4月 152010
 

前期に学部生対象の講義を3つ担当する.そのうち3回生向けの講義の1つで,受講生の実態を把握するためにアンケート調査を実施した.そのために,プロセスシステム工学研究室専用に追加購入したTurningPoint ARSというツールを持ち込んだ.このオーディエンス・レスポンス・システムについては,「オーディエンス・レスポンス・アナライザー(クリッカー)の購入&評価」などに書いてある.次回以降,TurningPoint ARSを用いた確認テストの実施を目論んでいるので,今回はその小手調べという位置づけでもある.

以下,京都大学工学部3回生に対するアンケート調査結果の一部を紹介しよう.対象は担当講義の受講生なので高々50名であり,京大生,いや京都大学工学部生すら代表しないが,まあ,参考にはなるだろう.

大学生活(学内)は充実しているか?

凄く充実. 12%
それなりに充実. 50%
充実してない. 19%
もう辞めたい. 19%

衝撃的なのは,「もう辞めたい」という学生が19%もいることだ.確かに,大学とはいっても,3回生までは所詮は講義を受けるだけなので,面白くないものも多いだろう.私自身がそうだったように,4回生になって研究室配属されれば大学への印象もガラリと変わると思うが,それにしても,19%も辞めたいと思っているというのは凄いな...

大学生活(学外)は充実しているか?

充実.体育会やサークル. 41%
充実.アルバイト. 20%
充実.ゲーム. 7%
充実.学習. 2%
充実.その他. 20%
充実してない.何とかしたい. 5%
充実してない.させる気力もない. 5%

学内と比較して,学外では大学生として充実した生活をしているようだ.体育会やサークルで充実しているのは喜ばしいことだし,学外の学習で充実しているというのは凄い.かなり意識が高い学生だろう.一方,アルバイトで充実しているというのは危険だ.「京都大学新入生へのメッセージ」に書いたが,自分の能力向上に寄与しないようなアルバイトにはまり込むとまずい.アルバイトを否定はしないが,注意が必要だ.

社会経験&学費+遊興費稼ぎのアルバイトもしたらいい.ただし,自分の生き様を意識して,そのメリットとデメリットを分析しろ.月数万円の小銭に目が眩んで,大学時代に自己投資をしない(自分の能力を磨かない)ようではダメだ.

この回答での最大の問題は,もちろん,「充実してない.させる気力もない.」という学生の存在だ.一体,どんな人生を送るつもりなのか不思議で仕方がない.恐らく,そこまで考えていないから,やる気を起こす必要にも気付いていないのだと思うが,そもそも,自分の人生に責任を持とうという意欲のない学生が発生するのは,なぜだろうか.大学が悪いのか,高校までの教育か,家庭か,それとも本人か.もし,自分の大学生活が充実していないのは環境の所為だとでも考えているのだとしたら,甘いにも程がある.環境は自分が作り出したものだ.

大学での勉学に励んでいるか?

はい.全力で. 12%
はい.嫌々だけど. 23%
単位が取れる程度には. 46%
いいえ. 19%

正直なところ,まあ,こんなところだと思う.「嫌々だけど」と「単位が取れる程度に」で約7割を占め,「いいえ」も約2割いる.この結果は,大学が学生にモチベーションを与えるのに失敗していることを示唆している.問題なのは,これが大学世界ランキングで数十位の京都大学での調査結果だということだろう.

その原因は,研究者や技術者として日本の将来を担うことになる彼らにとって,それぞれの講義科目がどのように役立つのかを教員が学生に伝えていないことにある,と私は考えている.教員が各科目の重要性を信じていることは疑わないとして,その重要性を学生に伝えないと,学生のモチベーションが高くなるはずがない.もちろん,自分の人生なのだから自分で考えろというのも一理あるが,伝えるくらいは難しいことでもないし,それで学生が勉学への意欲を持つことができるなら,十分に価値はある.

例えば,数学.少なくとも工学部なら微積分や線形代数は必要だが,どのような応用があるかも示さずに,頭が痛くなるような数式の羅列で定理の証明を繰り返してみても,数学オタクでもなければ,興味を持てないだろう.レベルを下げる前にやれることはあるはずだ.

そうは言っても,結局は自己責任ということになる.勉強はしておけよ.

昨年1年間で本を何冊読んだ?

100冊以上. 0%
50冊以上. 16%
10冊以上. 32.5%
3冊以上. 32.5%
1〜2冊. 5%
読んでない. 14%

このブログでも何度となく話題にする読書についてだが,やはり本を読まない(読めない?)学生が少なくない.「京都大学新入生へのメッセージ」にも書いたが,人生のこの重要な時期に,良書を読むことを勧めたい.

雑学じゃない,教養を身に付けろ.本を読め.くだらない本ではなく,古典や良書を読め.教養のない理系なんて,社会に出て馬鹿にされるだけだ.

単に知識の量という問題ではなく,いかに生きるかということを真剣に考えるにあたって,読書を通して学べることは極めて多い.このブログでは,「年齢別の本棚: 心から推奨する書籍」に,勝手に厳選した本を紹介している.「高校生〜大学新入生に勧めたい本」や「大学生〜大学院生に勧めたい本」としてまとめてあるので,是非とも,それらを読んでみて欲しい.数冊でも読めば,必ず心に響くことがあるはずだから.

他にも色々と質問してみたのだが,紹介するのは,ここまでにしておこう.これだけでも,十分に考察する価値のある情報を含んでいるだろうから.もちろん私はアンケート調査結果のさらなる分析をしており,一教員としての活動にフィードバックする.

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