12月 242010
 

スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則
カーマイン・ガロ(著),井口耕二(訳),日経BP社,2010

プレゼンテーションをうまくなりたいなら,つべこべ言わずに,本書「スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン」を読め!

本書で著者は,アップルのファンを熱狂させるのみならず,プレゼンの手本として絶賛されるスティーブ・ジョブズのプレゼンを分析し,その成功の秘訣をわかりやすく解説してくれている.ここで推奨されているプレゼンと自分のプレゼンを比較すれば,何が問題かを認識できるはずだ.

実際,プレゼンは上手い方だと身勝手に信じている私も,本書から得るものは多かった.そのせいで,先日開催した「最適会2010=最適研究会+最適飲み会」の講演に先立ち,スライドをすべて書き換えたほどだ.

実は,ここが重要なところだ.私はスライドをすべて書き換えた.寝る間を惜しんで書き換えた.元のまま放っておけば楽できるのにもかかわらず.本を読むだけの人と,実際に行動してみる人の差は決して小さくない.本書「スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン」を読めと書いたが,読んでも実践しなければ身に付かない.本当にプレゼンテーションをうまくなりたいなら,実践することを忘れてはならない.

本書で強調されている点は次の3点だ.

  • 第1に,プレゼンで伝えようとするモノに情熱を持つこと.
  • 第2に,聞き手が興味あることを,わかるように伝えること.
  • 第3に,練習し,練習し,そして練習すること.

スティーブ・ジョブズのカリスマ性は,世界を変えたいという彼の情熱に根差している.彼の講演が人々を熱狂させるのも,彼の情熱がプレゼンに魂を吹き込むからだ.情熱を持って語るべきモノがないのに,プレゼンのテクニックだけを身に付けても,大した意味はない.もし情熱を持って語るべきモノを持っていないなら,プレゼン本を読むより,人生を賭けて取り組めるモノを探した方がいい.

悪いプレゼンは,講演者の独り善がりになっている.自分が語りたいことを語っている.それでは魅力あるプレゼンにはならない.大切なのは,聞き手を動かすことだ.そのためには,聞き手が知りたいことを教えてあげなければならない.スティーブ・ジョブズは,アップルの製品がユーザの生活をどう変えるか,世界をどう変えるかを語る.しかも,難解な言葉や専門用語は使わない.磨きに磨き抜かれた言葉,誰にもわかる言葉で,なぜその製品を持つべきなのかを伝える.だから,聞き手はどうしても欲しくなる.

箇条書きは使わない.文字はできるだけ使わず,写真やイラストを使う.動画も活用するが,時間は短くする.台本の棒読みはしない.3点ルールを守る(この記事でも実践している).等々,実に多くのアドバイスが本書には書かれているが,決定的に重要なのは,練習することだ.著者は,スティーブ・ジョブズがどれだけ講演の準備に時間をかけているか,練習にどれだけ真剣に取り組んでいるかを繰り返し強調している.その上で,練習すれば,スティーブ・ジョブズのようなプレゼンテーションができるようになると激励している.

最後に,もう1つ.

先日,「最適会2010=最適研究会+最適飲み会のまとめ」にも書いたが,上手にプレゼンできるようになるために,現時点で私が強く推奨する本(プロセスシステム工学研究室課題図書)が3冊ある.多くの招待講演をこなし,色々なプレゼン書籍を読んできた私が厳選した本だから,プレゼン能力を高めたいあなたの役に立つと思う.

目次

第1幕 ストーリーを作る

  • シーン1 構想はアナログでまとめる
  • シーン2 一番大切な問いに答える
  • シーン3 救世主的な目的意識を持つ
  • シーン4 ツイッターのようなヘッドラインを作る
  • シーン5 ロードマップを描く
  • シーン6 敵役を導入する
  • シーン7 正義の味方を登場させる
  • 幕間−その1 10分ルール

第2幕 体験を提供する

  • シーン8 禅の心で伝える
  • シーン9 数字をドレスアップする
  • シーン10 「びっくりするほどキレがいい」言葉をつかう
  • シーン11 ステージを共有する
  • シーン12 小道具を上手に使う
  • シーン13 「うっそー!」な瞬間を演出する
  • 幕間−その2 第一人者から学んだシラー

第3幕 仕上げと練習を行う

  • シーン14 存在感の出し方を身につける
  • シーン15 簡単そうに見せる
  • シーン16 目的にあった服装をする
  • シーン17 台本を捨てる
  • シーン18 楽しむ

アンコール 最後にもうひとつ

今日はクリスマスイブ.私の誕生日でもある.これから家族でケーキを食べよう!

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