2月 122009
 

「自動車の社会的費用」(宇沢弘文,岩波書店,1974)において,社会的共通資本という概念が重要な役割を果たしている.この社会的共通資本という考え方が生まれた背景が,「日本の教育を考える」(宇沢弘文,岩波書店,1998)に書かれていたのでメモしておく.

水俣病を始めとして,全国の公害問題にかかわることによって,私は,それまで専門としていた近代経済学の理論的枠組みの理論的矛盾,倫理的欠陥をつよく感ずるようになっていきました.そして,水俣病を始めとする数多くの公害問題の原因を解明し,その人間的被害の実態を分析し,その根源的解決の途を探ることができるような理論的枠組みとして,社会的共通資本の考え方に到達したのでした.

社会的共通資本の重要な構成要因である医療,教育,公害,地球環境などの問題はいずれも,これから二十一世紀にかけて,私たちが直面するもっとも重要な問題です.しかし,これまでの経済学の理論的な枠組みのなかでは必ずしも満足しうる考察,分析ができませんでした.社会的共通資本という新しい概念を導入することによって,医療,教育,公害,地球環境などの問題を経済学的に分析することが可能になり,また,その制度的,政策的意味を明確にすることが可能になります.

アメリカ万歳みたいな,金儲けにしか興味がないような経済学者とは一線を画しており,市民生活に深く根差した活動から,社会的共通資本という考え方が生まれてきたことがわかる.

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