2月 112010
 

「脳にいいこと」だけをやりなさい!
マーシー・シャイモフ(著),茂木健一郎(訳),三笠書房,2008

まずハッキリさせておきたいのは,原著の内容は素晴らしいのだが,翻訳が傲慢だということ.そもそも本書を手にしたのは,タイトルを見て,幸せになる方法を脳科学的に説明した本であると判断したからだが,ほとんど脳とは関係なかった.しかも,このタイトルと内容の乖離は翻訳の問題であって,原著には何の落ち度もない.原著のタイトルは”Happy for No Reason”であり,脳だとか脳科学だとかは一切書いていない.原著は極めて正当な引き寄せ系の本だ.実際,著者のマーシー・シャイモフは,「ザ・シークレット」(ロンダ・バーン,角川書店)にも登場するほど心豊かな人生を送っている女性だ.本書の翻訳は意図的な誤訳の乱用といえる.そんなことでいいのか.

しかし,繰り返すが,原著は正当な引き寄せ系の本であるから,良いことが書かれている.信じるものは救われる的な内容だけに,好き嫌いはわかれるかもしれないが,それでも,本書で勧められているような生き方をしたいと感じる人は少なくないだろう.

以下,いくつかの言葉を書き留めておこう.私が惹かれた言葉を見ても,脳の話ではないことがわかるだろう.

「幸せの国の百人」が従う法則

  1. あなたを広げていくものが,あなたを幸せにしてくれます.(拡大の法則)
  2. 宇宙はあなたを支えています.(支援の法則)
  3. あなたが価値を認めるものが,あなたの周りに増えていきます.(引き寄せの法則)

何かの選択を迫られたとき,立ち止まって大きく息を吸い,どちらの選択がより頭の中で明るさや広がりを感じさせてくれるかを考えます.(中略)エネルギーの拡大を感じる選択をしたときは,なぜかいつもすべてがうまくいくのです.

“すでに起こってしまったこと”を嘆いたり変えようとしたりしない(中略)「人生に間違いなどない」と考え,”今”できることにエネルギーを注ぐのです.

(引き寄せの法則)を聞きかじった人の多くが,理想の家や車など,まず自分を幸せにしてくれそうな「モノ」を引き寄せようとしますが,それは本末転倒です.この法則の基本は,”幸せであることが,望むものを引き寄せる”ということです.まずあなたが「今,幸せだ」と思うことが前提なのです.その幸せのエネルギーが強力な振動をつくり,欲しいものを引き寄せていきます.

「〜になりたい」ではなく「〜である」というふうに現在形の言い切りで書くようにすると,強さとダイレクトさが出て,自分の欲しいものを確実に手にできます.(中略)とにかくエネルギーの拡大を感じさせてくれるもの,開放感や軽さを感じさせてくれるもの(写真や絵など)を絶えず目にする場所に掲げ,先ほど書き出した目標を書き添えておくのです.

私たちから幸せを奪う週間は,主に3つ−−不平を言う,他人のせいにする,自分を恥じる−−ですが,どれも間違った被害者意識から生まれるものです.

うれしいことを見つけたら,少し時間を取ってそれを味わってみる−−ただ鑑賞するだけではなく,深く心に刻み,”感じる”のです.できれば,三十秒くらい,その気持ちに浸ってみるとよいでしょう.そのうれしかった経験を書き留めておくと効果倍増です.

「わけもなく幸せ」な人々は,一日のうちに何度も感謝の気持ちを意識します.(中略)あなたが感謝するものが,あなたの周りに増えていく−−すでにある愛と幸せをありがたいと思えば,愛と幸せは増えていくのです.

本当の許しとは,相手のためにする行為ではありません.それは”自分のため”のもの,心の縮小を抑えるための行為なのです.

自分を憐れむのはおやめなさい.人の幸せを考えるようにするのです.

アーユルヴェーダ(インドの伝統医学)の医師ジョン・ドゥイラール:

幸せをうながす化学物質が細胞の中を流れるようにするためには,深く呼吸し,細胞の中の通り道から老廃物をとり除く必要があります.そこで,腹式呼吸は細胞の浄化にとても効果があります.体内に”プラナ”とか”気”と呼ばれるものを増やしてくれ,気持ちのいい状態をつくってくれるのです.私たちは毎日二万六千回呼吸していますが,どの一回もムダにせず深く呼吸するように心がければ,確実に体調はよくなります.

アーユルヴェーダの教え:

真夜中前の一時間の睡眠は,真夜中過ぎの二時間の睡眠より価値がある.

赤ちゃんやペットの世話をするときの気持ちを想像し,それと同じ優しさと愛情を自分の身体にも注いであげると,脳の中の若々しさを司る部分が活性化します.

多くの成功者は,世の中のすべてを理解できなくても,人生の全部を思い通りにできなくても,それはそれでかまわないと思っています.大きな愛と英知の存在を信じていて,流れに身を任せて生きています.

「幸せの国の百人」は,宇宙の力を信じていて,宇宙が人生に与えてくれるものをすべて受け入れようと考えています.(中略)”自分が今できるだけのことをして,あとは大きな力に任せておけば,すべてがベストな方向に向かっていく”と考えましょう.そうすれば,心はいつも穏やかで,焦ったり不安になったりしなくなります.

私たちは”自分の人生は自分で切り拓くもの”という考え方に凝り固まっていることが多いのですが,むしろ,困ったときにはいつも大きな力が助けてくれると考えて,「何が起こってもいい」という覚悟をもつことが幸せへの第一歩なのです.信じて待っていると,あなたの脳はどんな小さなきっかけやチャンスも見逃さなくなります.(中略)偶然の素晴らしさを噛みしめるようにするのです.そうすると,「大いなる力」が働いて,もっと素晴らしいことをあなたにもたらしてくれるようになるでしょう.

他の人のためになろうとすることが心の穏やかさや健康や幸福感につながるということは,数々の研究によって証明されているのです.

素晴らしい人間関係を保つための最大の武器は,ひと言「ありがとう」です.周りの人たちの支えに対して感謝の気持ちを伝えれば,人々はさらに助けてくれるようになり,絆はもっと強固なものになるでしょう.これが人間関係における「引き寄せの法則」です.

人をやる気にさせるもっとも効果的な方法は,具体的で誠実な褒め言葉によって「心のバケツを満たしてあげること」だと言っています.意識して身近な人を褒める習慣を身に付けましょう.

本当に満たされた人々は「みんな自分と同じ,誰もが愛と幸せを求めている」と信じて,大きな家族の一員だという気持ちから,いつでもどんなことでも人々の役に立ちたいと考えているのです.

数ある引き寄せ系の書籍と比較して,本書の特徴を挙げるとすれば,その1つは,気軽に取り組めるようなエクササイズが数多く紹介されていることだろう.瞑想の仕方だけでなく,様々な観点から,試してみるとよさそうなエクササイズが紹介されている.

目次も極めてミスリーディングなものにされてしまっているが,一応,記載しておく.

目次

  • 「脳の使い方がうまい人」には7つの特徴があった!―日常生活で、仕事で、勉強するとき…脳のすごい力を引き出す方法
  • 簡単で効果抜群の脳の「大そうじ」!―ワンパターンの脳から、いつも「刺激的」な脳へ
  • 脳に「ポジティブな回路」をつくる法―毎日、脳に「毒」を与えている人、「良薬」を飲ませている人
  • 「脳が一番喜ぶこと」を毎日する―こんな簡単なことに、なぜ気づかなかったのか!
  • 食事・運動・生活…脳細胞が元気なら、何でも思い通りに!―タフな脳にする「夜十時ルール」
  • 夢を楽々実現する、ハイパーエネルギーの秘密!―わけもなく楽しく、ハッピーな日々をつくり出す脳の力
  • 眠っている才能を目覚めさせる脳の刺激法―あなたの脳の得意技を探す「ミニ・パッションテスト」
  • こんな人とつき合えば、脳はいい刺激を受ける―「アクビがうつる」ように、人の脳のレベルも伝染する

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