8月 272009
 

脳を攻略!最強のプレゼンテーション
吉田たかよし,PHP研究所,2008

NHKアナウンサーから転身し,医師免許を取得,さらに衆議院議員公設秘書を務めるなど,異色の経歴をもつ吉田氏が,その経歴を活かして,プレゼンテーション方法についてまとめた本だ.アナウンサーといえば,話すのが仕事というプレゼンのプロフェッショナル.そこでの経験や訓練方法を,医学博士として脳科学的に説明することで,自説に説得力を持たせている.「なるほどね」と納得できる度合いという観点で,本書は優れていると思う.

書いてある内容,つまり推奨するプレゼンテーションの仕方そのものは,決して突飛ではなく,「そうだよね」というものがほとんどだ.私にとっての目新しさは,NHKアナウンサーが行う話し方の訓練方法や,脳科学的な説明であった.

プレゼンテーションにも色々な種類があるが,本書で対象としているのは,主としてビジネス・プレゼンテーションだ.だから,こう書いてある.

こうしたノウハウ本の過ちは,目的をはき違えていることに原因があります.大半のノウハウ本が上手に伝えることを目的としていますが,上手に伝えることとプレゼンに勝つことはイコールではありません.

本書は,脳科学を駆使し,プレゼンに勝つことだけを目的にしています.

プレゼンの目標は,相手を説得し,自分が望む行動をさせることだとする点では,「マッキンゼー流 プレゼンテーションの技術」(ジーン・ゼラズニー,東洋経済新報社,2004)に通じるものがある.内容的に類似した点も指摘できる.しかし,実は,「はじめに」と「序章」を読んで,本書「脳を攻略!最強のプレゼンテーション」を読むのはやめようかとも思った.というのも,勝つとか負けるとか,そんな言葉が多くて,数ページでゲッソリしてしまったからだ.何もそこまで勝負を前面に出さなくても,というのが率直な感想だ.

それでも,科学的に妥当な方法を採用することは重要で,本書は参考になった.「話し方入門」(デール・カーネギー,創元社)の他に何か読みたいなら,どうぞ.

目次

  • 聞き手の「脳」を攻略せよ!
  • 「扁桃体」を攻略して第一印象を決めろ!
  • 「海馬」に効くキーワードで記憶に残せ!
  • 「大脳辺縁系」に訴える右脳言語を使え!
  • 「視覚連合野」を視線と図解で攻略せよ!
  • 「A10神経」を刺激する欲望に火をつけろ!
  • 「側頭葉」にピンとくる言語表現をねらえ!
  • 「前頭前野」を疑似会話で活性化せよ!
  • 「視床下部」を攻略してあがり症を撃退!

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