9月 052010
 

先日プラハで開催されたECCE 7 & CHISA 2010にて,衝撃的な発表があった.

今回,私自身の発表は”Distillation and Absorption”というセッションの3番目に割り当てられた.4日間にわたって開催される会議の最終日の午後と,まあ,良い場所とは言い難い.最終日には帰ってしまう参加者も少なくないためだ.一方で,関西国際空港からフランクフルト経由でプラハに向かうルフトハンザ航空の機内で発表用スライドを作成開始したため,時間的余裕があるという意味では好都合だった.朝食前と夕食後の時間をスライド作成と発表練習に費やし,いつも通りの発表だったと思う.オランダの教授には,セッション終了後,アイスクリームを食べながら,「日本人の発表の中では最高だったぞ」と言ってもらった.しかし,それは褒めてるのか??

衝撃的な発表は,その”Distillation and Absorption”のセッションの1件目だ.

年配の教授が演台に立ち,発表原稿を読む.原稿を見ないで何を言ってるのかサッパリ分からないよりは,原稿を読んだ方が100倍良いので,これは問題ない.しかし,スクリーンに投影されたスライドは,細かい文字だらけで,蒸留塔の図が出てきても,図中の文字が小さくて読めない.聴衆に理解してもらおうという気があるのか.既に大御所なので,誰も進言してくれはしないのだろう.10枚目くらいのスライドで,ポインターで図を指したときには,「おぉー,ポインターを使った!」と感激してしまったほどだ.

それでも,これだけなら発表が上手ではないというだけで,衝撃的とまでは言わない.衝撃的だったのは,その後だ.

今回の学会では,口頭発表の時間は1件20分で,15分間の発表と5分間の質疑応答が目安とされていた.しかし,15分以内で発表を終える人は希で,20分ギリギリまで話す研究者が多い.このため,終了3分前(17分)くらいになると,座長(司会者)が立ち上がるなどして,「そろそろ終われよ」という合図を送る.普通なら,それで発表を急ぐのだが,この年配の教授はマイペースだ.まるで意に介す気配がない.

そして,20分が経過した.この段階で,スライドのタイトルは”set up”,つまり実施した実験の設定条件についての説明だ.ということは,この後に,”results”があるのは間違いない.本来,ここで座長が強制介入して,もう時間切れだから発表を締めくくるようにと指示すべきところだが,若いために遠慮したのか,座長は心配そうに立っているだけだった.

そして,25分が経過した.まだ実験結果について話している.これが面白い発表ならまだしも,実に退屈な発表だから,始末が悪い.会場にはしらけた雰囲気が蔓延している.よっぽど,立ち上がって,座長に「発表を止めさせるべきだぞ」と注意しに行こうかと思ったほどだ.しかし,流石に座長もこのままでは拙いと思ったようで,「もう時間が過ぎている」と発表者に注意した.

“No Problem!”

これが発表者の回答だった.衝撃を受けた.発表を5分も超過していて,座長から注意されて,「問題なし」って,どういうことやねんと.しかも,この発表者も座長(座長は2人1組で務める)で,本来はセッションの進行がスケジュール通りに行われるように気を配るべき立場なのにだ.

結局,発表は27分ほどで終了した.

実は,衝撃的だったことが,もう1つある.この状態で,座長が質問を受け付けたのだ.ありえない...

学生を含めた若手研究者に伝えたい.プレゼンテーションは上手にやれよ.それで自分の価値を高めることができるのだから.スライドと原稿の作成,そして練習には,決して手を抜くべきではない.研究の中身並みに重要だと思うのがいい.

学会発表・論文作成に関するアドバイス」が参考になるだろう.

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