2月 252009
 

ケース演習でわかる技術マネジメント
原田勉,日本経済新聞出版社,2007

先にコメントした「MBA戦略立案トレーニング」と同様,自分で問題を解いて,実際に使えるようにならないと,手法やツールを勉強しても無意味でしょというスタンスの書籍.約200頁の本だが,その半分はケース例題と演習問題に割かれており,ケース例題にはMOTスクール受講生の解答例が参考として掲載されている.

全体を通して,戦略とは経営資源の適切な配分であるという観点が強調されている.経営資源の事業への配分か,技術への配分かによって使用するツールが異なり,またそれら異なるレベルでの戦略,すなわち配分方針の整合性を確保することが重要であるとされる.本書は4章から構成されている.

第1章は,技術マネジメントの総論であり,技術マネジメントとは何か,技術やイノベーションはどのように分類できるのかについて書かれている.ケース例題は,トクヤマの多結晶シリコン製造設備増強を対象に,製品ポートフォリオマネジメント(PPM)マトリクスで分析を行うという内容である.

第2章は,製品・技術開発戦略についてであり,技術領域のコア技術,補完技術,周辺技術への分類に基づくコア・リンケージ,イノベーション・プロジェクトのブレイクスルー型,プラットフォーム型,派生型への分類に基づくAPPマトリクス,それを統合した要素技術マップについて書かれている.ケース例題は,テキサス・インスツルメンツの事業再生を対象に,PPMマトリクスや要素技術マップを活用して,その成功要因を分析するという内容である.

第3章は,イノベーション・プロジェクトのマネジメントについてであり,戦略を実行するために重要な視点として,リードユーザーを重視する情報収集ルートの構築,探索型と深耕型という組織学習パターンを軸としたプロジェクト戦略,そしてプロジェクト組織について書かれている.ケース例題は,コマツのコンカレント・エンジニアリングを対象に,その長所と短所を論じるという内容である.

第4章は,技術を市場で生かすための製品・技術戦略についてであり,製品と市場から技術を識別するための製品・技術マトリクス,技術に対する資源配分を決定するための技術ポートフォリオマネジメント(TPM),戦略と技術の統合をはかるためのPPMとTPMの比較,さらに技術ライフサイクルについて書かれている.ケース例題は,ソニーのデジタル一眼レフカメラ市場参入を対象に,その戦略を評価するという内容である.

ケース例題を読むと,各種ツールの利用方法や分析の進め方がわかるのだが,各章の講義内容と演習内容が一致しているのか疑問に感じた.それでも,参考になることは間違いない.

目次

第1章 技術マネジメントの全体像

  • 技術マネジメントの特徴
  • イノベーションに対する2つのアプローチ
  • 資源配分プロセスへの着目
  • 技術マネジメントの枠組み
  • イノベーション戦略とは
  • 技術・イノベーションの定義とその類型

第2章 製品・技術開発戦略−技術力を高める

  • イノベーション戦略の明確化:コア・リンゲージ
  • イノベーション・プロジェクトへの資源配分:APPマトリックス
  • コア・リンゲージと資源配分の統合:要素技術マップ
  • イノベーション・プロジェクトの組織デザイン

第3章 プロジェクト・マネジメント−戦略の実行

  • 新製品開発プロジェクトのマネジメント
  • 情報収集ルートの構築:リードユーザー・リサーチ
  • プロジェクト戦略の決定:探索型と深耕型
  • プロジェクト組織のデザイン:組織構造
  • プロジェクト組織のデザイン:コミュニケーション構造
  • プロジェクトの失敗と学習:失敗媒介型学習

第4章 製品・技術戦略−技術を市場で生かす

  • 戦略と技術の統合:製品・技術戦略
  • 製品・市場からの技術の識別:製品・技術マトリックス
  • 技術への資源配分:技術ポートフォリオ
  • 戦略と技術の整合性:PPMとTPM
  • 技術ライフサイクル

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