8月 102010
 

プロセス制御工学の受講生に回答してもらった講義アンケートに目を通しました.

「熱意が感じられた」,「スライドがわかりやすい」,「MATLAB演習が興味深い」,「過去問やスライドなどウェブが充実」,「クリッカーでのアンケートが秀逸」,「挿話(人生論)が役立った」,「読書するようになった」など数多くの高評価に感謝します.出席して良かったと感じてもらえれば有り難いです.

高く評価してもらったところは素直に喜ぶとして,以下では敢えて,「改善を要する点」として指摘したもらった項目を取り上げて,コメントしていきます.来年度以降に活かさないと意味がないので.

講義に関する指摘

  • (スライド利用のため)講義の進度が速い.
  • 手元にレジュメ(配布資料)が欲しかった.
  • 板書を増やして欲しい.
  • MATLABの演習時間を増やして欲しい.ついていけない.
  • もっとアンケートを取り込んでいくと,講義のポイントがおさえられる.
  • 講義に今一つ緊張感が感じられなかった.

講義を進める速さについては,「ちょうど良かった」という意見もあったが,「もう少し遅くして欲しい」という意見の方が多かった.確かに,スライドを用いて講義すると,板書と違って,テンポが速くなる.

ところで,テンポが速いと何が問題になるだろうか.板書を増やして欲しいという意見が複数あったが,スライドの代わりに,スライドに書いてあることを板書すればいいのか.それって,時間の無駄ではないのか.極端な話,教科書をそのまま板書して,それをノートに書き写したいと思うか.そんなわけはないはずだ.教科書に記載されていること,されていないことを含めて,講義で伝えたいことはスライドに書いてある.その上で,適宜補足をしながら話をしている.教科書とスライドがあれば,それほど多くをメモする必要はないはずだ.まさか,スライドに書いてあることをメモしようとしているのか.それは愚かだぞ.そんな馬鹿な真似をしなくて済むように,ウェブサイトでスライドまで公開しているのだから.実際,スライドを活用している学生は,「公開情報が充実している」と評価してくれている.でも,「手元にレジュメ(配布資料)が欲しかった」と回答してくれた学生がいるということは...残念だ.必要なら,スライドをプリントアウトして持参すればいい.それをしないのは努力不足と言われても仕方ないのではないか.

私が反省すべき点は,スライドを用いる講義を効果的に受けるための方法を学生に伝えなかったことだろう.来年度は,最初の講義で,講義の受け方を述べるとしよう.

ただ,この点を差し引いても,教員がマシンガントークしかねないため,スライドでの講義はテンポが速過ぎるという指摘はありうる.実際,早口だという指摘も1件あった.これは反省しないといけない.

先を急ぎすぎて,学生が理解しないままにならないように,講義中には,できるだけ具体的な例を紹介し,学生に質問するようにした.この点を高く評価してくれていた学生も多かった.

MATLAB/Simulinkを用いた制御系設計の演習についても,非常に役立ったという回答と共に,速過ぎるという回答が複数あった.正直,これは難しいところで,ソフトウェアを利用する演習を遅い学生にあわせてやると,時間中にできることが非常に少なくなってしまい,手際の良い学生を退屈させてしまう.今以上に演習時間を増やすことは難しいので,様々な制御シミュレーションの実行を宿題として課すことで,演習時間にゆとりを持たせることになるだろう.どのような構成にすべきか,改めて考えてみることにしよう.

オーディエンス・レスポンス・システムをもっと使って欲しいという意見も多かった.今年度から導入したため,色々と不手際もあったが,学生の反応は非常に良かったので,より効果的に利用できるように工夫していきたい.

さて,問題は最後の「講義に今一つ緊張感が感じられなかった」というコメントだ.試験結果から判断するに,恐らく,だから勉強に身が入らなかったということだろう.具体的に何が問題だろうか.気が向いたら教えて欲しい.

宿題・テストに関する指摘

  • 宿題でできなかった部分のフォローが欲しい.
  • 実際に問題を解いて欲しい.
  • 中間テストの解答が欲しい.
  • テスト問題が一連の問題で,初めにつまづくと全滅の恐れがある.

毎回,宿題を課して,採点したレポートを返却した.その間違ったところについてフォローが欲しいということだが,少なくとも大勢が犯した間違いについては,それを指摘しておく必要があるだろう.来年度からは,できるだけそのようにしよう.ただ,すべての問題を解説している時間も,実際に問題を解いている時間もない.略解は教科書の末尾にあるので,教科書の例題をしっかり修得すれば,自力で解けなくはないだろう.そのために,教科書では例題を充実させてある.

中間テストの解答については,公開は予定していない.宿題と同様に,ほとんどは自力で解けるはずの問題であり,解けなければ質問すればいい.実際,講義終了後に,宿題や中間テストの問題について質問しに来てくれた学生は多い.あるいは,友人に尋ねてもいいだろう.これからの人生,すべてを自分一人でやれるわけではない.人の助けを借りなくては何もできない.人とうまくコミュニケーションが取れないと何かと苦労もする.講義に関係ないと言われればその通りだが,そういう能力もしっかりと身に付けて欲しい.

期末試験の問題については,ストーリー性を持たせているため,各問いが完全にバラバラにはならない.講義中に何度も繰り返したが,講義の目的は,自力で制御系を設計できるようになることだ.専門用語を覚えることでも,計算ができるようになることでもない.制御対象のモデリングから始まり,PID制御器の設計,その評価と再調整,さらに制御性能を改善するための制御手法の選択へと,実際に制御系設計をするときに経験するであろう手続きを,期末試験では再現しようとしている.このような問題がきちんと解けてこそ,プロセス制御工学を修得できたのであり,単位を認定されるに値する.中途半端な知識なんて何の役にも立たない.ただ,さすがに全滅はまずいので,複数の部分に分けて,途中から復活できるようにはしている.目標は,試験時間中に,試験を受けた学生の実力を向上させることだ.できるだけ全滅を避けつつ,目標を達成できるように,来年度以降も考えていこう.

その他の指摘

  • 自宅でpowerpointを使えない人がいるので,ウェブ公開しているスライドはPDFの方が良い.
  • プロセス制御に具体性が感じられない.
  • オススメ本のまとめ下さい.

了解.Powerpoint版に加えて,PDF版も公開するようにします.

「具体性が感じられない」というのは厳しい.どうしようか.企業での実際の事例も含めて,具体的な例を用いての説明が非常に良く,プロセス制御を身近に感じられたという回答もあったのだけれど...正直,ちょっと対策が思い浮かばない.提案があれば是非連絡ください.

オススメ本については,講義中にも数冊ほど紹介したが,「年齢別の本棚: 心から推奨する書籍」に簡単な紹介と共にまとめてあるので,参考にして欲しい.