を意識して,エネルギー源として太陽光の利用を推奨している.ソーラーハウスにするかどうかは別としても,住宅の断熱について詳しく書かれているため,本書は大いに参考になるだろう.これから建築する家であれば,良い断熱にするべきだろうから.

目次

  • 快適な家づくりのための断熱
  • 全室24時間暖房のすすめ
  • ダニ・カビ・結露を防ぐ
  • 環境に配慮しつつ生きる
  • ソーラーハウスの成功と失敗
  • ここが知りたいQ&A

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