9月 142009
 

神曲 天国篇
ダンテ(著),平川祐弘(訳),河出書房新社,2009

いよいよ,「神曲」三部作の最後を飾る「神曲 天国篇」だ.神曲の著者であるダンテ・アリギエーリは,「地獄編」において,詩人ウェルギリウスを先達として旅した地獄について記し,「煉獄篇」において,天国に入ることを許された死者の魂が犯した罪を悔い改め浄化される場所である煉獄の様子を記している.煉獄山の頂上にある地上楽園で,ここまで導いてくれたウェルギリウスの姿が消え,ダンテは愛する淑女ベアトリーチェに会う.このベアトリーチェに導かれて天国を旅した記録が本書「神曲 天国篇」である.

天国においても,ダンテは一つ一つ高みへと登っていく.天国の最下層である月天から,水星天,金星天,太陽天,火星天,木星天,土星天,そして,聖ペトロら諸聖人が列する恒星天を経て,諸天の一切を動かす根源となる原動天,最後に第十天である至高天.ここに至って,ダンテは神を見る.

それにしても,何と高慢な著作であることか.自分は神を見る資格があるほどに聖らかであると宣言しているわけだ.自分が嫌いな者は地獄に落とし,好きな者は天国に上げるというのが神曲の地獄編,煉獄篇,天国篇において貫かれている姿勢だ.キリスト者として,これでいいのか?

正直,地獄編煉獄篇に比べて,天国篇は面白くない.当時の都市国家フィレンツェの内紛にまつわる話は基本的に罵詈雑言ばかりで興味がわかない.次から次へと紹介される聖人は,私には到底理解できない神学論ばかりを口にするので,読む気が失せる.それでも,折角ここまで読んだのだからと,最後まで読み通した.

天国篇に共感できないのは,私には地獄の方が似合っているからだろうか...

目次

  • 第一歌から第三十三歌まで
  • 詩篇

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