5月 292009
 

君主論
ニッコロ・マキアヴェッリ,講談社,2004

面白くない本だった.いや,まともなことを書いているとは思う.少なくとも,戦国時代の君主にとっては.パワーゲームが好きな人種にとっては有益かもしれないが,しかし,私には関係ないことが多い.さらに言わせてもらうなら,ニッコロ・マキアヴェッリの人間性が気に入らない.本書はロレンツォ・デ・メディチに献上されたものだが,その献辞には,以下のように書かれている.

殿下(ロレンツォ・デ・メディチ)がその高みから他日目を低地に向けられるならば,私が運命の女神のはなはだしい悪意を不当にも堪え忍んでいることにお気づきになられることでしょう.

自分の不遇を運命の女神の悪意だと言うのも気にくわないが,そればかりか,本論において次のようにも書いている

長年にわたって支配者の地位にあったイタリアの君主達はその地位を後に失ったからといって運命を責めるべきではなく,自らの無気力をこそ責めるべきである.

失敗した君主には「運命を責めるべきではない」と言い放ちながら,自分は「運命の女神のはなはだしい悪意を不当にも堪え忍んでいる」だって.それを引き寄せたのは自分だろと言いたい.そんな心根だから,コウモリのように,どちら側にも重んじられなかったのではないか.

君主はニッコロ・マキャベリの君主論に学び,臣はニッコロ・マキャベリを反面教師とする.そういうことだろう.

繰り返すが,本書にはまともなことも書かれている.だからこそ,政治学の名著とも言われるのだろう.以下に,君主論に書かれていることのいくつかを抜粋して示しておこう.

こうした領土を獲得し,それを維持してゆくためには次の二点に配慮すべきである.すなわち,第一に古い君主の血統を絶やし,第二に法や税制を変えないことであり,こうすればこの地方は極めて短期間のうちに旧来の領土と一体化することができる.

ある領土を得る場合,占領者は行う必要のあるすべての加害行為を検討し,それを毎日繰り返す必要がないよう一気に断行すべきであること,そしてそれを繰り返さないことによって人々を安心させ,人々に恩恵を施して人心を得ることができるようにすべきである.

君主は戦争と軍事組織,軍事訓練以外に目的を持ったり,これら以外の事柄に考慮を払ったり,なにか他の事柄を自らの技能としてはならない.それというのもこれのみが支配する人間に期待される唯一の技能であるからである.

自らの職務すべてにおいて良きことを実行しようとする人は,良からぬ人々の間にあって破滅することになるからである.それゆえ君主は自らの地位を維持しようとするならば良くない人間になりうることを学び,必要に応じてこのような行動をとったりとらなかったりする必要がある.

君主にとって必要なのは上に述べたような資質(信義を守ること)を有することではなく,それらを持っているように見えることである.さらに敢えて述べるならば,君主がこれらの資質を具え,それに従って行動するのは有害であるが,それを具えているように見えるのは有益である.

自らの領土内の賢人を選び,彼らに対してのみ自分に真実を述べる自由を与え,しかも彼自身が下問した事柄についてのみそれを許すべきである.(誰でもが真実を述べることが許されることになると,君主に対する尊敬が失われることになるから)

目次

マキアヴェッリの生涯と思想形成

  • ルネサンス期のイタリアとフィレンシェ
  • 生誕から初期官就任まで
  • フィレンツェ政庁書記官マキアヴェッリ
  • 隠棲と文筆活動
  • 晩年のマキアヴェッリ

君主論

  • 支配権の種類とその獲得方法
  • 世襲の君主権について
  • 複合的君主権について
  • アレクサンドロスによって征服されたダレイオス王国では、アレクサンドロスの死後、その後継者に対して反乱が生じなかったのは何故か
  • 占拠される以前、固有の法に従って統治されていた都市や君主国をどう支配すべきか
  • 自己の武力と能力とで獲得した新しい君主権について
  • 他人の武力または幸運によって得た君主権について
  • 極悪非道な手段によって君主となった場合について
  • 市民の支持によって得た君主権について
  • どのように全ての支配者の力を測定すべきか
  • 教会の支配権について
  • 軍隊の種類と傭兵について
  • 援軍と自己の軍隊とについて
  • 軍事に関する君主の義務について
  • 人間、特に君主が称讃され、非難される原因となる事柄について
  • 気前良さとけちについて
  • 残酷さと慈悲深さとについて、敬愛されるのと恐れられるのとではどちらがよいか
  • 君主は信義をどのように守るべきか
  • 軽蔑と憎悪とを避けるべきである
  • 砦やその他君主が日常的に行う事柄は有益かどうか
  • 尊敬を得るためにはどのように行動したらよいか
  • 君主の秘書官について
  • 追従を避けるにはどうしたらよいか
  • イタリアの君主達はどうして支配権を失ったのか
  • 人間世界に対して運命の持つ力とそれに対決する方法について
  • イタリアを蛮族から解放すべし
5月 292009
 

ゲストを連れて行くのに良い店を探した結果,昨日の夕食に,旅籠屋 ame du garson (ハコダテヤ アーム・デュ・ギャルソン)を選んだ.

元々は糸問屋だった京町屋を改装し,フレンチレストランにしている.純粋なフレンチではなく,日本の食材を活かしたフレンチで,仏和心料理というらしい.

今回のディナーコースでいただいたのは,キャビアを添えたサーモンのテリーヌ,中トロと真鯛の刺身,フォアグラと賀茂茄子,トリュフの泡々スープ,スズキと野生アスパラガス,口直しにベリーのデザート,フランス産子牛,ご飯とお漬け物,クリームブリュレとフルーツ,ケーキ,紅茶/コーヒー.

ディナー用コースとしては最も安い5000円のコースをお願いしたのだが,美味しく,お腹一杯になり,店の雰囲気やサービスも申し分なく,非常に良かった.また行きたいと思えるレストランだ.お薦め!

旅籠屋 ame du garson
(ハコダテヤ アーム・デュ・ギャルソン)

Tel: 075-213-3016

河原町御池を北へ.夷川通り東入ル一筋目上ル西側.