超長期予測老いるアジア―変貌する世界人口・経済地図
小峰隆夫(編),日本経済研究センター(編),日本経済新聞出版社,2007
当然ながら,将来の予測は難しい.とりわけ,数十年後の経済や社会についての予測は不確定要素が多すぎて困難であり,意識的か無意識的かは別として,嘘をつくのは容易である.本書は,そのような困難を認識した上で,比較的精度良く予測できる人口を軸として,アジアを中心とした2050年までの世界経済を展望している.
その展望の主要な結果は以下のようなものである.
- 大きく変化する世界人口地図
- 続々と高齢化する世界
- 存在感を増す中国とインド
- 1人当たり所得では先進国の優位変わらず
- 変貌著しいアジア
これらの展望に基づいて,下記3点の我々の常識が誤りであると結論づけている.
- 世界の中で日本において特に少子高齢化が進み,日本がその経済的・社会的影響を最も強く受ける
- アジア経済は世界における成長センターだ
- 日本は世界第二の経済大国だ
つまり,日本だけでなく,ASEANを含むアジアの比較的発展した国々では急速に少子高齢化が進み,経済の成長が抑えられる恐れがあるということだ.
少子高齢化と経済成長との関連性を考える際に,本書では,人口ボーナスと人口オーナスという概念を重視している.人口ボーナスとは,経済発展→所得向上→人口増加→少子化→勤労者割合増加によって,経済成長が容易になる現象である.しかし,その状態は長続きしない.少子化の結果,勤労者高齢化→勤労者割合増加と進み,経済は停滞してしまう.これが人口オーナスである.現在の日本は人口オーナス下にあり,経済成長は難しい状態にある.ところが,日本を除くアジア諸国も,既に人口ボーナスの時代を終えつつあり,間もなく人口オーナスの時代に突入する.
さて,この警鐘に対して,日本をはじめとするアジア諸国はどのような対応をするであろうか.少子化を抑止,反転させるという発想もあるが,それは人類の持続可能性を脅かすものではないだろうか.では,解はどこにあるのか.実際のところ,よくわからない.しかし,考える必要はある.
目次
- 2050年への展望と覆される三つの常識
- 経済が変える人口と人口が変える経済
- 世界人口のいま
- 急速に進むアジアの少子高齢化
- 人口オーナス下のアジア
- 人口減少の先行組vs.後発組
- どうなる日本の将来
- 人口大国の台頭
- 未来のためのコストを担う

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