11月 082010
 

今回の米国コネチカット州グロトン訪問の目的は,ファイザーでの打ち合わせだ.金曜日9〜18時と土曜日9〜13時のみっちり一日半にわたって,打ち合わせ,マネジャーとの挨拶,ラボツアー(研究施設見学)をしてきた.

巨大グローバル製薬企業であるファイザー(Pfizer Inc)は研究拠点(Global Research & Development)を世界に2カ所持っている.1つは米国コネチカット州グロトン・ニューロンドンの研究所(Groton/New London Laboratories)で,もう1つは英国南東部にある研究所だ.

秘密を漏らすわけにはいかないので,以下に,雑談内容を紹介しよう.

博士(Ph.D)について

グロトンの研究所には,3000〜4000人の従業員がいるとのことだ.ただ,最近は新規採用が少なく,レイオフ(リストラ)ばかりやっているので,従業員数は減少傾向にある.従業員の80%以上は博士の学位を持っている(Ph.Dホルダー).研究開発に携わる従業員は博士(Ph.D)を持っているのが当然であって,博士(Ph.D)を持っていないと話も聞いてもらえない,というのが現実だそうだ.修士課程卒の日本人なんて,社交辞令的にはともかく,研究開発レベルでは全く眼中にない.

マネジャーと話をしていたときに,学生の就職についての話題になり,日本では学生が博士課程に進学せず,企業は修士課程卒を大量採用していると言うと,とても驚いていた.まったく意味わからんという感じで.

ただ,大量の博士(Ph.D)が十分な成果をあげているのかというと,必ずしもそうでもないらしい.その原因は,個々の研究者が自分の専門分野に閉じ籠もりがちなことにあるようだ.分析系の研究者であれば,クロマトならクロマト,分光なら分光しか興味がないというように.そのため,視野が狭く,挑戦的でないというコメントもあった.日本で企業が博士を積極的に採用しない理由も,これだろう.そういう意味では,大して変わらないのかもしれない.しかし,研究開発部隊は博士(Ph.D)を持っていて当然という米国と,ほとんど修士卒だけで研究開発している日本の格差は大きい.

勤務時間について

タイムカードはなく,適当に来て,適当に帰る.暗黙の了解となっている就業時間は9〜17時だが,あくまでも目安でしかない.

訪問初日の金曜日は,朝9時前に研究所に入ったが,既に駐車場は一杯だった.みな,朝は早く来るようだ.金曜日の夕方にラボツアーをしてもらったが,ツアーが終了した5時半頃には,ほとんどのオフィスが真っ暗になっており,研究棟は静寂に包まれていた.平日がいつもこうなのかは不明だが,少なくとも,週末の金曜日には,みんなサッサと帰宅するらしい.

土曜日には,駐車場も研究棟も閑散としていた.人影は疎ら.普段なら,土曜日には誰も来ないが,社内の研究発表会が間近に迫っているため,その追い込みで出勤している人がいるのだろうとのことだった.

職場について

博士(Ph.D)を持つ研究者には,つまり従業員の80%以上には,個室が与えられる.建物の新旧はバラバラで,部屋の内外装もバラバラだが,部屋には大きな机が1つ,本棚,打ち合わせができる小さなテーブルと椅子があるといったところか.ほとんどの個室のドアは開け放たれたままで,臨床データを扱っている人達には施錠が命じられているが,普通の研究者はドアを閉めないようだ.

棟内には,昼食を取れるカフェテリアのほか,スターバックスなどのコーヒーやパン,ソフトドリンク,スナックなどを買えるスタンドがある.金曜日の昼食は,そのカフェテリアに連れて行ってもらった.

廊下には,世界地図が張り出してあって,従業員がそれぞれの出身地に旗を立てていた.日本人は少ない.最近は,中国人の数が増えているとのことだ.アメリカ国内では,東海岸北部出身者が圧倒的に多い.

その他,廊下には,アート作品も多数飾られていた.さらに,ペットの写真や患者さんの写真も掲げられていた.患者さんの写真があるのは,研究者も患者さんのことを考えて仕事をしろということらしい.

上司と部下の関係について

部下にとっては,直属の上司の評価が自分の生き残りを左右するため,上司には絶対服従するのが原則だ.もちろん,査定では周囲の評価も重要だが,上司が首だといえば,自分の居場所はなくなる.このため,辞める気がないなら,上司と険悪な雰囲気になってはいけない.

そのような環境にいたら,不満もたまることだろう.それゆえ,建て前と本音の格差は凄まじく大きいようだ.生き残りのためには,和を大切にしている(ように見せる)ことが非常に重要なのだそうだ.

人間関係の難しさは,世界共通か.

インターンシップについて

インターンシップも積極的に実施しているそうで,期間は6ヵ月とのこと.最近,日本でもインターンシップを実施する企業が増えてきたが,期間は2〜3週間くらいだと言うと,「はぁ?」という反応だった.これまた,まったく意味わからんという感じで.

ただ,インターンシップと採用は全く関係ないようだ.ファイザーの研究所の場合,新卒採用は非常に少なく,ほとんどは中途採用らしい.

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