12月 112009
 

今朝,ホテルのカフェテリアで朝食を取りながら本を読んでいると,次のような文章が書いてあった.

I don’t know what’s the matter with people: they don’t learn by understanding; they learn by some other way — by rote, or something. Their knowledge is so fragile!

“That’s true, a serious issue of learning.”と思った.

著者は2つの体験を例に挙げて,この点を指摘している.1つは,French curve(雲形定規)の曲線は何かしらの式で表現されるかという例.雲形定規をどのように傾けても一番下の点では接線は水平になっていると彼が指摘すると,周りの人々がその「発見」に興奮したというエピソードだ.そんなことは当然なのだが,その発見に驚いたということは,関数の極値について何もわかっていないということだ.この周りの人々とは,MITの学生達だ.

もう1つの例は,アルバート・アインシュタインの助手とのやりとりから.著者がその助手にクイズを出したが,即答できなかった.そのクイズはアインシュタインの重力理論の基本原理に関するものであり,その助手はまさに重力理論の研究に長年携わっていたにもかかわらずだ.このエピソードは,プリンストン大学でのもので,やはり習ってはいるが理解していないことが示されている.

状況は,現代の学校でも同様だろう.大学や大学院においてさえも.ペーパーテストで点が取れればいいなんて底の浅い勉強の仕方をしているようでは,全く機械的な学習(learn by rote)でしかなく,理解して学んでいるのではない(they don’t learn by understanding).そうして身に付けた知識はもろい(fragile).

研究室でも,線形代数の基礎から最先端の研究に至るまで,「その意味を理解しろ.さもなければ,いくら知識を頭に詰め込んでも使い物にならないぞ!」と繰り返している.賢い学生なら,言われていることの意味がわかる.

さて,カフェテリアで読んでいた本というのは,「ご冗談でしょう,ファイマンさん」の原著だ.本書は,ノーベル物理学賞を受賞した天才物理学者の自伝のようなものだが,ワクワクさせられる本として,理系文系を問わず,大変人気がある.好奇心の塊ともいえるファイマンのキャラクターが表れているからだろう.上述のエピソードは,MIT在学時代のことを書いた”Who stole the door?”という節に出てくる.日本語でもいいが,英語も難しくないので,原著に挑戦してみるのもいいだろう.

“Surely You’re Joking, Mr. Feynman!”: Adventures of a Curious Character
Richard Phillips Feynman, W W Norton & Co Inc (1997)

 Leave a Reply

You may use these HTML tags and attributes: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>