3月 302010
 

それでも外資系で働きますか―Inside Gaishi
ミッキー・グリーン,ミンディ・ヤマモト,津田倫男,洋泉社,2005

日本国内にある外資系企業の支社・支店に就職・転職したいと考えている人達を主なターゲットとして,実力主義,高給,大きな権限など,外資系に対して良いイメージを持っている人達に,「外資系はそれほど理想的な職場ではありません.確かに良い面もありますが,恐ろしく悪い面もあります.まずは実態を知って下さい.」と諭しているのが本書「それでも外資系で働きますか」と言えよう.

外資系企業に務めた経験が豊富な著者3名が外資系企業の実態を暴露する内容だが,外資系企業に務めたことがない私には,本書「それでも外資系で働きますか」に書かれている内容がどこまで外資系一般に通用するものなのか全くわからない.かなり偏った見方であろうという印象は持ったが,それでも,確かに書かれているような面もあるのだろう.

日系企業と外資系企業における上司と部下の関係の違いについて書かれた箇所がある.印象に残ったので,そこだけ引用しておこう.

部下の育成に気を配り,愛情を持ちながらも毅然として部下に接し,部下のミスを庇い,自分の手柄も部下に与えるという「理想の上司」(あるいは理想の「本ジャパ」)は,外資系では必ず躓く.

理由は以下の通りである.

第1に部下を育成しすぎると部下から寝クビを掻かれる(下克上).

第2に愛情をもって接すると,時に「セクハラ」と間違われる.

第3に毅然としすぎると部下に恐怖感を植え付けてしまい(これは外資系では悪いことではないが),部下が本音を漏らさなくなる.

第4に部下のミスを庇うと誰も評価しないばかりか,時に職を失う羽目に陥る.

最後に,部下に手柄を与えると取って代わられる.まったくもっていいことはないのである.

部下は適当に育成し,決して自分を脅かすようなレベルの高い仕事はさせないのが賢く,愛情も厳しさも不要である.彼らとはただ,淡々と接してさえすればよい.ただし,忠誠心は絶対的に要求しなければならない(少しでも裏切ったら,即,切る).部下のミスは部下に責任を取らせ,部下の手柄は自らのものとする,などが外資系で成功する最低の秘訣である.

仮に外資系の実態がこの通りなのだとすれば,そこで働きたいとは微塵も思わない.では日系ならいいのかと言われると,それは分からない.だから,大学で働いている.

はずれかもしれないが,斜め読みすれば十分な本だから,外資系企業に興味がある人は読んでみたらいいだろう.

ところで,かつては日本にそれなりの部隊を展開していた外資系が,日本には末端だけ残して,中国(香港を含む)やシンガポールにアジア拠点や環太平洋拠点を置くことが多いような気がする.俺は外資系だよ!という貴方,日本のプレゼンスを高めて下さい.それができないようでは,日本人が外資系に勤める意味がないのでは? 個人的な金儲けや働き甲斐が目的なら日本人である必要はないだろうし,外国人なら日本のプレゼンスなんてどうでもいいし.

目次

  • マイナーからメジャーになった外資系
  • 日本人病と在日外資系企業
  • 日本は外国人にどう映っている
  • それでも外資系で働く論理
  • 外資系で気持ちよく働くためのケーススタディ

  2 Responses to “それでも外資系で働きますか―Inside Gaishi”

  1. ご無沙汰です。
    ボクは「外資系」ではなかったですが、上司のほとんどが「外資系出身」でした。某N毛さんがMS時代、人事部長に対して、「自分より劣ったヤツを採用したらお前クビ」と言っていたようです。この採用方針がベストだと思っています。
    読んではいませんし、読む気もありませんが、本書のような「不幸な外資系企業」もあり、またこれは外資系企業だけでなく日本企業にもあるでしょうしね。
    入ってみないと分からないし、そんな中でもうまくやっていくことができる方法もあるかもしれない。
    それが嫌なら、自分で自分の思う組織を作ればいい。だからボクは辞めたわけですが、その前の段階で色々ひぃひぃ言ってます笑

  2. 「自分より劣ったヤツを採用したらお前クビ」
    これ,いいですね.人事担当は大変ですが,これができないようなら,人事担当としての存在価値がないってことですね.

    「入ってみないと分からない」
    やっぱり,そうなんでしょうね.だから,入ってから,どういう心構えで仕事に取り組むかが重要なわけで,そういうことを考えもせずに,なんとなく就職したりすると,ろくなことがない.

    今日で3月もおわり.4月に入ってから改めて連絡しますね.

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