12月 042008
 

技術経営入門 改訂版
藤末健三,日経BP社,2004

タイトルの通り,技術経営(MOT)の入門書.見開き2頁で1項目を解説している.わかりやすく書かれているので,これから技術経営(MOT)を勉強しようとする者が,その全体像を捉え,この分野のキーワードに馴染むのに適している.もちろん,広く浅くを徹底した入門書であるため,これを読んだからと言って,何か分析が1つでもできるようになるわけではない.

他の書籍を読んでからでないと最終的な評価は下せないが,初めに読む本としては非常に良いと思われる.改善すべき点を指摘しておくと,参考文献の紹介が不親切であること,文章が推敲できていないこと,が挙げられる.

目次

  • 経済・社会の変化と技術革新
  • 技術展開論・技術予測論
  • 経営戦略と技術戦略
  • 技術獲得戦略
  • 研究開発の組織戦略
  • 研究開発管理論
  • 製造現場の管理論

講義するという視点で

技術経営(MOT)を勉強するぞ!」で宣言し,最初に読んだのが,この「技術経営入門 改訂版」だ.読みやすく,未知のキーワードも多数あったため,非常に良い選択だった.

技術経営(MOT)については,テキストに書かれていることを学生に伝言ゲームのように伝えても,彼らが得るものは少ないだろうなと思う.というのも,一部の学生を除いては,経営や経済,戦略の重要性を痛感していないため,文字通り聞き流すだけで終わるだろうからだ.私の場合,勉強する動機は明確で,自分自身の研究の評価や戦略立案(企業との共同研究を含む),研究グループのマネジメントに活用すると決めているので,比較的身に付きやすい.そういう意味では,いかに学生に身近に感じさせるかが鍵であり,修士課程の学生であれば,少なくともこれから2年間,修士論文の完成に向けて研究に邁進するわけであるから,これから取りかかろうとする研究を客観的に評価するような演習をしてみるのが良いかもしれない.例えば,イノベーション・ライフサイクルのどこに位置している研究か,1人の研究者としてのコアテクノロジーを何にするつもりか,自分が獲得している知識・技術のポートフォリオを描く,技術ロードマップを描く,SWOT分析を行う,などは取り上げてみる価値があるかもしれない.