1月 192009
 

源氏物語 (上)
瀬戸内寂聴,講談社,1992

源氏物語千年紀」のこの機会に,日本を代表する古典文学を読んでおくことにした.紫式部が源氏物語をいつ書き始めて,いつ書き終えたかは定かでないが,西暦1008年11月1日に書かれた紫式部日記には,源氏物語に関する記述があり,その年には既に源氏物語が読まれていたそうだ.その時点から昨年2008年でちょうど千年ということになる.

読もうと思い立ったときには,最も高い評価を受けている与謝野晶子の全訳を読もうと思ったのだが,図書館で手にしてみると,本のあまりの分厚さに気後れしてしまい,「まあ,恋愛小説なんだから,とりあえず,粗筋だけ掴めればいいや.もし面白かったら,改めて全訳を読むことにしよう.」と思い,瀬戸内寂聴による簡略版を読むことにした.講談社の少年少女古典文学館というシリーズで,字が大きく,振り仮名が振られてあり,注釈の他,登場人物関係図や地図などの資料がある.いい歳をした大人が読むシリーズではないが,日本人でありながら一度も読んだことがないというのは恥であり,それよりはましだと自分に言い聞かせた.また,登場人物関係図は必須である.横溝正史の金田一耕助シリーズのようなもので,読んでいると誰が誰だか分からなくなってくるので,時折,登場人物関係図で頭を整理する必要がある.さらに,本書の特徴を挙げるとすれば,天野喜孝による挿絵になるだろうか.まあ,これはどうでも良いことだが.


源氏物語というと,貴族社会を舞台にした,光源氏を主人公とする華やかな恋愛小説というイメージしかなかったのだが,実際に読んでみると,その通りだった.平安時代の貴族社会が一夫多妻制だったということもあり,純愛というよりは,不倫も盛り沢山の恋愛小説だ.次から次へと女性が登場し,しかも世間が狭い.皇族も含めて,みんな親戚じゃないかという感じ.一方で,平安時代,貴族社会の風習などが非常に興味深く,また舞台(京の都)に親近感が湧く.六条院,二条院,北山,嵯峨,あるいは須磨,明石など,位置関係がすぐにイメージできるのも楽しい.

もし,まだ読んでいないのであれば,古典文学などと肩肘を張る必要は全くないので,気軽に読んでみたらどうだろう.その面白さに,はまるかもしれない.

まだ読んでいない人も,既に読んだ人も,「源氏物語千年紀」のウェブサイトに様々なコンテンツが用意されているので,一度見てみると良いだろう.「源氏物語の世界ショートストーリー」,「登場人物プロフィール&相関図」,「源氏物語をめぐる人々」など読み応えのあるものから,「歩く源氏物語」という観光モデルコース案内,さらには「登場人物人気投票」まで多彩だ.

目次

  • 桐壺
  • 空蝉
  • 夕顔
  • 若紫
  • 末摘花
  • 紅葉の賀
  • 花の宴
  • 賢木
  • 須磨
  • 明石
  • 澪標
  • 蓬生
  • 松風
  • 少女
  • 玉鬘
  • 初音

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