8月 282010
 

お父さんのための子どもの心のコーチング
菅原裕子,リヨン社,2009

タイトルの通り,父親を対象とした育児の本.読みやすく,ポイントをおさえて,よく書けている.育児本を読んだことがない父親にはお勧めだ.本書に限らないが,育児に関する本を読んでおくのは良いことだと思う.気付きが得られる.

私にとっては,本書に書かれている内容に新鮮みは全くなかった.すべて既に知っていることだった.何しろ,育児本については,「子育てハッピーアドバイス」のようなお気楽なものからシュタイナーやピアジェなどの教育論まで数十冊を読んできたのだから.だが,知識があることと実行できていることとの間には深い溝がある.自分に何ができていないかを再確認する意味で,本書のような情報に時々目を通すのは価値がある.

夫は,支えたいからこそ,妻の悩みに耳を傾け,解決策を出し,アドバイスし,明快な結論を出しているのです.そうすれば,きっと妻もすっきりするだろうと思っているのです.でも,妻はすっきりするどころか,夫の態度を,自分や子どもへの無関心と捉えてしまうのです.聞いてもらおうと話しているのに,適当に結論づけられたように感じて,本当は子どもにも自分にも関心がないんだと思ってしまいます.

耳が痛い.私がよくやる過ちだ.大学で教育と研究に携わっているが,多くの企業との共同研究では主としてコンサルティングを行い,課題があると聞けば,問題の所在を明確にし,速やかに最善の解決策を提示するという作業を何年も続けているわけだ.大学院での専攻はプロセスシステム工学であり,それ以来20年近くも,目の前にある問題を解析し,評価関数(目的)と制約条件を明確にし,最適化問題として定式化して,その解決策を探すというアプローチを実践してきた.この一連の作業は無意識下で行われるものであり,家庭においても,それが問題であると認識されれば,この最適化が発動する.つまり,速やかに解決策を提示する.そんなことは少しも彼女は期待していないのに...

本書「お父さんのための子どもの心のコーチング」を読むと,親子関係や夫婦関係について,「そうそう.うちも同じだ」ということが多々あるだろう.育児の機会を大切にしたい.自分が成長するためにも.

これまでに私が大量に読んだ育児本の中で特にお勧めできるものは,「年齢別の本棚: 心から推奨する書籍」の「親になる人,なった人に勧めたい本」にまとめてある.参考にどうぞ.

目次

  • お父さんの役割って何?
  • 成長段階別・お父さんにできること
  • 子どもの自立を促す三つの力
  • 自分と子どものために仕事を見直す
  • 心豊かで賢い子どもに育てるために
  • 夫と妻と二人で子育て