7月 112009
 

「ゲーテ格言集」(ゲーテ,新潮文庫)を読んだと書いたところだが,いくつか追加でメモしておこう.

初恋が唯一の恋愛であると言われるのは,至言である.なぜなら,第二の恋愛では,また第二の恋愛によって,恋愛の最高の意味が失われるからである.元来恋愛を高め,恋愛をして恋愛たらしめるところの永遠と無限の観念が,第二の恋愛では既に破壊され,一切の反復する現象と同様に一時的なものに見えるようになる.

(詩と真実)

恋愛についての格言も複数収録されているが,その中にあって,なるほどと思ったのが,これだ.

一体,祖国を愛するとは,どういうことか.愛国的に活動するとは,どういうことか.ある詩人が,有害な偏見と戦い,偏狭な見解を除き,国民の精神を啓発し,その趣味を浄化し,心の持ちようと考え方を高尚にするために終生努力したとすると,それ以上のことがどうしてできよう? これ以上愛国的な行為がどこにあろう.

(ゲーテとの対話)

最近,日本においても,「愛国心」に関する議論があったところだが,それぞれが好き勝手に喚き散らしているだけで,まるで噛み合わない議論だったように思う.しかし,これは重要な問題を含んでおり,よく考える必要がある.

この点については,改めて,「知識人とは何か」(エドワード・W・サイード,平凡社)の書評と絡めて示したい.

しばしば言い慣らわされている色々の格言も,後世になって与えられるのとは全く別な意味を持っていた.

(格言と反省)

これが注意を要するところだ.先に,「世の中には,著名人の箴言集,名言集,格言集,一日一言などが氾濫しているが,こういう類の書籍を読んで,本当に身になるのかは甚だ疑問である.どのような言葉にも,その文脈というのがあり,その文脈を無視して切り出された断片だけを見聞きして,どこまで本来の意味が理解できるのか疑問に思うからだ.」と指摘したのは,まさにこのためだ.勝手な誤った解釈に陥らないためには,やはり文脈を把握する必要があるし,原典をあたる必要があると思う.

性癖に打ち勝つことは難しい.これに習慣が次第に加わってきて,根を下ろすと,もう始末に負えなくなる.

(四季)

その通り.自分自身を厳に戒め,自分に命令する人間にならなければならない.

新聞を読まなくなってから,私は心がのびのびし,ほんとに快い気持ちでいます.人々は他の人のすることばかり気にしていて,自分の手近の義務を忘れがちです.

(ミュラーへ)

実は私も,新聞を読まず,テレビでニュースも見ない派だ.特にテレビのニュースなんて,自分自身の人生に益するところがどれほどあるかと問うてみれば,ほとんど無意味にしか思えない.殺人とか不正とか芸能ネタとか,そんなもの関係ない.まともなニュースであっても,不勉強なキャスターの言説は聞くに堪えない.一方,新聞なら,取捨選択して読めばよいと思う.

実は,ニュースを見ようとしない理由が他にもある.それは,私が自分自身の課題としている「人を裁かない」を実践するためだ.ニュースなんて気の滅入るようなものばかりで,知らず知らずのうちに,人を裁いてしまう.そういう自分に気付くのが嫌で,見なくてよいニュースは見ないようにしている.ニュースを見る暇があるなら,その時間で偉人の伝記でも読んだ方が,100倍くらい良い人生を送れるような気がする.

私はこう勧めたい.何も無理強いをせぬことだ.何もできない日や時には,後になって楽しめないようなものを作ろうとするより,ぶらぶらして過ごしたり,寝て過ごす方がいい,と.

(ゲーテとの対話)

教育と研究に全力で取り組むと宣言している私だが,昔から,気力に非常に激しい波がある.気合いが入り,集中力が高まったときに発揮される能力は自分でも大したものだと思っているが,逆に,やる気がないときの何もできなさといったら,これは筆舌に尽くしがたい.本当に何もできない.そういうときは,何もせずに,寝る.

気持ちよい生活を作ろうと思ったら,
済んだことをくよくよせぬこと,
滅多なことに腹を立てぬこと,
いつも現在を楽しむこと,
とりわけ,人を憎まぬこと,
未来を神にまかせること.

(警句的)

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