8月 052010
 

幼稚園の先生になることを夢見て大学で学び,晴れて幼稚園教諭普通免許状を取得して幼稚園に就職したのに,一年も経たずに辞めてしまう無責任きわまりない大学卒業生が増えているそうだ.辞める理由は,「幼稚園の先生がこんなに大変だなんて知りませんでした」ということらしい.また,そのような卒業生を輩出している大学は,幼稚園からのクレームに対して,「すみません.最近の学生は我慢ができなくって」と回答するらしい.ふざけるなと言いたいところだが,未熟な学生に免許状を与えているのは国が定めた制度である.現在の教員養成は制度的に破綻しているということを認めないといけない.

まず明らかに問題なのは,仕事の内容を全く把握せずに,妄想だけで教育職に就いているという事実だ.教員として為すべき責務を理解し,自分に適正があるかどうかを見極める機会を提供するために,長期教育実習が必要なのではないだろうか.数週間程度,お客さんとして教育機関に滞在するのではなく,半年から1年,実際に仕事をしてみることが必要だと思われる.授業をするだけではなく,むしろ裏方的な仕事を経験することが大切だろう.これで適正のない教員候補を篩い落とすことができれば,本人のためにも,園児や生徒のためにも,教育機関のためにもなる.当然,これは幼稚園に限った話ではない.

このような長期教育実習を実現するために取り組むべき課題は,受入体制の整備だろう.ただでさえ疲弊している教育現場の負担を今以上に増やしてしまえば,教員養成云々の話でなくなってしまう.「実習公害」と呼ばれる現象がある.教員志望でもないのに教育実習に参加する学生が多く,それによって教育現場が被害を受けている状況を指した言葉だ.現状の教育実習がそのような惨状であるとしても,実習期間を長期化すれば,お客さんとしてではなく,教員見習いとして仕事を割り振ることもできるだろう.

教育実習の長期化も含めて,まともな教員を養成できる制度を整えようとすれば,教育期間の延長が必要になるかもしれない.具体的には,大学院修士課程修了を免許取得の必要条件とし,大学院で長期教育実習に取り組むなどだ.実際,経済協力開発機構(OECD)による国際学力調査(PISA; Programme for International Student Assessment)で世界一位にランクされるフィンランドでは,教員になるためには大学院修士課程を修了していなければならない.さらに,国外滞在経験なども要求される.日本国内でも,まだ個別的ではあるが,このような方向での取り組みが行われ始めているので,今後に期待したい.

話を元に戻すが,一年も経たずに辞めてしまう無責任きわまりない教員(もどき)を輩出するような大学は,社会的責任を果たしていないのではないだろうか.存在意義があるのだろうか.ある確率でそのような卒業生がいるのはやむを得ないとしても,何かしらの歯止めをかける仕組みがないのはおかしい.

最後に1つ付け加えておくと,まともな教員を養成することに加えて,無分別な親を発生させない社会をいかにして構築するかも課題だろう.

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