8月 172008
 

200年住める木造住宅のつくり方―低価格でも、長もちする良い家は手に入る
金城一守,ダイヤモンド社,2008

近年,これまでの酷い建売住宅の実態を猛省し,良い家を建てるにはどうしたらよいかに着目した書籍が数多く出版されるようになってきた.どこにでも書かれているのは,欧米の住宅と比較して,あまりにも寿命の短い日本の住宅は問題であるという指摘だ.このような傾向は歓迎して良いと思う.

本書の著者は,ゼロ・コーポレーションという京都の不動産会社の社長である.毎週土曜日に折り込みチラシが入っている.従来の日本の住宅の寿命が30年程度しかないのに対して,この社長は「200年」を掲げている.しかも,そのために特に費用がかかることはないと断言している.重要なのは,適切な施工であり,特殊な材料や工法を使うから寿命が延びるというわけではないという指摘だ.実際,この会社は低価格で有名だ.本書には,安かろう悪かろうという批判に答えるために,低価格にできる理由も書かれている.

京都の市街地(碁盤の目の内部)では,適法な住宅は希である.もちろん,建築基準法を満たしていないと建築することができないので,建築基準法は満たすことになっている.また,京都の景観を守るための条例があるため,住宅の外観は極めて厳しく制限されている.例えば,洋風建築なんて論外である.しかし,民法は守られないのが通常だ.守られない民法の規定とは,隣接する敷地との境界線から住宅を離しておかないとならない距離に関するものだ.民法にはこの距離が60cmと規定されているらしいのだが,京都の住宅はそんなに隙間を空けずに建てられることが多い.「鰻の寝床」と称される間口が狭い京都の住宅では,広い隙間を確保することが困難なためである.住宅の外観には無茶苦茶五月蠅い京都市の担当部署も,この民法の規定については何も言わないらしい.話が逸れたが,本書では,そういう街中建築の現実を直視して,相応しい建材や工法を選択しなければならないと強調している.例えば,隣家と密接していれば,足場を用意して外壁を修繕することなど不可能なのだから,家屋の内部から外壁を修繕できるようにしておかなければならない.といった具合だ.

さらに,自宅を建てるに際しては様々な要望があるだろうが,バランスが重要だとも強調している.外断熱原理主義に陥るなと再三書かれていた.

目次

  • 木造住宅の本当の寿命
  • 200年住むための「軸組み」
  • 200年木造住宅を支える建材と工法
  • 良質な施工業者の条件
  • 低価格と高品質を両立させる家づくり

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