12月 292009
 

理系のための人生設計ガイド
坪田一男,講談社,2008

京大生協の店舗で本棚を眺めていたときに,ふと目に留まったので,いつものように図書館で借りてみた.山中教授の帯がインパクトがあったからのように思う.

著者の坪田氏は慶應義塾大学医学部教授.本書「理系のための人生設計ガイド」は,まさにタイトルの通り,理系の大学院生や若手研究者を対象に,人生設計の大切さと方法を,具体例を交えて解説したものだ.内容はありきたりではない.経済的自立のために本職(大学教員の給料)以外でお金を稼ぐ方法や,会社・学会・NPO法人の設立の仕方など,並の大学教授には書けないようなことが書いてある.もちろん,そればかりでなく,科研費申請書の書き方から教授選挙のポイントまで,大学教員の関心事もしっかり書いてある.理系と一口に言っても,医学部は特殊なので,そういう意味でのバイアスはかかっていると思うが,それでも理系なら若いうちに一読する価値はある.

私自身に経験がない部分は評価しようがないが,全体としては極めてまともな主張がなされている.自己分析をしろ,お金にも気を配れ,仲間を作れ,とにかく業績をあげろ,表現力を高めろ,時間を有効に使え,等々.

本書を読んで動機づけられたら,もっと深い本を読むといいだろう.例えば,自己分析や時間管理なら,「経営者の条件」(ピーター・ドラッカー,ダイヤモンド社).お金のことなら,「宇宙を味方にしてお金に愛される法則」(ボブ・プロクター,きこ書房).ちょっと違うか...仲間を作ることなら,「人を動かす」(デール・カーネギー,創元社).表現力なら,「話し方入門」(デール・カーネギー,創元社)

今,この本を読んで,自分自身がやらねばと思ったことは,1)本を書くこと,2)積極的に人に会うこと,3)会社設立を真面目に考えることだ.本を書くのは,自分を社会に対して売り込むと共に収入を増やすため.人に会うのは優れた人と縁を結ぶため.会社設立を考えるのは,いつも間にか染みついたリスク回避思考を払拭するため.

本書の素晴らしい点は,坪田氏の前向きな姿勢そのものにある.「ごきげん」主義なのだそうだ.

とにかく,「将来のことは考えてません」などという戯けた理系は,すぐに読むといい.

目次

  • 設計1 基礎知識編-成功のためには「人生設計」が必要だ
  • 設計2 自己分析編-「自分年表」で人生を仮説にする
  • 設計3 経済編-研究者こそ経済的自立が必要だ
  • 設計4 友人・知人編-人的ネットワークを増やすには
  • 設計5 海外ネットワーク編-世界で認められる研究者になる
  • 設計6 ポスト編-母校の教授になるために
  • 設計7 業績向上編-ノーベル賞を狙う気持ちで研究する
  • 設計8 表現編-表現力をつけて社会にアピールする
  • 設計9 インフラ編-会社、学会、NPOを用意する
  • 設計10 時間編-人生設計とは「時間をどう使うか」である
  • 設計11 トラブル編-理系の弱点「危機管理能力」を備えよう

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