11月 082008
 

近年,といっても,もう随分昔からになるが,様々な産業プロセスを対象に,品質や歩留りを改善するという取り組みを研究の中心に据えている.大変幸運なことに,多くの企業の方々から声をかけていただき,産学連携共同研究も実施している.

品質や歩留りを改善するためには,対象プロセスをよく知る必要がある.そのために,現象を突き詰めて,精密な物理モデルの構築を試みるというアプローチがある.一方,実験を実施してデータを取得し,その解析結果から改善策を導くというアプローチもある.その典型が,品質工学あるいは田口メソッドと呼ばれるものだ.実験計画法を駆使し,効率的な実験計画を立てることで,最少の労力で最大の成果を得ようとする方法と言える.

私が手掛けている研究もデータを活用するのだが,いわゆる品質工学とはアプローチが異なる.大胆に簡潔に述べると,今ある操業データを用いて,できる限りのことをしようという発想だ.当然,目的に応じて技術を使い分ける.製品品質推定のためのソフトセンサー(バーチャルセンサー)であったり,異常検出&診断のための多変量統計的プロセス管理(MSPC)であったり,その他色々で,基本的には多変量解析を活用する.

ワイ・ディ・シーという,横河電機とオラクルの資本が入った会社が,YDC SONARというデータウェアハウス&解析ソフトを開発・販売している.本日,そのユーザミーティングであるSONAR研究会が品川で開催され,講演90分+質疑応答15分の特別講演をさせていただいた.これまでのところ,SONARの主なユーザは半導体・液晶産業だが,自動車や鉄鋼など,徐々にユーザを開拓しているとのことで,様々な産業界からの参加者がおられた.

今回の研究会のキーワードは品質であるが,品質に関わる問題は,あらゆる製造業が抱えている.半導体,液晶,鉄鋼,製薬,化学等々,製品は全く異なるし,製造設備も全く異なる.しかし,データ解析を活用して品質・歩留りを向上させるという観点から眺めると,実は,課題と解決策は共通している.いや,同一だと言ってもいいだろう.このため,異業種の交流は非常に有意義だと思っている.そういう意味で,SONAR研究会というのも,1つの異業種交流の場であり,その役割を果たしていくならば,非常に有望だと感じた.

最後に,ワイ・ディ・シーの皆様には講演の機会を与えていただき,SONAR研究会に参加された皆様には講演を聴いていただき,ありがとうございました.

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