10月 082010
 

現在,台北で開催されているアジア・パシフィック地域の化学工学の国際会議APCChE(Asia Pacific Confederation of Chemical Engineering Congress)に参加している.驚いたのは,京都大学化学工学専攻の教授(准教授を含まず)が6名も参加していることだ.これだけの教授が1つの国際会議に参加することなど,ほとんどありえない.参加理由は各々だが,招待講演のためか,学会事情のためかである.そういう私も,招待講演を依頼されたので参加している.

参加者は約1000人とのことだが,半数以上は台湾からの参加だ.台湾のドメスティックな学会を同時開催しているためらしい.会議のレベルは決して高くない.

この国際会議APCChEのプレナリー講演の1つが,アジア・パシフィック地域の化学工学教育に関するものだった.講演者が所属するメルボルン大学での取り組みを中心に,アメリカでの取り組み,ヨーロッパでの取り組み,そして中国での取り組みが紹介されたのだが,JapanのJの字も登場しない.化学工学卒業生数の統計でも,中国が欧米を圧倒しつつあることが示されたが,日本には全く言及がない.すっかり蚊帳の外だ.まあ,日本は研究に比して教育を蔑ろにする傾向が強いので自業自得であるように思えるが.それにしても,アジア・パシフィック地域の会議で全く無視されているというのは情けない話だ.

教育内容に関しては,昨今の流行そのままに,化学工学のカリキュラムに分子生物学などを取り込むべきという意見も述べられた.しかし,本当にそうなのだろうか.もちろん,分子生物学は研究分野として魅力的だが,研究者育成のみならず,産業界に有能なエンジニアを輩出することを目的とするのが化学工学であるならば,果たして分子生物学などにそこまで拘る必要があるのだろうか.私が不勉強なだけかもしれないが,少なくとも現時点で,バイオ系の知識を学生が持っているからといって,それで産業界から引く手数多であるというような話は聞かない.

とりあえず,自分自身を再定義するところから始める必要があるのだろう.これができないなら,衰退もやむをえない.

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