5月 222009
 

研究・技術・自分のマネジメント

現在,化学工学特論第一という大学院生向けの講義を担当している.先日書いたとおり,そのテーマは「研究・技術・自分のマネジメント」だ.当初は,技術経営(MOT)にしようと考えていたのだが,熟慮の結果,技術のマネジメントだけでなく,大学院で取り組む研究,さらには将来に向けて自分自身を如何にマネジメントするかを対象とすることにした.講義の趣旨は配付資料にまとめ,このブログでも公開している.

論理的思考力を身に付けるためのケーススタディとして,ハイブリッドカーの是非について討論した後,マイ箸の是非,線形代数の基本などを講義で取り扱った.

特別講演を企画

学生が,視野を広げること,将来について真剣に考えること,大きな志を持つこと,社会的な責任を意識すること,社会への貢献を意識すること.このようなことが,担当講義「研究・技術・自分のマネジメント」で私がやりたいことだ.浅薄な知識なんてどうでもよい.

このような目的を達しようとすると,大学に引き籠もってしまっている私が講義するだけでは足りないと思える.そこで,学外から講師を招き,特別講演をお願いすることにした.学生向けの特別講演の案内に記した文章を示しておこう.

化学工学特論第一「研究・技術・自分のマネジメント」において,予告通り,特別講演を開催します.このために私が選んだ講演者は2人です.

2人とも30歳以下で,学生諸君と比較的近い年齢ですが,日本を変えるだけの志と能力を持ち合わせています.肩書きなんかに頼らずにやっていける(実際にやってるから凄い)強者です.

年齢が近く,能力が高く,何より行動力が素晴らしいので,私なんかの話を聞くよりも,100倍,これから社会に出る学生諸君のためになると思い,講演を依頼しました.

化学工学特論第一を受講しているかどうかにかかわらず,参加してもらって結構です.4回生も含めて,誰でも歓迎します.今後しばらくは,このような機会を作らないと思いますので.

研究活動で得た能力は社会人になって役に立つのか?

昨日,5月21日に,一回目の特別講演を実施した.テーマは「研究活動で得た能力は社会人になって役に立つのか?」だ.

講師は木村義弘氏.現在は株式会社チェンジに在籍し,そのインド現地法人 Abacus Venture Solutions Pvt. Ltd. の事業展開を担って,6月からインドに在住するそうだ.彼とは,彼が大阪府立大学の学部3回生のときからの付き合いで,そのビジネスにかける想い,教育への情熱,そして行動力の一端を学生に伝えてもらおうと思い,講演を依頼した.

講演内容は以下の通り.まず,簡単な自己紹介の後,彼流のビジネスの意義・意味が示された.ビジネスの目的は「自律した社会貢献」であり,「儲」とは「信者」になってもらうことというものだ.ビジネスを行うには,自分の強みを知らなければならない.強みは,「Human Strength(人間としての基本的な本性に関する強み)」,「Formal Strength(専門知識や経験)」,「Informal Strength(遊びにおける強み)」の3つの観点から捉えられるという.ちなみに,彼の「Informal Strength(遊びにおける強み)」は焼肉らしい.この強みは誰かの役に立ってこそのものであるから,自分と強みを発信していく,つまりマーケティングしていく必要がある.学生にとって身近なところでは,就職活動がまさに自分マーケティングの場である.ベンチャー企業において新卒採用を担当(その仕組みを構築)した経験から,就職活動に向けた姿勢を紹介してもらった.さらに,大学院で学べることとして,問題設定能力,問題解決能力,コミュニケーション能力,マインドの4つが挙げられ,それぞれについての説明があった.

講演のまとめは以下の通り.

  • ビジネスは「貢献したい」という思いからスタートする.
  • 自分はどういった貢献ができるか,貢献をしたいかを考えることを通して,自分の強みを認識し,磨いていく.
  • ビジネスの世界に入る上で試されるのは,自分マーケティング力.自分を知り,相手(企業)を知り,どういう部分で相手に貢献できるかを考える.
  • 研究活動を通して得られる能力は,ビジネスの世界でも必ず役に立つ.

昼食会

特別講演終了後,木村君と一緒に食事をしながら話をしたいという学生を連れ,学内にあるフレンチレストランに行った.来客時に利用できるようなレストランは,キャンパス内およびキャンパス周辺に,そこしかない...

木村君と私についてきた学生は,色々と質問したりされたりしながら,志を持ち,ビジネスの世界で全力で頑張っている一青年の姿を間近に見て,感じるところがあったであろうと思う.そうであったなら,このような場を設定した私にとって本望というものだ.

さて,次回の特別講演は6月11日に予定している.こちらも熱い話を聞くことができるだろう.私自身,大いに楽しみにしている.