8月 292009
 

最近読んだ本を例にすると,例えば,ヒルティの「幸福論」を読むと,ダンテの「神曲」や聖書からの引用が物凄く多く,それらを読んでいないと話にならないことに気付く.もちろん,読めなくはないが,どうしても浅薄な理解しかできない.そのダンテの「神曲」にしても,そもそもキリスト教における地獄と天国を描いているわけだから,多少は聖書について知っていないと楽しめるものではない.

キリスト教の影響を強く受けているのは西洋の人々だけではない.「代表的日本人」を書いた内村鑑三もキリスト教徒であるし,「武士道」を書いた新渡戸稲造もそうだ.いずれの書物を読むにしても,聖書の教えを知っておくに越したことはない.

もちろん,聖書だけで十分というわけではない.「武士道」においては,聖書を筆頭に,古代ギリシヤ,古代ローマ,ドイツ,フランス,イギリス,アメリカ,中国等々の哲学者,思想家,歴史家,詩人等々,実に多岐に渡って膨大な引用がなされている.流石に「神曲」には東洋思想は引用されていないが,その代わりに,古代ギリシヤや古代ローマの哲学者や詩人が登場するばかりか,ギリシア神話の逸話がふんだんに織り込まれている.

残念ながら,一朝一夕に教養が身に付くはずもない.したがって,少しでも今より良くなるため,自分を磨くための第一歩としては,やはり聖書を知るのが一番だろうと思う.ただ,旧約聖書も新約聖書も,そのまま読んで面白いものではないし,その教えが理解できるものでもない.一方,キリストの教えは○○ですよということだけを学んでも片手落ちだ.聖書に展開される人間ドラマ・歴史ドラマを感じられないからだ.このように考えてみると,お勧めは,小説あるいは物語として聖書を読むということになる.実際,私の場合,もう10年ほど前になるが,小説「聖書」旧約篇と小説「聖書」新約篇を読んだ.これらは聖書の世界に触れる入門書として良くできていると思う.

ダヴィンチコードの影響もあり,マグダラのマリアによる福音書やユダの福音書,さらにはナグ・ハマディ写本やグノーシス主義にも興味をひかれるところではあるが,教養という観点からは,まずは西洋人が正統と考えてきた聖書を知るのが先決に違いない.

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