8月 092009
 

こどもたちへ 夜回り先生からのメッセージ
水谷修,サンクチュアリ出版,2005

図書館で,ふと,この「夜回り先生」として知られる水谷修氏の本に目が留まった.数分で読めるくらいの本だ.その「はじめに」には,次のように書いてある.

残念ながら,私にはあまり多くの時間が残されていません.

でも言葉や想いは残せるものだと信じています.

この本は私が残しておきたい,伝えておきたいことのすべてです.

本書「こどもたちへ 夜回り先生からのメッセージ」を読んで,やっぱり,夜回り先生は凄いなと改めて敬服した.子供の問題に人生をかけてきただけのことがある.しかし,それは,本書に書かれている「こどもたちへ」のメッセージが素晴らしいからではない.メッセージ自体はありふれたものだ.過去のことで悩まず,明日のことに悩まず,今を精一杯生きること,人に優しくしてあげること,とにかく行動すること,こういうことの重要性は幾度となく繰り返し主張されてきた.良書に学ばない人達は聴いたことがないのだとしても.言葉は力を持っていること,幸せな人でないと人を幸せにできないこと,人のために行動してのみ人は幸せになれることなども,改めて感心するようなことでもないだろう.

では,なぜ,凄いと感じたのか.それは,本書の「おわりに」の書き出しにある.

この本には,救いはありません.

本を読んで解決する程度の悩みは,

読む前から解決しています.

口先だけでない,実践してきた人の言葉だ.言葉だけでは問題を解決できないことは十分に承知しているにもかかわらず,それでも,言葉にしておかずにはおれない社会と子どもたちとの現状.それを想うと,心が痛む.

本書「こどもたちへ 夜回り先生からのメッセージ」には,「おとなたちへ」のメッセージも書かれている.

今の社会は攻撃的な社会です.(中略)

純粋で,心がきれいな子ほど心を病みます.(中略)

子どもはみんな花の種です.(中略)

親たちはことばを使いすぎます.(中略)

親という権利を行使する前に,どうかまずはひとりの人間として子どもと向き合って下さい.お願いします.

子供と一緒に喜んで,子供と一緒に悲しんで,子供をほめてあげる.毎日,そのようにして過ごしたい.

目次

  • はじめに
  • こどもたちへ
  • おわりに
  • おとなたちへ