3月 172009
 

計測自動制御学会(SICE)プロセス制御専門家養成塾(SICEプロセス塾)が,3年間で100名のプロセス制御技術者を養成するという設立当初の目的を達成して,このたび終了した.プロセス制御に精通した産業界の重鎮が講師を務め,よくある1〜2日程度のセミナーとは一線を画する内容になっている.その充実した講師陣の末席に加えていただき,恐縮するばかりだ.プロセス制御分野での数十年にも及ぶ経験に裏付けられた話は説得力がある.加えて,その経歴の違いは,推奨する制御手法の違いにも現れる.講師の主張が対立することも別に珍しくない.聞く側にとっては,非常に刺激的だ.

受講生の方々には,是非,プロセス制御分野で成果をあげていただきたい.プロセス制御によって付加価値を生み出していただきたい.その実績によって,プロセス制御技術者の重要性が再認識されるだろう.そのためには,プロセス制御技術者が,さらなるスキルアップを目指して,ますます勉強する必要がある.SICEプロセス塾に参加した程度で満足していてはいけない.

絶えざるスキルアップを達成するために最も重要となるのは,自分の強みを把握することです.自分が何を得意とするのかを知り,磨きをかけていく―これこそ個人のイノベーションの要諦であり,成果を挙げ続けていくための唯一の方法です.

知識社会において成果を挙げ得る人間であり続けるためには,スキルを更新する教育を何度も何度も繰り返し受けることが必要となります.真の意味での「生涯教育」であり,つねに教育に立ち返るこの姿勢こそが,個人のイノベーションを促進してくれます.生涯にわたる継続的な学習が不可欠となった事実を受け入れ,つねに再教育を受ける心構えを持ち,それを自己責任であると認識すること―「いま何を捨て,何を選択し,自己を高めるために何を学ぶべきか」を絶えず問い続けなくてはならないこと―いま,すべての人が身をもって知るべき事実です.

「ドラッカーの遺言」(ピーター・F. ドラッカー,講談社,2006)

もちろん,誰もが忙しいのは承知の上だ.やらなければならないことは山積みで,それをこなすだけでも精一杯.その上さらに勉強など,とても,という気持ちもわかる.しかし,それを言い訳にしているうちは成果を出せないだろう.

組織で働く者の置かれている状況は,成果を上げることを要求されながら,成果を上げることが極めて困難になっている.まさに,自らが成果を上げられるよう意識して努力しない限り,周りをとりまく現実が彼らを無価値にする.彼ら自身ではコントロールできない4つの大きな現実が,仕事の成果を上げ,業績を上げることを妨げようと圧力を加えてくる.第一に,時間はすべて他人に取られる.身体の動きに対する制約を考えれば,組織の囚人と定義せざるを得ない.第二に,自ら現実の状況を変えるための行動を取らない限り,日常業務に追われ続ける.日常の仕事の流れに任せていては,いたずらに自らの知識と能力とを浪費し,達成できたはずの成果を捨てることになる.第三に,組織で働いているという現実がある.すなわち,他の者が彼の貢献を利用してくれるときにのみ,成果を上げることができるという現実である.第四に,組織の内なる世界にいるという現実がある.誰もが自らの属する組織の内部を最も身近で直接的な現実として見る.外の世界で何が起こっているかは直接的には知り得ない.しかし,組織の中に成果は存在せず,すべての成果は外の世界にある.

「プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ,成長するか」(ピーター・F. ドラッカー,ダイヤモンド社,2000)

そのような現実の中で,どのようにしたら成果をあげることができるのか.ドラッカーは,「経営者の条件」(P.F.ドラッカー,ダイヤモンド社,2006)において,成果をあげるために身につけておくべき習慣的な能力が五つあると言っている.

  1. 何に自分の時間がとられているかを知ること
  2. 外の世界に対する貢献に焦点を合わせること
  3. 強みを基盤にすること
  4. 優れた仕事が際立った成果をあげる領域に力を集中すること
  5. 成果をあげるよう意思決定を行うこと

実は,SICEプロセス塾の講師7名のうち5名が,日本学術振興会プロセスシステム工学第143委員会に設置されたワークショップNo.27「プロセス制御技術」のメンバーである.この産学連携組織は,およそ2年間で産業界で役立つ制御技術を成果として生み出すと宣言して活動しているが,SICEプロセス塾の講師も務めるメンバーの熱意,勉強する意欲は素晴らしいと感じる.一番若造の私が言うのは誠におこがましいのだが,本当に頭が下がる.この態度によって成果を出してこられたのだなと感じる.

チャンスは専門的知識があるから生まれるのであって,単に幸運や才能,情熱があるから生まれるのではない.

永続的な成功をものにできるのは,自分が完璧な人間であったり幸運に恵まれた人間だからではなく,自分自身の生き甲斐だと信じることに取り組む勇気を忘れないからなのだ.

「ビジョナリー・ピープル」(ジェリー・ポラス,スチュワート・エメリー,マーク・トンプソン,英治出版,2007)

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