6月 142010
 

リーダーになる人に知っておいてほしいこと
松下幸之助(著),松下政経塾(編),PHP研究所,2009

松下政経塾のテキストとして企図されたもの.「序にかえて」には,松下政経塾の塾是が示されている.松下幸之助氏は,塾生に対して,塾是と塾訓の内容について自問自答し,100%実行できるようになることを求めた.「百ぺん毎日唱えや」というわけだ.確かに,いくら素晴らしい言葉を見聞きしたところで,身に付けなければ意味はない.そのためには,毎日唱え,ひたすら実践するしかない.加えて,松下幸之助氏は掃除の大切さを繰り返し強調している.一見つまらないことのように見える掃除をきちんとできれば,人間としての基本は大丈夫だと.何事をも為せると.知育偏重の昨今の教育が見失ってしまったもののように思う.

松下政経塾塾是

真に国家と国民を愛し
新しい人間観に基づく
政治・経営の理念を探求し
人類の繁栄幸福と
世界の平和に貢献しよう

本書「リーダーになる人に知っておいてほしいこと」において,I部3章は松下政経塾塾訓,II部5章は松下政経塾五誓にそって,松下幸之助氏が塾生に語った言葉を未公開テープからおこし,編集されている.

松下政経塾塾訓

素直な心で衆知を集め
自習自得で事の本質を究め
日に新たな生成発展の
道を求めよう

松下政経塾五誓

  • 素志貫徹のこと
    常に志を抱きつつ懸命に為すべきを為すならば、いかなる困難に出会うとも道は必ず開けてくる。成功の要諦は、成功するまで続けるところにある。
  • 自主自立のこと
    他を頼り人をあてにしていては事は進まない。自らの力で、自らの足で歩いてこそ他の共鳴も得られ、知恵も力も集まって良き成果がもたらされる。
  • 万事研修のこと
    見るもの聞くことすべてに学び、一切の体験を研修と受けとめて勤しむところに真の向上がある。心して見れば、万物ことごとく我が師となる。
  • 先駆開拓のこと
    既成にとらわれず、たえず創造し開拓していく姿に、日本と世界の未来がある。時代に先がけて進む者こそ、新たな歴史の扉を開くものである。
  • 感謝協力のこと
    いかなる人材が集うとも、和がなければ成果は得られない。常に感謝の心を抱いて互いに協力しあってこそ、信頼が培われ、真の発展も生まれてくる。

合計48項目にまとめられているが,その中から,印象に残った言葉をメモしておこう.

素直な心になることは非常に大事やけれども,そう簡単になれん.(中略)朝起きたら,仏壇のあるところやったら仏壇,神棚のあるところやったら神棚の前で,「きょう一日素直な心で無事にいかせてください」と心に念ずる.

知識については,諸君は大学を出てきたりしているんやから,ある程度までは知っている.したがって,知識を再勉強する必要はないと思う.そうであれば,いま言うたような人間の把握ができれば,いちばんいいわけや.そういう人間についての把握ができていなければ,知識が進むほど問題が多くなってくる.ついには知識と知識とが噛みあって,ケンカばかりしているということになる.

もう諸君は教えられて学んでいくという年と違う.そうやない,自分で学んでいかないといかん.これからも教えてもらえると思うとったらたいへんなまちがいや.

諸君は大学で人間について研究したか.

いちばん大事なことは,自分の思いというものは,その思いそのものにまちがいがなければ必ず達成できるということや.

業績とは一見関係がないように思えるけれども,まず人間としての基本的なところ,人間を育てていくということが大切だ.掃除がきちんとできていればまず大丈夫なわけや.そういうきわめて簡単な第一歩からやる.これができているところは必ず伸びる.実際やってみると,簡単なものほどむずかしい.一事が万事,基本をきちっとやることやな.

お礼の手紙を書いたか.出したか.どういう手紙を出したんや? むこうが感動するような手紙を書いたか.

自分というものを使いこなすことができなかったら,人を使いこなすことなどできない.

自分専用の理念か訓言を定めて,百ぺん毎日唱えよう.まじで.

目次

成功するために知っておいてほしいこと

  • 素直な心で衆知を集める
  • 自修自得で事の本質を究める
  • 日に新たな生成発展の道を求める

リーダーになる人に知っておいてほしいこと

  • 素志貫徹―道を切りひらくために
  • 自主自立―知恵と力を集めるために
  • 万事研修―すべてに学ぶ人となるために
  • 先駆開拓―新たな歴史の扉を開くために
  • 感謝協力―真の発展を目指して