6月 272009
 

昨日,「大学生への質問@京都大学工学部工業化学科」と題して,私が担当する基礎情報処理演習の受講生に尋ねてみた質問を紹介した.いつも通り,演習の感想に対するコメントなどをメールで返信しようと思っていたのだが,これが最終回であるためか,気がつくと,原稿用紙10枚を軽く超えるようなメッセージになってしまっていた.そのため,メッセージをPDFファイルとして,すべての受講生に送信した.

メッセージの趣旨は,基礎情報処理演習とは何の関係もないことであり,また学科や学部はもちろん,大学生かどうかすら関係ないようなことなので,ここに全文を記載しておこう.本気モードで書いたメッセージであるため,これを読んで参考になったと感じてくれる人がいれば,このブログを更新している意味もあったと自分に言い聞かせられそうだ.

このメッセージを読む前に,「大学生への質問@京都大学工学部工業化学科」を読んでもらうとよいだろう.

なお,長文のため,ブラウザで読むのは辛いかもしれない.そこで,学生に送付したPDFファイルもそのままダウンロードできるようにしておこう.

学生へのメッセージ全文」 (PDF 190KB)

基礎情報処理演習を受講してくれた皆さんへ

縁あって,加納が担当する基礎情報処理演習を受講してくれた京都大学新入生の皆さん,約3ヶ月間ありがとうございました.これが最後のメッセージになります.

皆さんは,京都大学に入学できるほどの能力の持ち主ですから,将来,望むような職に就くこともできると思います.そういう意味では何の心配もしていません.その一方で,生き甲斐を見出せるような職,あるいは生き甲斐そのものを見出せないまま,これからの大学生活,さらには就職後の人生をも過ごすことになる危険性はあると感じています.そのような背景から生まれたのが,最後の講義でのアンケートと質問です.

クラーク博士の”Boys, be ambitious.”という言葉を知っている人は多いでしょう.でも,その後に,お金や名誉のためではなく,本来あるべき人間になるという大志を抱けと続くことを知る人は必ずしも多くないようです.

人間のあるべき姿,そして大志とは何でしょうか.将来の夢に,金持ちになることや出世することと書いてくれた学生が少なからずいましたが,それらは,ここでいう意味の大志ではなく,またそうなるのが人間のあるべき姿でもないように思います.それらは野望とは呼べても,大志と呼びたくなるようなものではありません.

人間のあるべき姿について考えてみるとき,人間と他の動物との違いを自覚することが役立ちそうです.人間である皆さんと禽獣との違いは何でしょうか.仲間うちでの意思疎通は動物もしていますから,言葉が本質的な違いではなさそうです.原始的ではあるものの,道具を使う動物もいますから,道具の利用も本質的な違いではなさそうです.

普通,人間は犬や猫になりたいとは思いません.大富豪の邸宅で何不自由なく暮らす犬や猫であってもです.何不自由ない生活は,人間的な生活を意味しないということです.

人間から見ると,この世界はなりたくないもので満ちています.そのような世界にあって,皆さんは人間として生を受けているわけです.この事実に,この幸運に感謝の念を感じるのは自然なことに思えます.ところが現実には,人間として生を受けたことを当然と思い,人間らしく生きようとしないヒトが多いわけです.

出世したいという欲望は,一介の雄ザルが抱くボスザルになりたいという欲望と大して変わらないでしょう.むしろ,サルの欲望の方が,種の存続という観点から必然的です.金持ちになるという欲望は,もはや目的と手段を混同している状態です.お金は手段であって,目的ではないでしょう.

出世することやお金持ちになることは全然悪いことではありません.それを望むことも何も悪いことではありません.その道で努力すれば,自然と出世もするし,収入も増えるでしょう.邪心を抱いたり悪行を働いたりするのはいけませんが,善く生きた結果として与えられる名誉や財産を拒む必要はありません.ましてや,人に与えられた名誉や財産を妬むことはよくありません.

人間と他の動物との違いについて考えてみるとき,例えば,社会に貢献しようなどということを禽獣が思うでしょうか.大いなる自然の体系の一要素として貢献することを生まれながらにして運命的に定められていますが,自発的にそのような生き方を選んでいるのではありません.善く生きようなどということを禽獣が思うでしょうか.思えないでしょう.だとすれば,そういうことが人間らしく生きることではないでしょうか.

自分の強みを活かせる分野で社会に貢献しよう.そういう大志を抱くことが,まさに人間のあるべき姿なのかもしれません.

私は,自分の強みを活かせる分野として,教育と研究を選びました.教育と研究を通して社会貢献することを決意しました.だから今,大学で教壇に立つとともに,社会に役立つ研究にも精力的に取り組んでいます.小中高等学校ではなく,研究所でもなく,大学にいるのは,教育と研究の双方を為すためです.そのような道を選べたこと,選んだ道を歩めることに対して大変感謝しています.そうなるには多くの方々の支援が必要でした.然るべき時に然るべき人に支えられて今があります.

自分の一生をかけて歩む道を定めたなら,自分の為すべきことを明らかにするために,そして実際に為すべきことを為せるようになるために,多くのことを学ばなければならないでしょう.これが勉強する理由であり,読書する理由です.

もちろん,個人的な楽しみのためにする読書もあるでしょう.しかし,読書は,したくないならしなくてもよいという類のものではありません.小さくとも社会に貢献しようと志すなら,そのための読書が必要になるでしょう.人間としていかに生きるべきかという問題を真剣に考えたならば,そういう結論に至らないでしょうか.いや,至らないのかもしれません.それでも,人間としていかに生きるべきかという問題を真剣に考えることには,それ自体に意味があると思います.

読書は単に知識を得るためにするのでもありません.知識が増えれば善く生きられるでしょうか.そうではなさそうです.心を充実させる必要があるように思います.肉体を充実させるために,私達は食事をします.運動もします.必要な食事を取らないと病気になってしまいます.では,人間の心はどうでしょうか.普段から,心の健康を促進するために,心を成長させるために,意識して良い栄養を取っていますか.心を働かせていますか.目に見えないために,心に栄養が必要であることを,ほとんど無視してしまっていないでしょうか.良書を読むことで心は養われます.流行の小説やハウツウ本ではありません.人間のあるべき姿を教えてくれる,そのような書物を読むことで心が養われます.偉人の伝記でも良いでしょう.人類史に残る古典・名著でも良いでしょう.手にとって興味を持てるものからで構いませんから,是非,読書をして下さい.

入学後の3ヶ月間に10冊以上本を読んだ人は1割いるかどうかでした.3冊(1冊/月)以下の人がほとんどで,0冊という人も多いようです.数が多ければよいというわけではありませんが,ジャンルはともかく全く読書をしないというのでは,心が痩せ衰え,活力を失っているのではないかと心配になります.一年間で目標50冊と書きながら,実績が0冊の人も複数いました.折角立てた目標ですから,是非実現して下さい.良書を50冊,いや10冊でも読めば,人生がこれまでとは違って見えてくると思います.騙されたと思ってでも何でも構いませんから,読書してみてはいかがですか.

ほとんどの人は,体育会やサークル,アルバイトを決めたようです.最初の講義で述べたとおり,色々な人と交わり,様々な経験をすることは大切だと思います.工業化学科の学生だけでなく,他学部,他大学の学生とも知り合い,さらに年代の異なる人達とも交わるとよいでしょう.そして,様々な経験をする中で,自分の強みを見付けて下さい.自分に与えられた能力を探して下さい.強みを見付けることができたなら,それを伸ばして,活かして下さい.生き甲斐のある人生を送るために,強みに集中して下さい.弱いところで頑張ろうなんて思わず,弱いところは助けてもらえばよいのです.

自分から積極的に生きるようになると,次々と出会いが訪れると思います.その縁を大切にして下さい.機会は訪れるべくして訪れるようです.自分は機会に恵まれないと逆ギレするようでは恥ずかしいと思います.

人生の夢に,幸せになることと答えてくれた人がいます.私としても,是非,幸せになって欲しいのですが,幸せって何でしょうか.「何不自由ない生活」ではないことは既に犬猫の話で確認しました.お金持ちになることでもないでしょう.お金に人生を壊される人は少なくありません.幸せの正体がわからないのに,幸せになりたいと願ってみても,決して実現するはずがありません.

出世や金儲けを夢だと答えてくれた人達も,幸せになりたいのだと思います.幸せを具体的にしたものが,会社での高い地位やお金を持つことだったのだと思います.でも,会社での高い地位やお金を持つことが,幸せそのものでしょうか.そうではなさそうです.では,幸せになるための手段が出世や金儲けだとして,なぜ出世や金儲けで幸せになれるのでしょうか.もっと掘り下げて考えてみる必要がありそうです.

なぜ大学生をしているのか.なぜを繰り返して,その根源的な理由を問う設問がありました.その意味が理解できなかった人もいたようですが,どうでしょうか,設問の意図が理解できてきましたか.

自分が一生をかけて歩むと決めた道を切り開いていくために,大学生として勉強すると決めたのであれば,全力で勉強するほかありません.一生をかける覚悟があるのですから,中途半端な態度にはなりえないでしょう.大志を抱かないと,そういう覚悟ができません.勉強にも仕事にも身が入りません.試験前に詰めこみ,期限前にやっつける.そんなことになってしまい,どうしても努力が長続きしません.

大学生になると人生の可能性が広がると考えている人もいるようですが,必ずしもそうとは言えません.とても広い,何もない部屋で,あなたが椅子に座って壁を見ているとします.大きな壁が目の前に広がっています.それが,あなたの可能性です.両手を顔の左右に添えて,視野を徐々に狭くしてみましょう.見える壁の範囲が小さくなっていきます.つまり,視野が狭くなると,可能性が小さくなるわけです.では,椅子を壁に近づけましょう.どんどん近づけてみて下さい.見える壁の範囲がどんどん小さくなります.椅子の位置は時間です.壁までの距離は,人生に残された時間です.

可能性を広げるためには,視野を広くする必要があります.先に,自分から積極的に生きることで訪れる縁を大切にして欲しいと述べました.きっと,人や本との出会いが人生の可能性を広げてくれることでしょう.そして,時が経てば,自然と可能性が狭まることを自覚しないといけません.

大学生になれば人生の可能性が広がるという考えの甘さがわかるでしょうか.自分と似たような友達とだけ付き合い,享楽のために時間を費やせば,人生の可能性は凄い勢いで小さくなっていきます.このことを自覚するとき,もはや無為に過ごすことはできないと思うのです.

幸せになりたいという自然な気持ちを掘り下げて考えてもよいでしょう.人間はなぜ人間なのかという哲学的な問いから迫ってもよいでしょう.本を読むのでも,人に聞くのでもよいでしょう.どのような方法でも構いませんから,自分の生きるべき道を求めてみませんか.そういうことができることこそが,まさに人間の特権ではありませんか.

これが私から皆さんへの最後のメッセージです.自分自身が人生の主役であることを意識して,大学生活を送ってもらえたらと思っています.

メッセージを終えるにあたり,演習の感想に書いてもらった質問に答えておきます.

「空をぼんやり眺める人とじっくり本を読む人とどちらがいい人生と呼べるのでしょうか」と書いてくれた人がいました.空だけに限りません.自然を眺め,その美しさに驚き,人間として生きていることの素晴らしさに想いを馳せ,感謝することは素晴らしいことです.また,じっくりと良書を読み,自分らしく生きられる力を身に付けていくことも大切です.私は,良書を読むことを心掛けると共に,自然を眺める余裕も大切にしたいと思います.どちらの人生がいいかを断じることで私がよりよく生きられるようになるとは思いません.

「マイペースな人とてきぱきしている人どっちが得なのでしょうか」と書いてくれた人がいました.申し訳ありませんが,「得」の意味がわかりませんでした.「楽して儲ける」という意味でしょうか.そうだとすると,私にとっては,どちらが得かを判断することに意味はありません.楽して儲けることで私の人生が素晴らしいものになるとは思えませんし,判断を誰かに伝えることがその人の役に立つとも思えません.さらに言えば,大志を抱き,自分の道を歩む人にとって,マイペースというのは,自分に与えられた能力をもって何事にも一生懸命に取り組むことになるでしょう.それは,てきぱきとしていることと同じように思えます.ですから,二つを比較することの意味が見出せません.なお,「マイペース」が「ダラダラと無為に過ごす」という意味で使われているなら,得かどうかは知りませんが,そういう人になりたいとは思いません.

基礎情報処理演習の担当教員として皆さんに会うことはもうありません.それでも,化学プロセス工学コースを選択したり,さらにプロセスシステム工学研究室を志望したりする人達とは今後も会いますね.それぞれの大切な選択に際して,自分の進むべき道が思い描けているならば,何も迷うことはありません.有意義な大学生活を満喫して下さい.

縁があれば,一生付き合うことにもなるでしょう.そこまで考えなくても,何か私で役に立てることがあれば,いつでもメールを送って下さい.電話で捕まえるのは超困難ですが,メールなら大丈夫ですので.

いつも通りのメッセージにするつもりが,小論文みたいになってしまいましたね.最後まで読んでもらって,ありがとう.何か参考になることを見付けてもらえれば嬉しいです.

補足

メッセージにおいて読書を勧めていますので,その責任上,いくつか本も紹介しておきます.これまでに私が読んだ少数の本の中からの推薦ですので,ベストである自信はありません.それでも,あまり読書したことがない学生諸君にとっては,参考になるでしょう.様々な観点から本を推薦することができますが,ここでは,大学に進学し,人生の基盤を形作る大切な時期に差し掛かった皆さんに読んで欲しい本を挙げておきます.

まず,このメッセージを読んでもピンと来なかったという人で,出世や金儲けに興味がある人は,
P.F. ドラッカー,「ドラッカーの遺言」,講談社
を読むとよいでしょう.ドラッカー氏は経営学の始祖とも言われ,ビジネスの世界では世界で最も有名な一人です.ビジネスの世界で名を挙げるために必要なことを,本書から学べるでしょう.

ドラッカー氏の考えに共鳴できたなら,その著作をさらに紐解くとよいでしょう.例えば,
P.F. ドラッカー,「経営者の条件」,ダイヤモンド社
も名著として知られています.なお,本書でいう経営者とは,いわゆる社長だけではなく,組織において意志決定を行う知識労働者を指します.ですから,経営に興味がなくても,研究者や技術者として成果をあげたい人は誰でも読んでおくとよいでしょう.

もっと手軽な本をということであれば,
北尾吉孝,「何のために働くのか」,致知出版社
を勧めます.北尾氏はSBIホールディングス代表取締役CEOですから,出世や金儲けに興味がある人なら,読んでみたくなる著者と書名ではないでしょうか.

上記「何のために働くのか」において,北尾氏が尊敬する人物として挙げているのが,安岡正篤氏です.安岡氏は東洋思想家ですが,吉田茂以降,日本の歴代総理大臣の指南役として,政財界に大きな影響を与えた人物です.その安岡氏が,どのように生きるべきかということを,多くの実例を交えながら,わかりやすく説明しているのが,
安岡正篤,「青年の大成」,致知出版社
です.若者向けですので,きっと心に響く言葉が見付かると思います.

逆に,私からのメッセージに素直に頷けたという人で,もっと深く知りたいという人は,
森信三,「修身教授録」,致知出版社
を読むとよいでしょう.感動できると思います.

よい人生を送るという観点では,私達は一人で生きているわけではありませんから,どのように人に接するべきかということも大切な問題です.そこで,
D. カーネギー,「人を動かす」,創元社
を勧めます.人を味方にし,友を増やし,心豊かな人生を送るために,どのように人に接するべきかという人心掌握の原則が,豊富な具体例とともに書かれています.

ここまでにしておきます.これらの本をきっかけにして,自分の生き方について考えるようになれば,読むべき本に巡り会うでしょうから.

もちろん,自分の進むべき道が研究者や技術者であるなら,その分野の知識を身に付けるための教科書も徹底的に読んで下さい.試験で点を取ることが大切なのではないことは,もはや明らかですよね.そのために浅薄な知識を身に付けても,どうなるものでもありませんし,そのような重要性を切実に感じられない目標を掲げたところで,真剣に勉強しようと思えるはずもありません.

6月 262009
 

京都大学工学部工業化学科の一回生(半数弱)に,以下のような質問をしてみた.あなたなら,どう答えるだろうか.考えてみて欲しい.

一回生の回答と私のコメントは,後日改めて紹介させてもらおう.

  • なぜ大志が必要なのか?
    (「少年よ大志を抱け」という言葉がある.なぜ大志を抱かないといけないのだろうか.)
  • 大志と野望はどう違うのか?
    (そもそも大志とは何だろうか.野望とは何が違うのだろうか.)
  • なぜ勉強するのか?
    (自分に子供ができたとして,「なぜ勉強しないといけないの?」と聞かれたら,何と答えるだろうか.)
  • なぜ読書が大切なのか?
    (読書を勧める人は多い.なぜ読書をしないといけないのだろうか.)
  • 人間と動物の違いは何か?
    (仲間同士の意思疎通は動物にもできる.道具を使うことだってできる.では,人間と動物の違いは何なのか.)

別に採点をしようとしているわけではない.正解はこれだなんて言う気もない.私の意見を押し付ける気もない.ただ,大学生,しかも京大生であれば,このような問題について深く考えてみること,自分なりの意見を持つことはあって然るべきではないだろうか.

もちろん,これまで考えたことのない学生が多くても一向に差し支えない.私自身,浅知恵で大学生時代を過ごしたわけだから,偉そうなことを言える立場ではない.それでも,学生に考えるきっかけを与えることはできるし,それが教育職にあるものの務めだとも思っている.

専門知識を教えたり,研究指導をしたり,習熟度を評価したり,もちろんそれらは必要なことだ.しかし,それで十分だとは思えない.

実際,こんなこと考えたくもないという学生もいる.それはそれで仕方ない.しかし,このようなことを考える人と考えない人の人生が同じように生き甲斐に満ちたものになるだろうか.考えてみて欲しい.

6月 212009
 

京都大学工学部工業化学科化学プロセス工学コースでは毎年,「化学工学卒業生が学生に語る会」という講演会を実施している.今年で第20回目を迎えた実績のある講演会であり,化学工学という一般には実態が知られていない学問分野について,その卒業生に自身の活躍を語ってもらうことで,学部生に将来のイメージを描いてもらおうという企画だ.

今年も4件の講演があったが,そのうちの1件は私が推薦した,花王のF氏だ.プロセスシステム工学研究室の卒業生で,私と一緒に新分野の研究に取り組んでくれた,優秀な学生だった.今回は,卒業時の約束でもあった「化学工学卒業生が学生に語る会」での講演を快諾してもらった御礼に,講演会と懇親会終了後に,夕食に招待した.

事前に何か食べてみたいものはあるかと尋ねたところ,大学院も含めて6年間も京都にいたのに,飲み食べ放題3000円みたいな店しか行ったことがないので,京都らしい料理を食べてみたいとのことだった.京大生によくあるパターンだ.本日中に帰る必要があるとのことで,JR京都駅近くで食事をすることにして,京都駅ビル内の「京都和久傳」を選んだ.

和久傳と言えば,高台寺に本店がある有名店だが,夜の会席料理が25000円からと結構な値段で,残念ながら利用したことはない.大徳寺の横にある紫野和久傳では,その一階でおもたせを扱っているので,鯛味噌茶漬けなどを時々購入する程度だ.京都和久傳は駅ビル内にあるということもあってか,夜のコースが5000円と8000円という設定になっている.

今回は8000円のコースに,ビールと日本酒をいただいた.

鱧落としなど京都の季節のものもあり,美味しく,品数も十分で,ご飯ものには鯛味噌茶漬けと鯛黒寿司をいただき,最後は抹茶を立てていただいた.駅ビルの店内なので,雰囲気は抜群とはいかないものの,便利な立地で京都の料理を味わうには良い店だ.

京都和久傳(きょうとわくでん)

Tel: 075-365-1000

京都府京都市下京区東塩小路町901 JR京都伊勢丹 11F

京都和久傳 (懐石・会席料理 / 京都、九条、東寺)
★★★★ 4.0

6月 192009
 

ヴァヴェル城

遠回りをして,ようやくヴァヴェル城が見えてきた.あまりお城って感じでもないが,要するに王宮だ.

ヴァヴェル城@クラクフ, ポーランド
ヴァヴェル城@クラクフ, ポーランド

川沿いには,火を噴く竜がいる.写真撮影スポットになっているが,時々,本当に火を噴くので,観光客は大喜びだ.

ヴァヴェル城の火を噴くドラゴン@クラクフ, ポーランド
ヴァヴェル城の火を噴くドラゴン@クラクフ, ポーランド

坂をあがってヴァヴェル城の敷地内に入っていくと,新郎新婦を2組見掛けた.美しいヴァヴェル城の建物や庭を背景にして,写真撮影をしている.こういうのは万国共通なのだろう.お幸せに.

ヴァヴェル城の新郎新婦@クラクフ, ポーランド
ヴァヴェル城の新郎新婦@クラクフ, ポーランド

クラクフ本駅とギャレリア

流石ポーランド第二の都市だけあって,クラクフ本駅は大きい.いかにもヨーロッパ的なクラクフ駅に隣接する,巨大で近代的な建物がギャレリア・クラコフスカだ.3階からなる巨大なショッピングセンターで,いかにも中世ヨーロッパ的なクラクフ市街にありながら,ギャレリア・クラコフスカのみ異彩を放っている.

クラクフ本駅とギャレリア・クラコフスカ@クラクフ, ポーランド
クラクフ本駅とギャレリア・クラコフスカ@クラクフ, ポーランド

クラクフ滞在最終日には,ギャレリア・クラコフスカ内のカルフールでお土産を購入した.今回は,全員にポーランドのスープを味わってもらおうと思い,安いチョコレートとかにせず,奮発して,研究室の学生にも1人1袋ずつインスタントスープを購入した.もちろん学生以外にも配るつもりで,合計40袋ほど.スープの粉だけでもズッシリと重い.

お土産のインスタントスープ@クラクフ, ポーランド
お土産のインスタントスープ@クラクフ, ポーランド

その大量のスープの袋をカゴに入れてレジに行ったのだが,なぜか,レジの女性は「×何個」という操作をしない.バーコード読み取り機に1つずつ,ピッピッと通していく.いやいや,バルシチ(Barszcz)とジューレック(Zurek)がそれぞれ20袋ずつくらいあるのだから,ここは「×20」とかいう操作をすべきなんじゃないでしょうか.

6月 192009
 

アイスクリーム

中央市場広場からヴァヴェル城に向かう.少し歩くと,行列のできるアイスクリーム屋さんがあったので,試しに食べてみることにした.

行列のできるアイスクリーム屋@クラクフ, ポーランド
行列のできるアイスクリーム屋@クラクフ, ポーランド

大きさの異なるコーンがあって,何種類のアイスクリームを注文するかで,コーンと値段が異なる.どうやら,1掬い1PLN(約30円)のようだ.4種類選べる大きなコーンを指差して,10種類くらいのアイスクリームから4つの味を選ぶ.私が選んだアイスクリームは,コーヒー,イチゴ,バニラ,何だか不明なものの4種類だ.行列ができているだけあって,美味しかった.

アイスクリーム@クラクフ, ポーランド
アイスクリーム@クラクフ, ポーランド

ケバブ

クラクフ旧市街を散策していると,ケバブ屋が非常に多いことに気付く.もちろん,ポーランド料理のバルやレストランも負けていないのだろうが,ケバブ屋の看板が派手なので,どうしても目立つ.結局,滞在中にケバブ屋には一度も行かなかったが,なぜこんなに多いのだろうか.不思議だ.

至る所にケバブ屋@クラクフ, ポーランド
至る所にケバブ屋@クラクフ, ポーランド

ソーセージ

ヴァヴェル城というか,その先の河辺を目指して歩いていくと,スーパーマーケットがあった.何かお土産になりそうなものがあるかもしれないので,入ってみる.それほど大きな店ではなかったが,肉コーナーが充実していて,物凄い種類のハムやソーセージがショーケースに並んでいる.ポーランドは肉の国なのだと妙に感心する.

様々なソーセージ@クラクフ, ポーランド
様々なソーセージ@クラクフ, ポーランド

6月 192009
 

中央市場広場と織物会館

今回滞在したホテルHotel Wyspianskiは旧市街の外にあるが,中央市場広場に近い.そこで,まずは中央市場広場に向かう.欧州最大規模という中央市場広場の中央に,織物会館がある.

中央市場広場の織物会館@クラクフ, ポーランド
中央市場広場の織物会館@クラクフ, ポーランド

織物会館にはTourist Informationがあるほか,その内部には土産物屋がズラリと並んでいる.ポーランドの名産品は琥珀とチェスらしく,数多くの店で琥珀やチェスが売られている.しかし,どの店も商売熱心には見えない.店主は黙って座っているだけというところが多い.これは旧共産圏の名残なのだろうか.

織物会館の土産物屋@クラクフ, ポーランド
織物会館の土産物屋@クラクフ, ポーランド

その中央市場広場の東角に聖マリア教会がある.祈祷者はもちろん無料で中に入れるが,観光客は6PLN(約200円)を支払わなければならない.さらに,カメラやビデオで撮影したければ,追加料金を取られる.今回は6PLNを支払って中に入るだけにした.

中央市場広場の聖マリア教会@クラクフ, ポーランド
中央市場広場の聖マリア教会@クラクフ, ポーランド

内部は非常にゴージャスだ.一見の価値はあるだろう.偶然にも,聖マリア教会で結婚式が執り行われているところだった.ちょっと気になったのは,教会で結婚式を挙げるときの料金体系ってどうなっているのかということ.まあ,どうでもいいことだが.

聖マリア教会の横の道に,巨大な落とし物がある.これは教会の天辺にのっているものだ.でも,なぜ?

聖マリア教会の落とし物@クラクフ, ポーランド
聖マリア教会の落とし物@クラクフ, ポーランド

中央市場広場では様々なイベントが行われている.もちろん,大道芸の類も多い.滞在中にはなんと自転車レースまで開催されていた.

中央市場広場の自転車レース@クラクフ, ポーランド
中央市場広場の自転車レース@クラクフ, ポーランド

クラクフ旧市街はすべてを徒歩で観光できるほどだが,私みたいに朝から夜まで歩き続ける人は多くないだろう.観光都市では,観光客向けの巡回バスが走っていることが多いが,小さなクラクフ旧市街の内部では,電気自動車と馬車が主な移動手段になっている.中央市場広場の片隅に,各国語でのガイド放送が流れる電気自動車や雰囲気のある馬車がズラリと並んでいる.

中央市場広場の馬車@クラクフ, ポーランド
中央市場広場の馬車@クラクフ, ポーランド

6月 192009
 

ポーランドでの最後の晩餐には,K先生が探してくれたグルジア料理レストランCHACZAPURIを利用した.このレストランも,やはり旧市街の中央市場広場の近くにある.聖マリア教会の目の前だ.

CHACZAPURIの外観@クラクフ, ポーランド
CHACZAPURIの外観@クラクフ, ポーランド

外観から想像するよりもずっと内部は広い.まずはポーランドのビールを注文し,お決まりのスープを注文する.メニューに書いてある通り,このスープはスパイシーだったが,学会のバンケットで供された辛いバルシチ(Barszcz)に比べると,全く問題ない.

CHACZAPURIのスープ@クラクフ, ポーランド
CHACZAPURIのスープ@クラクフ, ポーランド

4人がそれぞれ注文したメイン料理は,チキンの串焼き,チキンのカツレツ(?),マス料理,チキンとチーズのパイだ.少しずつシェアしてみたが,いずれも美味しかった.

CHACZAPURIのチキン串焼き@クラクフ, ポーランド
CHACZAPURIのチキン串焼き@クラクフ, ポーランド

CHACZAPURIのチキンカツレツ@クラクフ, ポーランド
CHACZAPURIのチキンカツレツ@クラクフ, ポーランド

CHACZAPURIのマス料理@クラクフ, ポーランド
CHACZAPURIのマス料理@クラクフ, ポーランド

CHACZAPURIのチキンとチーズのパイ@クラクフ, ポーランド
CHACZAPURIのチキンとチーズのパイ@クラクフ, ポーランド

デザートは,私の希望で,CHACZAPURIではなく,HAWELKAで食べることにした.

6月 192009
 

クラクフ旧市街の南東にユダヤ人街がある.学会初日の夜は,そのユダヤ人街にあるレストランSZARAに出掛けた.ユダヤ料理にも興味があったが,折角なので,H先生がホテルで推薦してもらったというSZARA に決めた.ここも雰囲気の良いレストランだ.

SZARAの外観@クラクフ,ポーランド
SZARAの外観@クラクフ,ポーランド

SZARAの店内@クラクフ,ポーランド
SZARAの店内@クラクフ,ポーランド

とりあえず,スープを頼む.4人で出掛けて,2種類のスープをいただいた.いずれも非常に美味しかった.

SZARAのスープ@クラクフ,ポーランド
SZARAのスープ@クラクフ,ポーランド

SZARAのスープ@クラクフ,ポーランド
SZARAのスープ@クラクフ,ポーランド

メイン料理として,私は牛肉のタルタル(生肉)をいただいた.魚が添えられているのに驚いたが,これも美味しい.本来,タルタルは前菜なのだけれども,スープと前菜でもちょうどよいくらい.

SZARAの牛肉タルタル@クラクフ,ポーランド
SZARAの牛肉タルタル@クラクフ,ポーランド

デザートには,私はチーズケーキを,他の先生はアップルパイを注文した.

SZARAのチーズケーキ@クラクフ,ポーランド
SZARAのチーズケーキ@クラクフ,ポーランド

SZARAのアップルパイ@クラクフ,ポーランド
SZARAのアップルパイ@クラクフ,ポーランド

ビールとワインも飲んで,デザートまで食べて,1人3000円もしないくらいだ.雰囲気の良いレストランでこの価格だから,本当にポーランドの食事は安い.

6月 192009
 

ポーランド滞在2日目は,旧市街の中央市場広場に面しているレストランHAWELKAで食事をした.初日が激安のバルだったので,2日目は高級(?)レストランを選んだ.内装もゴージャス感があり,今回の滞在で利用した中では恐らく最も高級なレストランだ.

HAWELKAの外観@クラクフ,ポーランド
HAWELKAの外観@クラクフ,ポーランド

HAWELKAの店内@クラクフ,ポーランド
HAWELKAの店内@クラクフ,ポーランド

まず,HAWELKAの有名料理らしい,パンを器にしたスープを注文する.ポーランドではとにかくスープがよく飲まれるようで,どこに行ってもスープがある.HAWELKA のパンを器にしたスープは,キノコのスープだ.

HAWELKAのキノコスープ@クラクフ,ポーランド
HAWELKAのキノコスープ@クラクフ,ポーランド

メイン料理として,私はポークカツレツ(Kotlet Schabowy)を,もう一人はピエロギ(Pierogi)を注文した.ポークカツレツはBAR MLECZNYで食べたところだが,激安バルとレストランでは味が違うかもしれないと思い,注文した.実際,HAWELKAのポークカツレツの方が美味しかったし,ソースも別皿で登場した.それでも,高々36PLN(約1200円)でしかない.

HAWELKAのポークカツレツ@クラクフ,ポーランド
HAWELKAのポークカツレツ@クラクフ,ポーランド

HAWELKAのポークカツレツ@クラクフ,ポーランド
HAWELKAのポークカツレツ@クラクフ,ポーランド

ピエロギは,4種類の味をミックスしたものだ.中身が何なのかはよくわからない.料金は18.90PLN(約600円).

HAWELKAのピエロギ@クラクフ,ポーランド
HAWELKAのピエロギ@クラクフ,ポーランド

HAWELKAでは,チェック(勘定書)がなかなか趣のある木箱に入って届けられる.2人でビールも飲んで,お腹一杯食べて,123.90PLN(約4000円)だ.

HAWELKAのチェック用木箱@クラクフ,ポーランド
HAWELKAのチェック用木箱@クラクフ,ポーランド

実は,最終日にもHAWELKAを利用した.ただし,食事目的ではなく,食後のデザートを食べるために.HAWELKAでしか食べられないOld Polish Styleのデザートがメニューにあり,それが気になっていたので,最後に挑戦した.ナッツが入っていて,全体がほんのりと温かいケーキだった.

HAWELKAのデザート@クラクフ,ポーランド
HAWELKAのデザート@クラクフ,ポーランド

6月 192009
 

ポーランド滞在初日は,旧市街のBAR MLECZNYで夕食を食べた.中央市場広場とヴァヴェル城のちょうど中央付近にあるバルで,いかにも大衆的で安そうな感じだ.

BAR MLECZNYの外観@クラクフ,ポーランド
BAR MLECZNYの外観@クラクフ,ポーランド

店に入ってすぐの壁にメニューが掲げられている.すべてポーランド語なので,ガイドブックとにらめっこしながら解読する必要があるが,いずれも一皿3〜9PLN(100〜300円)程度と非常に安い.

BAR MLECZNYのメニュー@クラクフ,ポーランド
BAR MLECZNYのメニュー@クラクフ,ポーランド

今回は2人で,Golabki(ロールキャベツ),Pierogi(蒸し餃子),Kotlet Schabowy(ポークカツレツ),Bigos(キャベツとザワークラウトと肉を煮込んだもの)を注文した.セルフサービスなので,カウンターで注文して,トレイに乗せてテーブルまで運ぶ.注文も当然ポーランド語なので,ガイドブックの絵を指差しながらの注文だ.

コヴォンブキ(ロールキャベツ)には,肉だけでなく野菜や米も入っている.日本のロールキャベツとは随分と印象が異なる.

BAR MLECZNYのコヴォンブキ@クラクフ,ポーランド
BAR MLECZNYのコヴォンブキ@クラクフ,ポーランド

ピエロギ(蒸し餃子)は,肉入りとチーズ入りがあったようで,注文時にチーズか肉かと聞かれた.これは英語で話してもらえたので理解できて,肉を頼んだ.

BAR MLECZNYのピエロギ@クラクフ,ポーランド
BAR MLECZNYのピエロギ@クラクフ,ポーランド

ポークカツレツは実に素直な味で,見た目のまま.

BAR MLECZNYのポークカツレツ@クラクフ,ポーランド
BAR MLECZNYのポークカツレツ@クラクフ,ポーランド

ビゴス(煮込み料理)は,予想したほどザワークラウトが強烈ではなかったが,たくさんはいらない感じ.

BAR MLECZNYのビゴス@クラクフ,ポーランド
BAR MLECZNYのビゴス@クラクフ,ポーランド

ともかく,500円くらいでポーランド料理をお腹一杯に満喫できる.海外旅行では高額の食費を覚悟するものだが,驚くほど安い.