大学教育効果の実証分析―ある国立大学卒業生たちのその後
松繁寿和(編著),日本評論社,2004

ある有名国立大学(大阪大学?)の卒業生を対象としたアンケート調査に基づいて,大学教育が就業に与える影響について実証的に分析した結果をまとめたのが本書である.とにかく,教育というものは,国家の根幹をなす重大事でありながら,ろくに評価も検証もされない場当たり的な政策によって大きく歪められるという特徴を持つ.このため,本書のような試みは評価したい.しかし,この分野の研究者か学生でもなければ,本書から得られるものは,あまり多くはないのではないかと思う.幸い,「はじめに」において,約5頁を割いて本書の要約が記載されている.とりあえずは,ここを読めばよいだろう.

本書では,所属学部,学業成績,サークル活動などが,就職活動,賃金,キャリアなどに与える影響を分析している.しかし,それらは「大学教育効果」だろうか.私は,「(大学教育効果)=(卒業時の能力)−(入学時の能力)」として評価されるべきであると考えている.例えば,東京大学や京都大学を卒業した学生が優秀だということは,それらの大学での教育が奏功していることを意味しない.元々,優秀な学生が入学しているのだから,卒業時にバカでは拙いのは当然だろう.優秀な学生をさらにどれだけ成長させられたかが問われるべきだ.

目次

  • 卒業生の所得とキャリアに関する学部間比較
  • 成績・クラブ活動と就職
  • 大卒者の成績が初任給に与える効果
  • 英語力と昇進・所得
  • 文学部女子の就業
  • 公務員および教員の男女間賃金格差
  • 理系大学院卒業生の賃金
  • 若年期の蓄積とキャリアの終盤
  • 役員の学歴とキャリアにおける専門性

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