12月 202010
 

12月18日(土)に,京都大学プロセスシステム工学研究室の有志同窓会組織であるがアルムナイ7ネットワークが主催する「最適会2010=最適研究会+最適飲み会」を開催しました.今回も中身の濃い講演会と懇親会だったので,至極簡単にですが,まとめておきます.

10分でわかるPSE研究最前線

最初に,修士課程2年の学生3名(うち2名は博士課程進学予定)が,それぞれの研究について熱く語ってくれました.発表の持ち時間は10分のみ.その短い時間に,自分が目指しているものを卒業生に伝えなければなりません.当然ながら,些末なことを説明している時間はありません.解くべき問題は何か,その問題を解決できると社会がどう変わるのか,その重要な問題をどうやって解こうとしているのか,などがポイントです.

中でも重要なのが,自分の研究が社会に与える影響を魅力的に語れることです.マニアックな研究者が聴衆ではないのですから,これができないなら,誰も興味を持ちません.

学生3名の講演は下記.

  • データ解析が医薬品業界に革命をもたらす!そして人生にも!?
    金君(京大PSE研)
  • 真に必要とされる異常検出システム構築を目指して
    坂田君(京大PSE研)
  • Data-Based Fault Diagnosis of Power Cable System: Comparative Study of k-NN, ANN, Random Forest, and Boosted CART
    Ahmad君(京大PSE研)

テレビニュースの動画が登場するなど,実によく準備された講演になっており,楽しませてくれました.

参考までに,プレゼンテーション能力を高めるために学生に読むことを強く推奨している本(プロセスシステム工学研究室課題図書)を3冊,紹介しておきます.

これまで私が読んだ本の中から厳選した3冊ですので,好みの問題はありますが,読めばプレゼンテーション能力を高めるのに役立つでしょう.この3冊は,それぞれ全く異なる視点から書かれているので,重複もあまりありません.お勧めです.

講演: あなたがこれまでリーダーシップを発揮した経験を教えてください

冨成君(プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン株式会社)

今年は1年の1/3程度を海外で過ごしたという冨成君の講演.P&Gのベビーケア製品の製造に関してアジア全体を統括する立場にあり,市場の成長が著しい中国や東南アジアに滞在することが多いそうだ.当然,日本人とは比較にならないほど自己主張の激しい外国人を束ねて,プロジェクトを進める能力が求められる.そもそも,P&Gは技術職ではなくマネージャー職として採用しており,入社試験のときから,リーダーシップについて徹底的に審査されている.

講演では,P&Gにおけるリーダーシップの捉え方についても紹介してもらった.例えば,GROWモデル.GROWとはGoal,Reality,Options,Willの4ステップであり,まず目標を定め(Goal),現状を把握し(Reality),選択肢を挙げて(Options),意志を持って取り組む(Will).当たり前のことではあるが,これを当たり前のようにできる人は多くない.だからこそ重要なわけだ.

さらに,リーダーシップの3E.これは,Envision,Energize,Enableとのこと.Vision,Needs,Capabilityが重なり合うところを見極めないといけないとの指摘もあった.

研究室の学生が聞いていることもあり,冨成君が就職活動に励む京大生を観察して感じていることとして,リーダーシップについて考えていない,あるいは考え出すのが遅いということを指摘してくれた.まあ,言われたことだけをやるという悪習が身に染みついてしまっているから,これを打破するのは容易ではない.それでも,京都大学を卒業できるほどの人材には,リーダーとして活躍することが期待されているので,自覚してもらいたい.

研究紹介: 半導体・製薬・化学・鉄鋼産業における品質実現力強化 〜産業界に共通する課題とその解決に向けた取り組み〜

加納(京大PSE研)

卒業生に研究室の研究動向を伝えるという目的で,私からは,データ解析グループが取り組んでいる研究について紹介させてもらった.

講演: 社会で活躍する人材とは? 〜リーダー育成の現場から〜

中井君(株式会社グロービス)

凸版印刷,日本オプネクストを経て,現在,グロービスでコンサルティング(人材育成)業務に携わっている中井君の講演.彼が製造業からコンサルティング(人材育成)へと転身したのは,製造業の現場において,組織の成果はリーダー・マネージャー次第であることを痛感したためだ.人材の育成に関わる仕事がしたいという想いでグロービスに入社した中井君からは,グロービスのヒト・カネ・チエを結びつけるという方針や人材育成事業について紹介があった.

リーダー育成については,リーダーの資質を行動,能力,意識の3つにわけて,表面に現れる行動は,その下に隠れた能力と意識の反映であるとする氷山モデルなどについて説明があった.また,リーダーに必要なものは何かと問い,リーダーシップも必要だが,リーダーシップを支える基盤として,世界観,歴史観,人生観,倫理観,使命観が必要であるとも語ってくれた.これらは,彼が様々な企業のトップマネジメントと面談をする中で強く感じていることだという.トップマネジメントは,特に人材育成に熱心なトップマネジメントであるほど,人間性(全人格)を高めることを部下に求めているのだという.その上で,数多くの書籍を紹介してくれた.学生にも卒業生にも是非読んで欲しいと思う.その前に自分が読まないといけないが...

最適飲み会

最適研究会の後は,京都大学桂キャンパスから四条河原町界隈に場所を移して,最適飲み会を開催した.参加者は40名ほどだったか.多くの卒業生が駆け付けてくれて,実に楽しい懇親会だった.学生にとっても,無茶苦茶,素晴らしい機会となったことだろう.

御礼

今年も,最適会=最適研究会+最適飲み会に,多くの卒業生が遠くからも来てくれて,本当に有り難く思っています.こういう会を持てるのは幸せです.ありがとうございました.