6月 212008
 

成長の限界―ローマ・クラブ「人類の危機」レポート
D.H.メドウズ,D.L.メドウズ,J.ラーンダズ,W.W.ベアランズ三世,ダイヤモンド社,1972

ローマ・クラブの「成長の限界」について聞いたことがない人,この報告書に掲載されている,西暦2100年を前に世界人口が急減することを示すグラフを見たことがない人は恐らくいないだろう.そうは言うものの,これまで私もこの報告書「成長の限界」を読んだことはなかった.ところが先日,図書館で目にとまったので,読むことにした.読むべきタイミングなのだろう.

本報告書は,人類が無為無策に傍若無人な振る舞いを地球上で続けるなら,100年もしないうちに,資源不足,環境汚染,食糧不足などを原因として,危機的状況に陥ると警告している.この警告が出されたのが1972年.それから30年以上が経ち,まさに警告通りの道を人類は歩んでいるのではないかという危機感を持つ.それと同時に,ローマ・クラブの先見の明に敬服する.

「成長の限界」において強調されているのは,幾何級数的成長という概念だ.この幾何級数的成長によって想像以上に早く人類社会の成長の限界が訪れる.その反論として,技術の進歩が問題を解決してくれるという楽観論がありうる.しかし,この報告書では,この技術的楽観主義を厳しく誡めている.革新的技術によって,資源不足,環境汚染,食糧不足などに対策が示されたとしても,問題の本質である幾何級数的成長を抑制しない限り,成長の限界は訪れる.技術革新はたかだか数十年の時間稼ぎにしかならないと.

これらの主張は,どのようにして導かれたのだろうか.この点には非常に興味をそそられるが,実は定量的なモデルに基づくシミュレーションが利用されている.世界モデルと呼ばれるこのモデルには,様々な因子・現象の間の因果関係とダイナミクス(時間的な遅れ)が考慮されている.もちろん,大胆な仮定の下での非常に荒いモデルではあるが,モデルの使用目的が明確に意識しされており,複雑に関連し合ったポジティブ・フィードバックとネガティブ・フィードバックの影響がきちんと検討されており,まさに,大規模かつ複雑な問題へのシステムズ・アプローチのお手本である.

近年,環境,エネルギー,資源,食料などの問題が深刻化しており,それに取り組む研究も多数あるが,この「成長の限界」をまとめるに至ったプロジェクトのように卓越した視点と手法によるものが,どれ程あるのだろうか.

様々な観点から,一読しておくべき報告書だと思う.

目次

  • 序論
  • 幾何級数的成長の性質
  • 幾何級数的成長の限界
  • 世界システムにおける成長
  • 技術と成長の限界
  • 均衡状態の世界
  • ローマ・クラブの見解

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