1月 302010
 

アウト・オン・ア・リム
シャーリー・マクレーン(Shirley MacLaine),山川紘矢(訳),山川亜希子(訳),角川書店,1999

先に読んだ「輪廻転生を信じると人生が変わる」(山川紘矢,ダイヤモンド社)で推薦されており,彼女もこの映画を見たというので,読んでみることにした.著者はシャーリー・マクレーン.アカデミー賞主演女優賞やエミー賞などを受賞した有名女優だ.本書「アウト・オン・ア・リム」では,彼女が40歳代に経験したという,その後の人生を完全に変えることになった出来事が綴られている.文章は上手だ.

書かれているとおり,本書は,読む人によって,色々な読み方がありえる.不倫・恋愛小説,女優の自伝,オカルト等々.だが,本書の趣旨は,輪廻転生が本当であることを知り,自分が何者であるかを知ることの重要性を知らしめることだ.魂の存在すら信じていなかったシャーリー・マクレーンが,いわゆる成功者でありながら,どうして精神世界に深く関わるようになったのか.その経緯が詳細に描かれている.彼女が何かに導かれ,数年間に学んだことは,ニューヨークでの彼女と友人ベラの会話として,本書の最後の十数頁にまとめられている.それが結論ということになる.ただ,こういう話に馴染みがない人には,結論だけを読んでも全く受け入れる気にはならないだろう.本書「アウト・オン・ア・リム」にも他書にも書かれているが,時機というものがあるようだ.

本書では,幾人かの霊媒が登場する.シャーリー・マクレーン自身が霊媒に会う前,霊媒を通して語る精霊について,彼女はある友人から教えられる.

アンブレス(霊媒を通して語る精霊)の言うことを聞いてから我々の人生に対する見方に変化がありました.人間としてこの世に生まれた目的を知れば知るほど,より積極的に人に対する思いやりのある意思決定ができるようになったんです.

これが重要なポイントの1つであると思う.つまり,自分が何のために生まれてきたのかを知らず,過去に支配され,未来を恐れて生きているから,自分本位になってしまうのだ.輪廻転生を受け入れ,原因と結果の法則(因果応報)を受け入れるなら,人は人に優しくなれる.シャーリー・マクレーンがベラに語ったのも,結局そういうことだ.

本書「アウト・オン・ア・リム」では,過去の有名な霊媒として,エドガー・ケーシーの話が出てくる.エドガー・ケーシーを通して,声は次のように語っている.

人が犯す最も大きな誤まりは,人生は,すでに前もって決められており,変えることができないと思ってしまうことだ.現在の人生が最も重要であり,カルマとの関係において,自由意思を発揮することが最も重要である.自分の精神的内面に触れ,人生の目的が何であるかを発見することは,我々の自由意思にかかっている.我々の行いは,すべて終局的には自分に返ってきて,自分が責任を負わなくてはならない.また責任というものが何であるかを知ることも,自分の責任である.

新約聖書のマタイによる福音書に,「人を裁くな.自分が裁かれないためである.あなたがたが裁くその裁きで自分も裁かれ,あなたがたの量るその秤で自分にも量り与えられるであろう.」とある.「神曲 地獄篇」(ダンテ,河出書房新社)のコメントにも書いたが,「人を裁くな」は,私が守るのが最も難しいと感じている警句の1つである.ついつい,心の中で人の行為を非難してしまう.

ところで,「あなたがたが裁くその裁きで自分も裁かれ,あなたがたの量るその秤で自分にも量り与えられる」とはどういうことか.この点について,エドガー・ケーシーのリーディングが紹介されている.1つは,18歳の肥満女性.二つ前の前世において,彼女はローマの運動競技者で美貌と技量に恵まれていた.しかし,彼女はいつも太って体の動きの鈍い人達を嘲笑っていた.もう1つは,21歳のホモセクシャルで悩む若者.その前世で彼はフランスの裁判所で,ホモの人間を暴露し,侮辱していた.つまり,裁きのバランスが取られるのは,今生とは限らないということだ.

霊媒について興味を持ち,熱心に勉強したシャーリー・マクレーンは,こう書いている.

数多くの文献を読んでみて一番私の興味を引いたことは,これらの霊媒の伝えるメッセージに普遍性があるということであった.霊媒はあらゆる国にいて,霊信はあらゆる言語でなされているが,言っていることは基本的に同じであるという事実である.彼らはすべてが,「自分自身を見よ.自分自身の内を探れ.そうすれば,自分が宇宙であることがわかるだろう」と言っているのだった.このメッセージは,私に今までの自分の生活について考えなおす必要を感じさせた.

そして,自分自身も霊媒を通して精霊と交信するようになる.本書「アウト・オン・ア・リム」で取り上げられているのは,精霊ジョンの言葉だ.

そんなことする必要はないんだ.心を開いている人は,自分の見方をただ言っていればよいのだ.懐疑的な人には懐疑的である自由を認めてやればよい.もし他人に押しつけようとするなら.それはおせっかいもいいところだ.疑う人には疑い続ける権利を与えてあげなさい.彼らにもいつか本当のことを知りたいという時が来るだろう.用意ができた時に自分で探し始めるだろう.人々が論理的な思考システムの中にとどまっていたかったり,自分の認識している現実の中にいたいのなら,それはそれで安全なことなんだ.そうした方が,現在もっている権力の中で自我が安心していられるということさ.それがどんな形の権力であろうともね.彼らは認識を変えようとしないだろうし,自分自身を変える必要もなければ,意識を広げる必要もないだろう.

真理というものは簡単なものだ.人間がそれを,ことさら難しくしているだけだ.真理というものは,教訓を学ぶように頭で学ぶことはできない.真理というものは,自分で自分の内に経験をして納得してからでなければ,その先へ進むことができない.真理を学び,かつ経験することは一種のあがきとも言えよう.あがくことによって目が開かれるのだ.人間の本来の住処は地球上ではないことも,記憶にとどめておくがよい.人間の本当の住処はエーテルなのだ.個人個人は生まれた時から神の真意を知っているのだ.ただ,それを複雑にして,自分が知っていることを忘れているのだよ.

頭のよい連中は,自分がエリートであると思いたいから,一般の人達とは違うと思いたいのだ.だから,彼らは自分の頭の方を信じて,自分の中にある神の力を忘れてしまうのだよ.頭のいい人だけでなく,多くの人は自分の中に神の閃きを感じるとまごついてしまうのだ.頭のいいインテリで猜疑心の強い人間ほど,自分の内部では矛盾と混乱と不幸が起きやすいのだ.人は誰でも心の平和を求めている.心の平和は知性からではなく,心そのものから生まれるのだよ.人の心の中に神と平和と自分自身とを見出すことだよ.知的な懐疑主義者は本当の自分に気がつかない.むしろ避けていると言えよう.しかし,本当の自己は神の真意を知っているのだ.なぜなら,自己が神そのものだからだよ.わかるかな?

さらに,シャーリー・マクレーンに決定的な影響を与えるのが,友人デイビッドである.彼は,2週間ほど,彼女をペルーに,アンデスの山中に連れて行く.そこで,美しい自然を楽しみながら,極めて重要なメッセージを伝える.とても信じることができないようなメッセージを.葛藤の末,シャーリー・マクレーンはその言葉を受け入れる.そうして,その後に書かれたのが本書「アウト・オン・ア・リム」である.

デイビッドが語る途方もない話については本書を読んでもらうこととして,彼は他にも色々と語っている.

輪廻転生のことは聖書に書いてあったんだよ.ただ五五三年のコンスタンチノープルで開かれた,一般にニカイア会議と言われている宗教会議で,教会の支配を強めるために輪廻転生の思想を削除してしまったんだ.だって,人の運命は教会の支配下にあるというのが教会の主張なのに,キリストは一人ひとりが自分の運命に責任があると言っているのだからね.キリストはただ神のみが人を裁けると主張していて,教会やいわゆる宗教を作ることには反対していたんだ.彼は教会や宗教が自由や真実を知りたいと願う人の心を抑圧するのを知っていたんだよ.

うまくいくかどうかわからないけれど,誰かが”黄金の夢”っていう方法のことを話してくれたよ.例えばね,ちょうど眠ろうとしているけれど,いろんな問題が君の心を占領してどういもならないとするね.僕はその瞬間に僕を世界中で一番幸せにしてくれるのは何かを考えてみるんだ.何もかもすごく詳しく描き出してみるんだ.何を着ているか.誰と一緒にいるか.どんな音が聞こえるか.天気はどんなか.どんなものを食べているか.何に触っているか.どんなことでも自分が幸せに感じることを想像するのさ.そしてじっと待っているんだ.心の中には自分の意思と想像力で作り出した完璧な絵がある.それは次第に現実味を帯びてきて,ついに僕は幸せになるんだよ.自分がリラックスして,一種の規則正しい周波数で揺れているのを感じるんだ.そして間もなく眠ってしまうというわけさ.僕の好きな言い方では,”星の世界”へと入っていくのさ.

またいずれ本書を手にすることになるだろう.そんなふうに思った.

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